子どもに見せても大丈夫?

暴力や残虐描写のある映画やテレビ番組などが子どもに、どのような影響を与えるのか不安を感じている親御さんも少なくないでしょう

暴力や残虐描写のあるコンテンツの子どもへの影響に不安に感じている親御さんも少なくないでしょう

テレビに加え、タブレットやスマホに触れる機会の多い昨今、子どもが暴力シーンや残虐描写を目にする機会も増えています。互いの命を奪い合う残酷な戦闘シーンや、身体の一部が吹き飛んだり流血する様子が生々しく描写されていることもあります。

しかし残虐描写“以外”に着目してみれば、親の指導次第ではストーリーに込められた大切なメッセージを学ぶ機会にすることもできます。この先、様々なコンテンツに触れる子どもに対して親は何を伝えるべきか。その心がけをお伝えします。
 

暴力・残虐描写が子どもに与える影響

コンテンツとの接し方に大人が介入することは、子どもの成長とともに難しくなりますから、幼いときに、普段の会話やしつけの中で正しく解釈するよう指導していくことが大切だと考えます。

文部科学省「青少年を取り巻くメディアと意識・行動に関する調査研究」によると、メディアによる暴力・残虐描写について「一般的に、幼児や小学生など、低年齢の子供のほうがメディアの影響を受けやすく、10代の青少年や、 大人になると、メディアの内容を現実的だと思わないために、その影響力は弱くなると考えられている」という研究結果(※1)もあります。

また「メディア暴力を視聴することは、攻撃性、脱感作(暴力的な表現に徐々に慣れてしまう)、恐怖の3種類の影響がある」という研究結果(※2)もまとめられています。

これら3つの影響について幼い子どもに当てはめると、下記のようなことがいえるでしょう。

●影響1.現実とバーチャルの区別がつきにくい幼児は恐怖を感じる
幼い子どもは、画面で見たことを現実に起こっているように捉えることがあります。目の前で人が刺されたり流血する場面は、大人でも恐怖を抱いてトラウマが残ることもありますが、残虐なシーンを見ることは、現実の世界とバーチャルの世界の区別がつきにくい幼児にとっては、とてもショッキングで恐怖を感じるでしょう。

●影響2.場面のみが印象に残り、攻撃的感情が起こる
ストーリーの理解があまりできない幼い子どもが、暴力シーンなどの強い刺激を受けると、その場面のみが印象に残ります。その暴力シーンや言葉遣いを模倣したり、よく似た場面に遭遇すると、善悪の判断も曖昧なまま、怒りや攻撃的感情が湧き起こったり、行動に移そうとすることがあります。

●影響3.暴力的な表現に慣れ、更に強い刺激を求める
暴力シーン・残虐な描写を何度も視聴することにより、最初は衝撃を受けたり「怖い」「痛そう」などの感情をもっていたのが、徐々に慣れていき、更に過激で強い刺激性のあるものを求めることもあるでしょう。

平成28年度 文部科学省委託調査 「青少年を取り巻くメディアと 意識・行動に関する調査研究」
※1:「メディア表現の影響に関する学術的検討(2012) 渋谷明子
※2:Media violence the effects are both real and strong (2008) John P. Murray
 

残虐描写の受けとめ方は、親の助言や日常生活で変わる

やはり幼い子どもには、暴力シーンや残虐描写のある映画やテレビ番組は見せてはいけないのだろうかと、感じる親御さんもおられると思います。

しかし同じように見ていても個人差があり、言動が粗暴になってくる子どももいれば、そうでない子どももいます。 もともと攻撃性の高い子の方が影響を受けやすいといわれていますが、親の助言であったり、日頃の言葉がけで受け止め方は変わってきます。
幼い子どもの場合、親は必ず一緒に観て、時々「怖くない?大丈夫?」「悪者が退治されているね」など声をかけるとよいでしょう

幼い子どもが一人で見ると没頭し、その世界に入り込んでしまうことが多くあります

コンテンツとの付き合い方において親が心がけるべき5つのポイントにまとめてお伝えします。

■1. 善悪の区別を明確にする
ストーリーの理解を深める言葉がけをして、恐怖を与える悪と、その悪を退治し安心を与えてくれる正義が明確に分かるよう伝えましょう。あくまでも弱い人を助けるという展開を説明しておくことが大切です。

■2. 現実の世界では、暴力は正当化されないことを教える
しかし、いかなる理由があっても、暴力は現実の世界では正当化されないこと、相手も傷つくことをしっかり教えてください。今、メディアで見ている世界は、映画やテレビの非現実の世界であることを確認しておきましょう。

■3. 一人で見せない
一人で見ると没頭し、その世界に入り込んでしまうことが多くあります。すると恐怖を感じたり、暴力や残虐な行為に共感し、正しい判断がつきにくくなることがあります。幼い子どもの場合、親は必ず一緒に見て、時々「怖くない?大丈夫?」「悪者が退治されているね」など声をかけるとよいでしょう。

■4. 死についての理解を深める
幼い子どもは「死」についての理解が未熟で「目の前からいなくなる」「眠る」などの違いが分からない場合もあります。そのうえ昨今はゲームなどで、リセットすれば何度でも生き返るバーチャルの世界を身近にしているので、更に「死」について安易に捉える傾向があります。「人は一度死ぬと二度と生き返らないこと」「命はたった一つしかない、かけがえのないもの」であることを日頃から話しておきましょう。

■5. まずは親も見て判断する
もし、子どもに見せることを迷っているコンテンツがあるのでしたら、まずは親が見てください。そして子どもに見せてもよいかを判断し、どのようにアドバイスするか考えましょう。不安に感じながらも、見せっ放しにしないようにしましょう。
 

正しい付き合い方を教える機会にし、メディアから学べる子へ

これから大人になっていく子どもの世界には、昨今、様々なメディアとの出会いが溢れています。幼いうちに理解の仕方や、正しい付き合い方を教える機会にするのもよいでしょう

子どもとコンテンツと出会いを「正しい付き合い方」を教える機会としましょう

ストーリー性に乏しく、ただ過激な暴力・残虐表現のあるコンテンツは、幼い子どもには見せない方がよいと思います。ですが、その物語や内容がしっかりとした企画のもと、テーマや伝えたいことを軸に制作されているものなら、親の指導次第では、むしろ見せた方が学べることの方が多いでしょう。

子どもが幼いうちに、理解の仕方や正しい付き合い方を教える機会にするとよいですね。
 
【参考文献】
平成28年度 文部科学省委託調査 「青少年を取り巻くメディアと 意識・行動に関する調査研究」 ―メディアによって表現された暴力的有害情報が 青少年に与える影響に関する文献調査― 

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