話し方・伝え方

うっかり失言が多い人……上司や同僚にカドを立てずに伝える方法

失言が多い人への「カドを立てずに改善してもらうための伝え方」を確認しておきましょう。失言を繰り返す同僚や上司がいる場合、どのように注意すればよいのでしょうか。配慮が求められる時代になりましたが、まだ自覚がなく、失言を繰り返してしまう人がいます。

藤田 尚弓

執筆者:藤田 尚弓

話し方・伝え方ガイド

失言が多い人が職場にいたら、どう声をかける?

失言が多い人への伝え方

失言を繰り返す人には改善してもらいたい

失言が厳しく批判される世の中になってきました。公の場での発言はもちろんですが、職場でも「モラルハラスメント」「女性蔑視」「容姿に関するからかい」など、配慮のない発言には気をつけなければいけません。

とはいえ、昔のままの感覚で失言をしてしまう人はまだ多いようです。

「もう妊娠したの? これだから女は困るんだよ。で、いつ辞めるの?」
「何回教えたらわかるんだよ。おまえは、本当にバカなんじゃないか」
「これ以上太ったら、豚になるんじゃないか」

これは、筆者が実際に聞いたことがある失言です。言ってしまった本人に悪気がない場合、同じような発言は何度も繰り返されます。みなさんの周りには、自分の発言がどれだけ人に不快感を与えているのか認識できていない人がいるでしょうか。

もし職場に失言が多い人がいる場合、どのように声をかけていけばよいのか、具体例を見ながら、勘所を掴んでおきましょう。
   

失言が多い人への基本対処 

自分で失言だということに気づいていない人には、注意しても「感じ方の違い」と片づけられてしまいがちです。まずは発言のどこが問題だったのかを伝え、理解してもらうことに注力しましょう。

このとき大切なのは、相手を責めないことです。批判するような口調に聞こえてしまうと、防衛の気持ちにスイッチが入ります。自分のやったことは棚にあげ「ヒステリックだ」「言葉狩りだ」など反論する人が多いのはこのためです。

責めているように思われないためには、以下の3点に気をつけるとよいでしょう。

1. 声のトーンは穏やかにする 
声の大きさは小さめ、低めの声を意識してみてください。表情を柔らかくすると、声のトーンは、より穏やかになります。
 
2. ゆっくり話す 
自分が正しいと思うことを主張するときは、早口になりがちです。「まくしたてられる」と感じてしまう人もいるので、意識して、普段より遅めのスピードで話しはじめましょう。
 
3. 一般論として話す
「発言に配慮が求められる時代になった」など、一般論として話すことから始めてみましょう。
 
次に、相手別の対処法をご紹介します。
 

失言の多い部下や同僚への対処法

よい職場環境のためには自覚してもらうことが大切

よい職場環境のためには自覚してもらうことが大切

部下やカジュアルに話せる間柄の同僚であれば、失言をストレートに指摘してもよいでしょう。ただし断定した話し方、責めるような口調はNGです。

例)
×「今のはモラハラだぞ」
○「今のは、一歩間違うとモラハラだと思われるかもしれないな」
 
発言のまずかった部分に気づいてもらうことは大事ですが、責められていると感じさせないよう、表情や声のトーンに気をつけて伝えます。

何度も失言を繰り返してしまう人の場合、今後、どのように変えてほしいのかを具体的に伝える必要があります。

例)
×「今後は配慮のある発言をして」
○「今後は『だから女はダメなんだ』といった表現はやめよう。頑張ってほしい部分については、具体的にどうしてほしいのか伝えるようにしよう」
 
「~はやめよう」「~しよう」という言い回しをすると、職場全体で変えていきましょうというニュアンスが伝わります。「このくらいで……」といった反論や正当化を抑制する効果が期待できますので、試してみてください。
 

失言の多い上司への対処法

上司に改善をお願いするというのは、なかなか難しいと思います。しかし黙認すると「これでいいんだ」という認識に繋がり、現在の悪いコミュニケーションスタイルを強化することになってしまいます。批判や苦言だと受け止められないように伝えましょう。

おすすめのフレーズは「誤解されると面倒なことになりますから」です。「誤解」という言葉を使うことで感情的になるのを防ぎ、「面倒なことに」という想像してもらうことで抑止の効果を狙います。

例)
「奮起させたいという気持ちは伝わったかと思いますが、『バカ』という表現はやめたほうがいいかも知れませんね。誤解されると面倒なことになりますから」
 
何度も失言を繰り返す人には、もう少し抑止力の強めのフレーズを使ってもよいでしょう。

例)
「パワハラ防止法も施行されましたし、発言で責任をとらされるという風潮もあります。誤解されないよう今後は『サル以下だ』といった、動物と比べる発言は控えませんか」
 

自分が失言をしやすいと自覚している場合には

自分が失言をしやすい自覚がある人もいるかも知れません。気をつけていてもやってしまうという人は、周りの人に、失言があったら指摘してもらえるよう頼んでおくのがよいでしょう。

教えてもらったときには「不機嫌にならない」「反論しない」という鉄則を守り、今後に活かすようにします。失礼なことを言ってしまった相手には、なるべく早く謝罪するのも忘れずに。

「改めよう」という姿勢を職場内でわかりやすく見せておくことで、失言によるダメージは軽減できます。地道に直すよう努力していきましょう。

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