たんぱく質は他の栄養素と同様に貯金ができず、一回の許容量も決まっているため、こまめとって体の中に常にたんぱく質が不足していない状態を保つ必要があります。たんぱく質の一度の合成量は限界があるので、夜にガッツリたんぱく質食べても、使い切れず美しい筋力アップにはつながりません。また、食べすぎると中性脂肪として蓄積されると太りやすくなるのでご注意を。
たんぱく質の目標量、つまり最低限の数値は成人男性60g、女性50g。1食あたり15~20g程度がひとつの目安です。いまの日本人のライフスタイルは、午後から夜にかけての食事にウエイトがおかれています。夕食でのたんぱく質摂取量は男女ともに9割近くの人たちがクリアしている一方で、朝食でたんぱく質が足りている割合は男性2割、女性1割程度。
朝はパンだけ、フルーツだけ……ありがちな朝ごはん、実はとてももったいない! 今回は、「朝たんぱく質」習慣がもたらす4つのいいことを解説します。
いいこと1:筋肉合成のスイッチをオン!
食事でとったたんぱく質には、体内でアミノ酸に分解され、筋肉合成のスイッチをオンにする「アナボリック(同化)」という働きがあります。朝食で早めにアナボリックのスイッチをオンにして、1日の筋肉合成を増やしましょう。反対に、空腹になると今度は筋肉分解のスイッチが進んでしまうので、早めのチャージが重要です。
いいこと2:一日の代謝をあげる
たんぱく質を摂取することで、体温が上がり、代謝促進を期待できます。一日の消費エネルギーのうち、8割近くが基礎代謝や生活や仕事によるもの。朝食のたんぱく質が、午前中から日常生活での代謝を高めるポイントになります。いいこと3:一日の体内時計を朝型にして、太りにくく!
朝食に炭水化物とたんぱく質を摂取すると、乱れた体内時計をリセットし、朝型にしてくれる効果が。これにより、太りにくい体になります。いいこと4:一日の脳の働き、メンタルバランスを整える
たんぱく質には、脳神経の伝達を促進し、精神を鎮静させる働きもあります。夜空っぽになっているたんぱく質は朝しっかり補うことで、午前中から仕事のパフォーマンスがアップ。また、イライラや不安などメンタルバランスを整えて、ストレスフルな一日のスタートを切れます。子供やシニアには「乳製品」。アラフォー&アラフィフ世代は「魚・大豆」
有効なたんぱく質のとりかたや種類は、年齢や目的によって異なります。たとえば、骨格筋形期の18歳未満の子どもや、骨粗しょう症、筋力低下の予防が必要な65歳以上のシニアは、消化スピードが早いたんぱく質をこまめに食べることが重要です。
たんぱく質の消化、吸収、合成力は加齢とともに衰えるので、量の確保も必要。となると、食が少ない世代では、少量でも最も吸収効率が高い乳清たんぱく質を含む乳製品、特に発酵させたヨーグルトやチーズが有効。消化の早い半熟卵もいいでしょう。
一方、アラフォー以降、老化による内臓脂肪がつきやすくなる世代には、抗酸化栄養素や食物繊維も同時に摂取できる魚や大豆がおすすめ。これらは仕事のパフォーマンス向上やマインドフルにも有効です。
「朝たんぱく質」習慣のコツ
1.消化のいいもの体がまだ起きていない朝は、腸の働きを促し、消化吸収の優れた食品がおすすめ。そのひとつが、乳たんぱく質の牛乳や発酵させたヨーグルトやチーズ、大豆の発酵食、納豆、味噌などの発酵食品です。大豆は腹持ちがいい良質なたんぱく質ですが、消化スピードが遅いので、朝は豆腐や豆乳がいいでしょう。
2.アイスよりホット
長時間絶食状態の胃腸に冷たい食事は負担をかけます。消化吸収が高まるといわれているのは、人肌程度の36度前後。レンジで軽くあたためたホットヨーグルト、野菜スープや味噌汁など汁物をベースに利用して。
3.気負わず、手軽なもの
朝たんぱく質は、毎朝続けることが大切。最初から旅館のような和朝食を整える必要はありません。すぐに食べられ、いつものパンやご飯に簡単にプラスできる食材が便利ですよ。また、朝食だけでなく、おやつや間食にも利用できるものがココロのハードルを下げてくれます。
ここからは、年代別のイチオシたんぱく質商品をご紹介します。卵料理は朝食と馴染み深いですが卵以外のおすすめの食品を選出したので、食べられる方は半熟卵やゆで卵をトッピングしても良いでしょう。
子ども&シニアにおすすめ「乳清たんぱく質」
◆セブンイレブン「ショートパスタ カマンベール&チーズクリーム」 ショートペンネを使用したカップタイプの小さなパスタ。体を温ためてくれるクリームは、朝食にぴったりです。クリームベースにパルメザン、ゴーダ、カマンベール、ペコリーノの4種チーズで、乳清たんぱく質をチャージできます。特に、カマンベールチーズは白カビが脳の血流促進を促し、活性化するので、朝食べることで、勉強前の子どもやシニアの認知症予防に効果的です。
DATA
セブンイレブン┃ショートパスタ カマンベール&チーズクリーム
エネルギー:386kcal
たんぱく質:14.6g
アラサー・アラフォーにおすすめ「大豆たんぱく質」
◆相模屋「ゆず香るおだしの湯とうふ」 スーパーやコンビニでも購入可能な相模屋の「ひとり鍋」シリーズ。良質な大豆たんぱく質を消化しやすい湯とうふは、体にやさしくて朝たんぱく質にぴったりです。ゆずの香りと温かい豆乳スープで体を温めて、代謝を高めましょう。おかゆ感覚で食べることができ、しっかりたんぱく質をチャージ。お好みで卵やチキン、サーモンをトッピングしてもいいですね。
DATA
相模屋┃ゆず香るおだしの湯とうふ
内容量:豆腐300g、つゆ25g
エネルギー:159kcal
たんぱく質:13.3g
全世代のたんぱく質おやつ
◆セブンイレブン「7プレミアム 2種のチーズちくわ」 食欲がないときでもおやつ感覚でつまめる「チーズちくわ」。乳清たんぱく質のチーズと魚のたんぱく質同時に摂取できるチーズちくわは、全世代に食べて欲しい朝食&おやつです。ちくわは魚介のすり身状なので消化吸収がしやすく、適度な糖質も含むので、実は朝食向き。DATA
セブンイレブン┃7プレミアム 2種のチーズちくわ
エネルギー:109kcal
たんぱく質:10.5g
高タンパク低脂肪なヨーグルトにも注目を
朝ごはんに高タンパク低脂肪なヨーグルトも!
朝ごはんのヨーグルトの選び方もご紹介しています。甘さはバナナやフルーツ入りアレンジするのがポイントです。
1.高タンパク低脂肪
朝はたんぱく質が不足しがちなので、グリークヨーグルトやスキルなどの高たんぱくで脂肪ゼロタイプがベターです。ヨーグルトは動物性脂肪。動物性脂肪を抑えるということは、腸の老化につながる老廃物の発生を抑えられるということ。菌が腸内で働やすい環境をつくる、とても重要な要素です。
2.ノンシュガータイプがおすすめ! 甘さはバナナ、ベリー類、きな粉で
ダイエット効果の高い朝ヨーグルトの場合、やはりノンシュガーを選びたいもの。朝はフルーツを食べるチャンスなので、甘さはフルーツで補いましょう。大豆たんぱく質である「きな粉」もいいですね。
特に、たんぱく質合成に有効なビタミンB6や、セロトニンの原料であるメラトニンも含む「バナナ」、抗酸化栄養素とビタミンC豊富で糖質の低いベリー系「ブルーベリー」、たんぱく質豊富な豆類「きな粉」と一緒に食べられるアレンジレシピや献立を考えるのがおすすめです。
朝からたんぱく質を摂取することは、代謝を上げるだけでなく、脳の働きやメンタルバランスを整えるなど、さまざまなメリットがあります。毎日続けることが重要なので、手軽に取り入れられるものや続けやすいものから始めるといいでしょう。記事を参考に、「朝たんぱく質」生活にシフトチェンジしませんか?