・金融広報中央委員会によるアンケート調査とは?
・貯蓄ゼロはどのように定義されている?
・貯蓄ゼロの世帯はどれくらい?
・貯蓄ゼロを調べた他の調査はある?
・まとめ
金融広報中央委員会によるアンケート調査とは?
金融広報中央委員会では毎年「家計の金融行動に関するアンケート調査」を行っています。最新版は2021年の9月に行われた、二人以上世帯5000世帯と単身世帯2500世帯を対象とした郵送・インターネットを用いたアンケート調査であり、ホームページでは時系列的に毎年のデータが公表されています。《参考》金融広報中央委員会 知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」
貯蓄ゼロの定義とは?
貯蓄ゼロはどのように定義されている?
このアンケート調査において「金融資産」は以下のように定義されています。『定期性預金・普通預金等の区分にかかわらず、運用の為または将来に備えて蓄えている部分とする。ただし、商・工業や農・林・漁業等の事業のために保有している金融資産や、土地・住宅・貴金属等の実物資産、現金、預貯金で日常的な出し入れ・引落しに備えている部分は除く』
つまり金融資産とは「運用のためもしくは将来に備えるためのお金」のことであり、貯蓄ゼロ(金融資産ゼロ)とは各種口座に全くお金が入っていない世帯を指しているのではありません。
貯蓄ゼロの世帯はどれくらい?
最新版である2021年の家計の金融行動に関する世論調査では、貯蓄ゼロ(金融資産を保有していない)割合は、二人以上世帯で22.0%、単身世帯では33.2%と集計されています。しかしながらこれは「運用または将来に備えてのお金」がない割合であり、前述したように各種口座にお金がない世帯の割合ではありません。同データの中には「金融資産を保有していない世帯が現在保有している預貯金残高」の集計もあり、これによると二人以上の世帯で576万円、単身世帯で270万円が預貯金残高の平均値とされています。
貯蓄ゼロを調べた他の調査はある?
金融広報中央委員会によるアンケート調査の貯蓄ゼロの定義は「運用または将来に備えてのお金の有無」を集計したデータであるため、必ずしも実態を反映しているものではなさそうです。それでは他に貯蓄ゼロの割合を調べた調査はないのでしょうか。
実は厚生労働省が2019年に3万世帯、約8万人を対象に行った「国民生活基礎調査」でも同様の項目を調べており、それによると「貯蓄がない」と答えた世帯は13.4%でした。 なおこの調査における「貯蓄」とは、世帯主全員の通常貯金、普通預金を含む預貯金、貯蓄性の生・損保、個人年金保険、株式、株式投資信託、債券などと定義されており、運用や将来に備えてのお金などに用途を限っていません。
そのため現時点での貯蓄額を知る、より実態を反映した数値と言えそうです。
《参考》厚生労働省 国民生活基礎調査
まとめ
いかがでしたでしょうか。貯蓄ゼロの世帯割合が2割、3割と聞くと少し違和感があるかもしれませんが、そのデータが用いている言葉の定義を理解すれば納得がいくのではないでしょうか。しかしながら実態を反映していると思われる、2019年の国民生活基礎調査でも貯蓄がないと答えた世帯は13.4%であり、今後は、数値にコロナの影響がどのように出てくるのかを注視しておく必要がありそうです。
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