少子化が進む日本、「妊活保留」で出生数は過去最少をさらに更新か

2019年の出生数は過去最低を記録した

コロナの影響による「妊活保留」で、拍車がかかる日本の少子化

厚生労働省が2020年9月17日に発表した2019年人口動態統計(確定数)によると、出生数は前年比5万3161人減の86万5239人で、1899年の調査開始以来過去最少を更新しました。2020年の出生数は、速報値によると前年比較でさらに減少していますが、今後発表される確定値もやはり、コロナの影響による「妊活保留」でさらに少子化が進むと予測されるでしょう。

そもそもなぜ少子化に拍車がかかっていっているのでしょうか? その原因は、経済不安・晩婚化・晩産化・核家族化、などの多因子が複雑に関係していると考えられますが、そもそも日本は「産み育てやすい国なのか」という視点で振り返ってみると、少子化改善のヒントが見えてくるかもしれません。
 

日本は7割の母親が「産み育てにくい」と感じる国

全国の乳幼児をもつ母親約2000人を対象にした「たまひよ妊娠・出産白書」の統計データによると、「産み育てにくい」と感じているが7割という結果が出ています。私自身、2人の子どもを持つワーキングマザーですが、正直言って「めちゃめちゃ産み育てにくい環境」だと感じています。

もちろん、「何と比べるか」によっては、むしろ「産み育てやすい環境」かもしれません。世界一と言ってもいいくらい、妊娠や出産に伴う死亡率は低く、乳幼児死亡率も低く、一定以上の所得の人を除いては小児医療費は無料で、中学校までは授業料が無料で学習する機会が与えられている……そうでない国と比べたら、確かに、「とても恵まれた環境」かもしれません。
 

日本の母親たちは家事・育児を頑張りすぎている

日本では「親以外の他人が育児を担当する」機会が圧倒的に少ない

日本では「親以外の他人が育児を担当する」機会が圧倒的に少ない

一方で、海外の子育て環境を経験した方のお話を伺うと、日本の「母親」たちがいかに一人何役も背負って「頑張りすぎているか」がよくわかります。

リンナイの「世界5カ国の『ワーキングママの育児事情』に関する意識調査(2019年)」によると、ベビーシッターを最も利用しているのはアメリカで半数以上が利用者と判明。その後に、韓国・ドイツ・スウェーデンと続き、日本は5カ国中最下位の利用率7.0%でした。海外のシッターやナニーの利用率の高さから、日本では「親以外の他人が育児を担当する」機会が圧倒的に少ないといえます。また、ハウスキーパーさんや住み込みのお手伝いさんが家事をするのが当たり前の国と比べたら、家事負担だけでも大きな差があるでしょう。

また、これらの家事・育児に対する「パートナーの参加率」についても、日本はほとんどが「母親」に負担がかかっていることはいうまでもありません。産後1年間はシッター兼ハウスキーパーさんが無料で派遣されて住み込みで手伝ってくれる、というだけでも、産後の負担は大きく軽減するでしょう。仕事で忙しいパートナーを当てにしたり、逆にパートナーの負担を無理に増やすよりも、第3者の手を上手に活用する方法を提示した方が効果的だと考えられます。
 

もっと「活きた」形での経済的支援を

また、同じく「たまひよ妊娠・出産白書」によると、「もう一人」をあきらめる最大の原因は「経済的理由」になっていることからも、育児や子どもの教育にかかる費用負担を、「養育者」ではなく「社会」で担う仕組みが必要といえます。

保育園だけではなく、学童の利用料や高校の授業料も無償化する。おむつ・ミルク・学用品などの一定期間一定量必要な必需品は、「支援金」としてお金を支給するのではなく現物支給する。本当に実力がある人には、大学まで学習の機会を無料で提供する仕組みを作る。ただ、形だけ10万円ずつばらまくのではなく、もっと「活きた」形での経済的支援が不可欠なのではないでしょうか。
 

「育てにくさ」を自己責任にしてはいけない

そして、日本での「育てにくさ」の最大の理由は、妊娠・出産・子育てを「個人の利益・個人の責任」と捉えている社会の“風土”なのではないかと感じることがしばしばあります。「その立場に立ってみなければわからない」ことはたくさんあり、私も独身時代に、子どもの泣き声を「うるさいな~」と思ってしまっていた自分を猛省しました。

いろんな立場の人が、いろんな事情を抱えながら、「その人なり」の精一杯で子育てをしているんだ。そして、その子どもは未来を担ってくれる「社会にとって大事な存在なのだ」という発想を、子どもがいる人もいない人も、社会全体で持つことができれば、もう少し「育てやすい」世の中になるのではないかと思います。
 
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