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冬も薄着の子は体が丈夫?健康上のメリット・デメリット

【小児科医が解説】子どもは冬も薄着のことも珍しくありません。特に「はだし教育」が盛んだった頃は、冬も半袖・半ズボン、靴下なしなどで「体を鍛える」風潮がありました。実際に子どもは薄着の方が丈夫になるのか、薄着の健康面でのデメリットはないのか、注意点も含めて解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

真冬も薄着の方が鍛えられる? 以前は「はだし運動」に励む子も……

真冬も薄着の方が健康にいい?

冬も薄着の方が体が丈夫になる?

私が小学校の時は、冬でも半ズボンの制服を着ていました。制服でしたので寒くても長ズボンをはいていくわけにはいきません。1980年代以降になると子どもの「はだし教育」が推奨されたため、冬でも靴下を履いていない子も珍しくなかったように思います。

あるいは冬でも活発に外で走り回って遊ぶ子が多かったので、体温が上がり、結果として薄着の子どもが多かったのかもしれません。

そのような名残から、子どもは薄着の方が丈夫になるのと考える方もいるようです。「代謝が上がって健康に良い」「体が鍛えられて、風邪をひきにくくなる」「寒さに慣れる」といった健康法は、実際にはどうなのでしょうか?
 

「冬も薄着」「半袖・靴下なし」のメリット・デメリット

真冬も薄着で上着を着なかったり、半袖や靴下なしなどの健康法を行うと、まず影響を受けるのは体温です。体温が1℃下がると免疫力が30~40%も低下するといった報告もありますが、近年は子どもの低体温も問題になっています。

保育園に通園している5歳児181名を対象とした2004年の調査(前橋明先生の報告)によると、朝登園時の体温が36℃以上の子どもは、36~36.9℃が70.1%、37℃以上が15.5%と、8割以上を占める一方、36℃未満の子どもが14.4%もいることが報告されています。子どもの平均体温も、1935年は37.2℃だったのが、1960年には37.1℃、1980年には36.3℃、1995年になると36.2℃と変化し、数十年という期間で見ると大きく下がっていることが確認できます(田中英登先生の報告)。

以前により、子どもの体温が下がっていること、低体温の子どもが多くなっていることから、昔のような一律な対応では、しんどくなる子どもが増えていく可能性があります。

真冬も薄着で過ごす場合、運動などで体温をしっかり上げられる前提であれば、問題ないかもしれません。「冬も薄着」のメリットは、汗をかくほど運動できること、寒暖差に対して慣れる、ということがあります。デメリットは、何もしなければ体温が下がってしまい、血圧が上がったり、免疫力が下がったり、自律神経のバランスが崩れたりすることです。

靴下なしは「はだし教育」として、はだしで活動すると、足の発育、発達に大きな役割を果たすといわれており、風邪の罹患率が低いという報告もありますが、怪我や感染症のリスクが高くなるとの報告もあります。
 

「冬も薄着」はケースバイケース……その子にあった着方が一番

冬も少し薄着にする場合、体温には注意しておきましょう。子どもは代謝がよく、もともと体温が高めなので、大人に比べて少しぐらい薄着でも大丈夫なことがあります。逆にいえば、薄着で低体温になるなら、薄着であまり我慢させないほうがよいかもしれません。やはりその子にあった衣服にしたほうが良いでしょう。

また、靴下なしやはだし教育は、土踏まず形成によく、足幅も広くなります。運動不足や肥満傾向で土踏まず形成が悪いケースもあるので、その点では有効でしょう。ただし裸足だと、異物を踏んで足を怪我したり、外の場合は土壌の菌による感染症を起こしたりすることがあります。特に破傷風には注意が必要ですが、子どもたちの多くは破傷風に対するワクチンをしているかと思います(DPT-IPVワクチンといって4種混合ワクチンです)。破傷風については「破傷風の症状・治療・予防」を参考にしてください。また、冬に無理をしてはだしでいると、血行が悪くなり、しもやけになってしまい、かゆみや痛みが出てしまうこともあります。はだし運動も薄着でいることも、よいところは生かしつつ、無理のない範囲で行っていくのが良いでしょう。

もともと、薄着で平気という子もいますし、寒がりの子どももいます。冬も薄着についてはメリット・デメリットがありますので一律に対応するのではなく、個々の子どもに合わせた対応が望ましいと言えます。
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