アドバイス1 厚生年金に加入できる勤務先、働き方を考えること
TOKIOさんも、このままでいいわけではないと自覚されているからこそ、ご相談をお寄せいただいたと思います。やりたい仕事がみつからない、わからないというのは、理解できなくもないですが、それも30歳まで。現在、職業訓練校に通っておられるのですから、それを生かした職場をぜひ、見つけてください。その際、厚生年金に加入できること、社会保障が充実していることを重視されるといいでしょう。現在は国民年金も免除ということですが、将来、受け取れる公的な年金額に大きな違いがでてきます。とかく、年金不安が話題になり、若年層は自分の老後に年金はもらえないから未払いにするといった話も耳にしますが、年金は破たんしません。今はそれでいいかもしれませんが、後悔するのは年老いた自分です。
収入の安定を図ること、国の制度を調べ、本当に苦しいときのセーフティーネットの存在を把握しておくことが大事です。いつまでも親に頼っていては、いけません。
就業については、ハローワークや、現在通っている職業訓練校の職員とも、よく話をし、アルバイトでもいい、ではなく、絶対、正社員になるという強い気持ちを持ってほしいと思います。
アドバイス2 投資より、まずは貯蓄。100万円を目指してコツコツと
このあとの話は、就職が決まってからになりますが、現時点でも、投資はストップしてください。TOKIOさんに必要なのは、投資ではなく、貯蓄です。いざ何かあったときに、数十万円の手元資金がなかったら、それも親御さんに頼るのでしょうか。まずは、100万円を目指して、コツコツと貯蓄をしてください。毎月のつみたてNISAの1500円と隔月の3000円。これはすべて貯蓄に回すことです。加えて、食費の削減です。家に食費として1万円いれるのは続け、ご自身の食費、外食をもう少し見直してください。ゲームをすることが悪いわけではありませんが、貯蓄がないなかで、課金してまでやることでしょうか。
これら支出を見直して、せめて、毎月1万5000円は積立貯蓄にします。これは、残ったら貯蓄ではなく、毎月の収入から自動的に振り替えられる、自動積立定期預金を利用しましょう。
確かに金利は、限りなくゼロに近いのですが、金利よりも大事なのは、生活費の口座と分けて、きちんと貯蓄の口座を作ることです。証券口座を開設したぐらいですから、簡単なことですよね。貯蓄用の口座のお金は、引き出さず、確実に100万円を目指してください。
就職したあとは、給料にもよりますが、2万円に増やす、3万円に増やすというようにレベルアップを図りましょう。投資の再開は、そのあとです。
現金が必要なのは、いざというときのためだけではありません。車が手放せないなら、ずっとこの先も車関連費は確実に出ていきます。残価設定型のローンで買われたとのことですが、5年経ったら、残価を一括で支払えなければ、また新たなローンが発生し、いつまでも車のローンを支払い続ける生活になります。車は現金で買える範囲で購入するようにしてください。
また、貯蓄ができるまでは、月額1000円、2000円の医療共済に入っておくことも検討してください。基本の医療費は国民健康保険でカバーできますが、ケガ、病気で入院したときの費用も親頼みでは困ります。最低限の保障は必要でしょう。
厳しい話になりましたが、まずは就職に向けて全力で取り組んでください。猶予はありません。セミリタイアするのは、まだまだ先の話ですよ。
就職でき、貯蓄の準備が整ったら、改めてご連絡ください。いい話が聞けることを楽しみにしています。
相談者「TOKIO」さんより寄せられた感想
厳しいご指摘ありがとうございます。自分自身まだ考えが甘いようで、何とかなると思っている自分がいました。今回のご意見を元に、見直し改善していきたいと思います。就職が決まって落ち着いてきたら、またご相談をお願いしたいです。いい報告ができるよう頑張っていきます。この度はありがとうございました。
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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/伊藤加奈子
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