運動と健康

運動すると膝が痛いときの改善法・3つのチェックポイント

【アスレティックトレーナーが解説】膝は体重を支えながら動く荷重関節で、歩く・走るなどの基本動作を担っています。運動すると膝が痛い人は珍しくありませんが、一番の原因は負荷のかけすぎによるオーバーユースです。運動強度や柔軟性など、痛みを予防・改善するためのポイントをチェックしてみましょう。

西村 典子

執筆者:西村 典子

アスレティックトレーナー / 運動と健康ガイド

膝の痛みが起こりやすい理由は? 膝は体重を支えて動く荷重関節

運動すると膝が痛い人が気を付けるべき3つのこと

膝は日常生活に多く関わる部位のひとつ

子どもの頃、ふざけて友だちに「膝カックン」をしたら、相手が体から崩れ落ちてしまってビックリした、といった経験はないでしょうか? 膝は体重を支えながら動くため「荷重関節」と呼ばれています。荷重関節とは、関節の中でも特に体重のかかる股関節、膝関節、足関節などの関節のこと。いずれも日常生活の動作に欠かせないもので、歩く、走るといった基本的動作を担う膝を痛める人は少なくありません。ご自身や身近な方が膝の痛みに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
 

運動で膝の痛みが起こる原因……一番の要因はオーバーユース

運動後に膝の痛みを感じる原因はいくつか考えられますが、基本的には運動量や運動時間など運動そのものの負荷=運動強度が体にダメージを与えるオーバーユース(使いすぎ)が挙げられます。自分の体力レベル以上のものを「頑張って」行っているうちに、疲労などから筋力が低下し、荷重関節を中心に痛みを覚えるものです。

特にジョギングやランニングなどは、重力による影響とともに地面からの反力によっても膝に大きな負担がかかります。正しいフォームで走らないとさらに膝への負担が増し、痛みの原因となることが考えられます。膝痛は膝下や膝裏のみならず、内側や外側といった膝周辺部全般に見られるものであり、痛めた部位によって関連する筋肉も違ってきます。
 

運動すると膝が痛いときの3つのチェックポイント

運動時や運動後に膝が痛くなる場合、次の3点に問題がないかチェックしてみましょう。

1. 運動強度は適切か
オーバーユースが膝痛の大きな要因と考えられるため、まずは今、実践している運動強度が適切か確認してみましょう。筋力があまりない状態で激しい運動をすると、弱い部分から痛めることは想像できると思います。運動強度は少しずつ段階的に増やしていくことを基本とし、運動後に膝痛が起こるような場合は運動強度を見直すようにします。膝がジンジンと痛む場合は患部を氷などで冷やした上で安静を保つようにしましょう。

2. 筋力や柔軟性は低下していないか
膝痛の方の多くが膝周りを支える筋力が不十分であることが考えられます。痛みのある状態での運動は推奨できませんが、痛みのない状態にまで回復したら、筋力を高めるためのトレーニングを行うようにしましょう。自重でのスクワットや片足を一歩前に踏み出して戻るランジ動作などがスムーズにできるようになったら、段階的に負荷を増やしていくようにします。ジムなどを使ってトレーニングを行う場合はマシントレーニングなども取り入れるようにしましょう。また筋力とともに膝周辺部の筋肉の柔軟性を高めることも大切です。疲労によって柔軟性が低下してしまいがちなので、運動後には太ももの前後を中心にしっかりとストレッチを行うことが大切です。

3. 正しい姿勢・フォームで運動しているか
運動後に膝痛を覚える場合、運動時の姿勢やランニングフォームなどを確認してみましょう。姿勢の悪い状態で激しい運動を続けてしまうと、体のねじれや代償運動によって荷重関節を中心に痛めてしまうことが考えられます。ランニングフォームにおいても膝がねじれるような着地を繰り返していると膝痛の原因ともなります。着地の時に心がけたいのは膝下が地面と垂直になるようにすること。着地によってブレーキをかけないようにして、重心の上下動を最小限に抑えることが大切です。また着地時に足裏全体で踏みこむようにすると、地面からの反力を足関節や膝関節、股関節などで十分に和らげることにつながります。
 

膝の痛みの原因が分からず長引く場合、整形外科の受診を

運動時に膝が痛くなることは特に珍しいことではありません。しかし痛みが慢性化したまま放置してしまうと、日常生活に支障をきたすことも考えられます。

上記の3項目に明らかに当てはまるなど原因がはっきりしているなら、それを解決することで痛みも改善していけるかもしれません。しかし痛みの原因がはっきりとわからず、長引いている場合は、一度整形外科を受診し、専門医による治療や指導を受けるようにしましょう。
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