お金の悩みを解決!マネープランクリニック/子どもが3人以上いる人のお金の悩み

40歳貯金800万円。子ども4人を抱え、夫の協力もなかなか得られません……(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、貯蓄が増えないことで悩む40歳の会社員女性。子ども4人を抱え、夫の協力もなかなか得られず、その上、リフォームローンを組んだばかりといいます。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 年間70万円の貯蓄ペースを維持する

「貯蓄ができない」というご相談ですが、貯める目的は教育資金や老後資金の準備だと思われます。であれば、現状のペースで貯めてどうなるのか。今後のキャッシュフローを認識しておくべきでしょう。
 
いただいたデータから毎月5万円、ボーナスからは頑張って10万円を貯蓄するとすれば、年間70万円。定年までの18年間で計1260万円となります。他に、教育資金用にお子さん4人がそれぞれ加入している低解約型の終身保険の解約返戻金(解約15歳時)が100万円×4人で、400万円。あとは現預金が790万円なので、合計2450万円。
 
ただし、この間、児童手当は段階的に減額されていきますので、その分世帯収入を上げなくてはいけません。一方、お子さんに掛けている低解約型の終身保険の保険料の払い込みは15歳までですから、それ以降、保険料コストは下がることになります。その差はマイナス260万円ほどですから、それを2450万円から差し引くと2190万円となります。
 
一方、この間に生活費とは別にまとまった資金が発生します。まず、教育費です。当然、4人のお子さんの進路によって、かかる額も変わってきますが、まずはBAUBAUさんが想定されている進路で考えてみます。

第1子の大学費用は国立大学で250万円ほど。第2子の方は高校卒業後に就職、第3子、第4子の方は高校まで公立、それ以降は不明とのことですが、ここまでの教育費を平均値から算出すれば、ざっくりと1300万円。ただし、これには学校外教育費(進学塾、習い事など)も含まれていますので、より抑えることが可能ですし、世帯収入から高等学校等就学金制度の対象になりますから、その分を差し引けば、1100万円近くに下げられるでしょう。
 
また、先のキャッシュフローの試算には毎月3万5000円の教育費を計上しています。それが18年分で750万円。したがって、先の試算で、新たに教育費として加算する額は350万円。結果、残る金融資産は1840万円となります。
 
次に想定される、まとまった支出はクルマの買い替え費用。保有台数は2台(うち1台は軽)で、ご主人60歳までに少なくとも2回ないし3回はそれぞれ買い替えをするはず。その費用を700万~800万円とすれば、それを差し引くと残り1090万円ほど。
 
そう考えると、第1子の方以外について、高校卒業以降もある程度は教育費が準備できるとも言えます。例えば、私立文系なら大学費用の目安は400万円ですから、2人なら800万円。そのうち一人が国立大学なら、第2子の方の大学進学、あるいは専門学校の進学費用も捻出できます。もちろん、全員大学、専門学校進学となれば、その時点で老後資金はほぼなくなりますが、それでもお子さん4人の教育費は、現状を維持することで何とか確保できるということはいえるのです。
 

アドバイス2 ご主人の協力と保険の見直しは不可欠

ここまでの試算は、あくまで現状の収支を維持していくことが前提です。しかし、懸念材料はあります。まず、お子さんの成長とともに生活費が自然とアップしていくということ。これは節約、工夫をしながら、何とか貯蓄ペースを落とさずできるでしょう。
 
それよりも、あくまでご相談内容から受けるイメージですが、ご主人が家計に協力的ではないこと。こちらが心配です。BAUBAUさんもすでに感じられていると思いますが、一人で頑張っても貯蓄、資金づくりはできないからです。
 
とくに、ご主人が一般財形から自身の支出のために積立分を取り崩しているのであれば、これは大きな問題です。毎月5万円が18年間で1080万円。これが実際には半分にしかならないなら、残念ながら第3子、第4子どちらかの方は大学費用が用意できません。保険金として手にした500万円の残金が不透明というのも、本来なら放置できない部分です。そして、ご主人が「財形の積立額を減らしたい」と言われているとのことですが、毎月5万円の貯蓄は今後を考えれば必須です。
 
ご主人がもっと生活費を増やしたい、ゆとりを感じる生活がしたいという気持ちも理解できます。しかし、少なくともあと12、13年(下のお子さんの進路が確定するまで)は貯蓄最優先の家計でなくてはなりません。それができないと、お子さんたちの進学は半ばあきらめるか、お子さんには酷ですが、返済型の奨学金(国の無償型奨学金利用は条件となる世帯収入を超えている)を利用してもらう。もはや、そういう状況にあることを認識すべきです。その点についてご主人とよく話し合い、何とか年間70万円の貯蓄ペースを維持してほしいと思います。
 
一方、ご相談に「今後の生活で見直したほうがいいところが知りたい」とありますが、ここは積極的にしていきましょう。データを見る限り、もっとも効果的な見直しは、やはり保険です。そこでBAUBAUさん加入の保険ですが、生命保険は必要な死亡保障にはなっていますが、保険料がかなり割高。外貨建ての終身保険は、老後に備えるための加入だと推測されますが、現時点では保険で老後に備えるより、現金で教育資金を用意することが優先されます。したがって、ともに払済保険にしてください。
 
新たに確保する保障は、死亡保障2000万円程度、保険期間は15年。医療保障は入院5000円程度に。定期保険、同等の保障の収入保障保険、それに共済を組み合わせてもいいでしょう。合わせて保険料は月3000円台に抑えられます。
 
この見直しで保険料は月4万円程度下げることができます。その分をそのまま貯蓄できれば、18年間で864万円。安心できる額かどうかは別として、老後資金と呼べる、まとまった額には違いありません。しかも、教育費を用意した上で、手元に残る資金です。丸々全額とはいかないにしても、できるだけ貯めていくことが重要です。
 

アドバイス3 今は教育資金最優先の家計管理を

最後は、その老後資金について考えます。
現時点ではお子さんの進路が不確定ですが、ご主人の退職金(金額未定)、保険の見直しによる貯蓄等で、60歳の時点で1000万円程度手元に残すことは可能でしょう。
 
その時点で当然、お子さんは全員、学校を卒業しているはずですから、毎月の生活コストも今よりグッと下がります。それでもリフォームローンの支払いがご主人77歳まで続きますので、今の生活費から考えて、老後の生活費は月25万円程度にはなるはず。それにボーナスでカバーしていたコストも考慮すれば、さらに月2万~3万円加算されるかもしれません。
 
一方、公的年金は夫婦とも厚生年金ですから、正確な受給額はここでは割り出せませんが、もしかしたら毎月の生活費は年金だけでカバーできるかもしれません。であれば、少なくとも公的年金受給となる65歳まで、手持ち資金を減らさない程度に働けば、老後資金は1000万円で足りる可能性もあります。
 
とはいえ、老後までは不確定要素が多く、まだ下のお子さんが6歳であることを考えれば、まずは確実に貯蓄できる家計管理を実践して、今後かかる教育費に備えていくことが最優先事項です。そのためには、先に触れましたが、家族の協力が不可欠。それが今後のマネープランを決めると言ってもいいと思います。
 

相談者「BAUBAU」さんから寄せられた感想

深野先生、いつも拝見しております。具体的なアドバイスをありがとうございます。アドバイスを読んで改めて今、優先すべき貯蓄の目的がわかりました。将来の年金のことや健康を不安に思うあまり保険も割高とは思いつつ、保障がイコール安心になっていたところもあり。今回のアドバイスで優先すべきことがわかり、決断することができました。保険は早速見直し、保障はしつつ現状に見合った保険に変更してもらうようにしました。主人とはどこまで理解してもらえるかはわかりませんが、子どもの教育資金についてはもう一度話し合っていきたいと思います。私が住宅ローンを今後支払っていかなければいけないプレッシャーもあり、相談ができて本当に感謝しております。リフォーム後、子どもらと明るく生活していくためにこれから貯蓄を頑張っていきたいと思います。


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教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武


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