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今野敏原作の警察ドラマは「おじさん世代」が素敵に輝く!人間味あふれる魅力

警察小説の名手と言えば今野敏。ドラマガイドの竹本さんによると、迷いや悩みを抱えながらもがんばるおじさん達の人間らしい姿に魅力を感じるんだとか。『隠蔽捜査』『ST 赤と白の捜査ファイル』など、イチオシ作品を紹介していただきました。

竹本 道子

執筆者:竹本 道子

ドラマガイド

警察小説の名手・「今野敏」原作で光る、おじさん世代の刑事たち

 
警察小説の名手・今井敏原作の映像作品をイチオシ!

警察小説の名手・今井敏原作の映像作品をイチオシ!


『隠蔽捜査』シリーズや『ST警視庁科学特捜班』など、警察小説の名手・今野敏の作品はドラマとの相性のよさを感じます。

おじさん世代の刑事である登場人物たちが事件を追う姿に加え、組織内の軋轢やそれぞれが抱える家族の問題なども時折クスッと笑いを誘う描写でていねいに運ばれ、迷い悩みながらもがんばるおじさんたちにエールを送りたくなりますよね。

孤高のクールな刑事像やスリリングなアクションシーンというよりは、人間味あふれる登場人物たちが放つ輝きこそが作品の魅力。仕事はできるのに時折あたふたするおちゃめな刑事たちが、いつの間にかかっこよく見えてくるから不思議です。

 

おじさん世代の機知にとんだ問題解決が痛快『隠蔽捜査』

今野敏

おじさんたちのがんばりに胸が熱くなります(出典:Amazon)

『隠蔽捜査』はテレビ朝日とTBSでドラマ化され、上川隆也主演で舞台化もされている人気シリーズです。2014年のTBS版では、東大卒のエリート官僚・竜崎伸也(杉本哲太)と、彼の小学校の同級生でもある警視庁刑事部部長・伊丹俊太郎(古田新太)、2人のキャリアが活躍する痛快作。2人の関係性も人間ドラマとして興味深いものがあります。

キャリアの立場から事件にかかわる視点は斬新で、立場をどうまっとうしどう生かすか、おじさんたちの機知にとんだ捜査のはこび方もみどころのひとつ。安田顕、生瀬勝久、神保悟志ほか、おじさんたちの迷い悩み意地を張る姿に共感しながら、時折おちゃめに映るところが話題を呼びました。タイトルは隠蔽捜査ですが、人間味あふれる登場人物たちが生きる前向きで明るい物語と言えそうです。
 
DATA
TBS『隠蔽捜査』

出演:杉本哲太、古田新太、安田顕、松澤一之、三倉茉奈ほか
原作:今野敏『隠蔽捜査』シリーズ、『去就-隠蔽捜査6-』(去就)
企画:古賀誠一(去就)
脚本:中澤圭規、嶋田うれ葉、松本美弥子、熊本浩武、小山正太(去就)
演出:岡本伸吾、酒井聖博、田中健太
音楽:窪田ミナ
チーフプロデューサー:橋本孝
プロデューサー:橘康仁
ナレーター:麻実れい

 

経験がモノを言う刑事ドラマが気持ちよく更新される『確証~警視庁捜査3課』

今野敏

窃盗犯を追う警視庁捜査3課の信念が真実を暴く
(出典:Amazon)

原作は今盗犯捜査一筋の『萩尾警部補』シリーズです。高橋克実演じるベテラン刑事・萩尾秀一と榮倉奈々演じる新人刑事・武田秋穂のコンビが、プロの技で自信を見せる窃盗犯たちとの知恵比べや、殺人事件を担当する花形・捜査1課との軋轢などを背景に事件の真相にたどり着く、一見地味な内容ですが、グイグイと引き込まれるおもしろさがあります。

伝説の窃盗犯や情報通の登場、経験がもの言う捜査は古典的にも感じますが、ぶつかり合う心理戦は興味深く、説得力があります。古いタイプのドラマですが、クールなオープニングは必見。個人的には萩尾刑事に一目置く、捜査1課の課長を演じる角野卓三の演技に注目しています。ファミリードラマの印象が強いかもしれませんが、刑事×上司を演じる角野卓三の空気を緩めたり引き締めたりする巧さは絶品です。

もちろん高橋克実の主演もみどころ。哀愁が漂うこともあれば、たとえ一人でも戦う信念を感じさせる背中が大きく見え、おじさん世代の旨みが輝きます。
 
DATA
TBS『確証~警視庁捜査3課』

出演:高橋克実、榮倉奈々、設楽統、山本龍二、柳下大ほか
原作:今野敏『確証』
脚本:森下直、武田有起、松本美弥子
演出:吉田健、竹村謙太郎、北川雅一
プロデューサー:倉貫健二郎、加藤章一、齊藤彩奈
エンディング:家入レオ「Message」

 

今野敏×藤原竜也 突拍子もない個性派集団がいつの間にかクセになる『ST 赤と白の捜査ファイル』

今野敏

連続ドラマのあと映画化もされた人気作品
(出典:Amazon)

若い世代が活躍する科学捜査を描いた『ST 赤と白の捜査ファイル』の原作も今野敏です。若い世代の科学捜査を描く、今野敏の奥深さに改めて感動します。

嗅覚が優れている、聴覚が優れている、プロファイリングが優れているといった特殊能力を有する科学捜査班「ST」のメンバーが個性的すぎてゴチャゴチャと散乱するのではないかと思っていたのですが、さらに上をいく藤原竜也の圧倒的なオリジナリティーが不思議とメンバーを集約することでひとつの世界観として楽しめ、こうなるのかと驚いた作品のひとつです。

藤原竜也、岡田将生のほか林遣都、窪田正孝、志田未来といった実力派俳優陣の巧さを実感できます。若い世代と今野敏作品の新鮮な出会いが、スピード感、二転三転のハラハラドキドキを生み新しいエンターテイメントをつくりあげました。

『隠蔽捜査』のおじさん×おじさん、『確証~警視庁捜査3課』のおじさん×若き女性刑事、そして今回の強きの分析官×弱気のエリート、2人の人間を基軸に展開するドラマの深化をぜひ堪能してください。
 
DATA
東宝『ST 赤と白の捜査ファイル』

出演:藤原竜也、岡田将生、志田未来、芦名星、窪田正孝ほか
原作:今野敏『ST 警視庁科学特捜班』
脚本:渡辺雄介
監督:佐藤東弥
音楽:木村秀彬
主題歌:ファンキー加藤「太陽」
制作:中山良夫、福田博之、堀義貴、市川南、細野義朗、鈴木伸育、柏木登、桜井徹哉
ゼネラルプロデューサー:奥田誠治
エグゼクティブプロデューサー:神蔵克、伊藤響、門屋大輔
プロデューサー:森雅弘、藤村直人、星野恵
ラインプロデューサー:高橋政彦

 

警察ドラマだけじゃない、人情がはちゃめちゃにあふれ出す『任侠学園』

今野敏

映画『任侠学園』。笑えます。
(出典:Amazon)

弱きもの、困った人たちのために奔走する社会貢献型集団として奮闘するヤクザたちを描いたコメディー『任侠学園』。経営不振の高校を立て直すため、阿岐本組がひと肌脱ぎます。約束されたハッピーエンド、はちゃめちゃであり得ない方法論に加え、悪だくみする大人が登場する学園ドラマあるあるが散りばめられ、その”いかにも”が楽しいのは、西田敏行を筆頭に芸達者な俳優陣のなせる技です。

ヤクザのおじさん(+おやっさん)たちの可笑しさと、高校性たちの伸び伸びした演技が絡み合う風景になんだか元気がもらえます。西田敏行の『また逢う日まで』は必聴、佐藤蛾治郎、中尾彬、高木ブーの待ってましたの演技も素敵、老若男女が楽しめる作品です。
 
DATA
エイベックス・ピクチャーズ『任侠学園』

出演:西島秀俊、西田敏行、伊藤淳史、葵わかな、葉山奨之ほか
原作:今野敏『任侠学園』
監督:木村ひさし
脚本:酒井雅秋
音楽:末廣健一郎
主題歌:東京スカパラダイスオーケストラ「ツギハギカラフル」(cutting edge / JUSTA RECORD)
製作:勝股英夫、川城和実、加太孝明、清水武善、大西繁、松田陽三、安部順一、木村徳永
エグゼクティブプロデューサー:寺島ヨシキ、安藤親広
チーフプロデューサー:西山剛史
プロデューサー:古草昌実、長谷川晴彦
アソシエイトプロデューサー:関根健晴
ラインプロデューサー:小柳智則

 

ドラマ化された名作はほかにもたくさん

今野敏

2015年テレビ東京『水曜ミステリー9』枠で放送された『ビート』。主演は内藤剛志です。
(出典:Amazon

第6シリーズまで放送された佐々木蔵之介主演の『ハンチョウ』シリーズや、内藤剛志主演の『樋口警部補』シリーズも長く愛されている作品です。2021年1月15日にはテレビ東京の「金曜8時のドラマ」枠で、『今野敏サスペンス 警視庁強行犯係 樋口顕』がスタート。特番で放送されてきた作品がいよいよ連続ドラマ化します。警察小説のスペシャリスト今野敏の作品で刑事ドラマのスペシャリスト内藤剛志が主演する注目の物語、ぜひ期待してください。
 
DATA
新潮文庫┃ビート―警視庁強行犯係・樋口顕―

著者:今野敏
発売日:2008年5月1日
ページ数:470ページ


人間味あふれる登場人物たちをていねいに描いた今野敏作品は、見れば見るほど深みにはまること間違いなし。記事を参考に、お気に入りの作品を見つけて今野敏ワールドの扉を開いてみては?
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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