お金の悩みを解決!マネープランクリニック/老後のお金や介護費用が心配な人の相談

43歳パート、貯金1500万円。コロナで私の収入がなくなり、夫も収入減です。老後を考えると不安です(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、パートで働いていたもののコロナで仕事がなくなったしまった43歳のパート主婦の方。50歳の夫もボーナスがカットされ世帯収入が下がってしまいました。住宅ローンもあり老後が不安だといいます。ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 保険の見直しで毎月貯蓄額を増やし、10年で1000万円

コロナ禍によって収入が減少している世帯が増えてきています。ゆうきんぐさんも大変な思いをされていることでしょう。不安になる気持ちはわかります。ひとつひとつ問題をクリアにしていきましょう。
 
まず、今後大きな負担となるのは、住宅ローンです。ゆうきんぐさんもわかっておられますが、老後を迎えるまでに完済することを一番に考えましょう。そのためには、現在の家計の無駄をなくすことが重要です。
 
今の家計での無駄は保険です。結論から言えば、夫婦それぞれ、医療保険のみで十分です。妻の変額個人年金は、毎月の保険料がそれほど高くはないので、このままでもいいでしょう。万一に備えて、生命保険に加入されていますが、ご主人に関しては、住宅ローンで団体信用生命保険に加入しているはずですから、少なくとも住宅ローンについては心配いりません。双方に万一のことがあっても、まだ若いですから働いて収入を得ることができます。お子さんがいない世帯に過剰な死亡保障は不要です。
 
収入保障保険、生命保険は払い済みにし、これ以降の保険料の支払いをやめます。ここまでの保険料で保障が残るもの、解約返戻金がでないものがありますので、保険会社に確認してみてください。
 
保険を整理することで、2万2000円が浮きますから、貯蓄に回すと、毎月7万円。年間で84万円です。これに、減額になったもののボーナスからの貯蓄を加えて、年間100万円貯められるよう工夫してください。
 
ご主人が60歳になるまでの10年間で1000万円。現在ある貯蓄を加えると、2500万円です。これが現時点で見えている総資産となります。
 
 

アドバイス2 住宅ローンは60歳で完済を目指し、繰り上げ返済していく

ここから住宅ローンを完済させなければいけません。おそらくご主人が60歳時点での住宅ローンの残りは約1400万円。65歳時点で約1000万円です。ご主人の60歳以降の働き方が流動的である以上、60歳で完済することをオススメします。繰り上げ返済のタイミングは、4、5年後に一度行ってもいいでしょう。住宅ローン控除を気にされていますが、それよりも、少しでも身軽になることで老後に不安を残さないことのほうが大切だと思います。
 
2500万円から10年後に残っている1400万円を差し引くと1100万円。これが60歳時点で残る貯蓄総額です。繰り上げ返済のタイミング、回数、金額にもよりますが、途中で繰り上げ返済をすれば、支払わなくて済んだ利息分が上乗せになります。
 
大きな出費としては、車の買い換えです。長く乗るつもりとのことですが、それでもあと2回ぐらいは買い換えが必要でしょう。1回150万円の予算として、2回で300万円。この他、マンションのリフォームや設備の買い換えなどのメンテナンス費用が200万円。1100万円から差し引くと600万円です。これが実際に老後生活に使えるお金ということになります。
 

アドバイス3 60歳以降も長く働ければ、余裕はないが大丈夫

ご主人が60歳以降の家計は、住宅ローンの7万円がなくなり、保険料はすでに見直し済み、あとは食費などを調整すれば、支出を15万~16万円に抑えられるはずです。貯蓄の取り崩しをできるだけ少なくすることが重要になってきますので、収支トントンになるような収入が必要です。夫婦それぞれが月8万円程度の働き方ができれば、無理な話ではありません。ご主人もバイクを乗り続けたいのであれば、もう少し頑張ってほしいところです。
 
また、65歳以降のゆうきんぐさんの年金額を増やすために、現在はパートですが、厚生年金に加入できる働き方を考えてほしいと思います。正社員じゃなくてもフルタイムで働き、厚生年金加入月数を増やしておくことが、65歳以降の受け取り額、ひいては生活にゆとりをもたらしてくれます。
 
実際のところ、現在の公的年金見込み額でも、夫婦で満額受け取れるようになれば、毎月21万円ですから、日々の生活で困ることはないでしょう。「ゆとり」の部分を貯蓄から取り崩していくのか、もらえる年金を増やしておくのか、ということです。
 
最後に、通信費を見直して、iDeCo加入とのことですが、iDeCo自体はさまざまな優遇措置があり、加入するメリットはあります。しかし、60歳になるまで原則、引き出すことができません。住宅ローンの完済を優先するなら、現金で引き出せないというのはネックになります。通信費を節約できるなら、やはり確実に貯蓄として残してほしいと思います。
 
決して、余裕があるわけではありませんが、住宅ローンを完済、そのために年間100万円の貯蓄。これができれば、ご夫婦で協力しあい、できるだけ長く収入を得ることで、必要以上に不安になることはないでしょう。ゆうきんぐさん一人が不安に思うのではなく、ぜひご主人とも今後の家計についてご相談なさってください。
 

相談者「ゆうきんぐ」さんより寄せられた感想

いつもあたたかく真摯にアドバイスされている深野さんにアドバイスいただき、とても有り難いです。まず、保険の見直しのポイントがハッキリしましたので、保険会社に問い合わせて検討をしたいと思います。そして大きな目標として年間100万円の貯金を目指します !車の乗り換えやメンテナンス費まで考慮していただき、必要なお金に気づけました。今後はローンも繰り上げ返済していき、60歳以降、そして65歳以降と、必要最小限のなか夫婦で楽しく暮らしていきたいと思います。たまの贅沢もできるようゆとりも考えながらこれから頑張ろうと思いました。主人とも相談しながらやっていきます。本当にありがとうございました。

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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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