マスク頭痛とは……コロナ対策で訴えが増えるマスクが原因の頭痛
マスク頭痛がつらい……マスク着用と頭痛の症状には実際に関連があるのでしょうか?
頭痛の種類・原因……片頭痛・緊張性頭痛・群発頭痛の違い
一言で「頭痛」と言ってもその種類は様々。大きく「一次頭痛」と「二次頭痛」の2つに分けられます。- 一次頭痛……片頭痛、緊張性頭痛、群発頭痛などで、脳そのものに特に異常がなく、はっきりとした原因が不明な頭痛
- 二次頭痛……髄膜炎、脳炎、副鼻腔炎、外傷、脳腫瘍、クモ膜下出血、視力低下などで、脳に何らの原因があって発生する頭痛
「片頭痛」は月に1~数回、1日中続く頭痛で、頭の片側でズキンズキンと脈を打つような痛みが起こることが特徴です。時に吐き気、光や音に敏感になるなどの症状を伴います。日常生活の動作で悪化し、頭痛が始まる前に目の前が眩しくチカチカして見づらいなどの前兆があります。片頭痛の原因の一つはストレスです。以前18歳以上を対象に行われた調査では、片頭痛は8.4%の人が感じていると報告されています。
「緊張性頭痛」は頭の両側が締めつけられるような痛みが数分から数日続く頭痛です。前兆や吐き気などの症状はなく、動いても悪化しません。原因は、精神的、身体的なストレスで、疲労、圧迫感、緊張、不安、うつ、運動不足、姿勢が悪い、かみ合わせなどの口・顎の異常が関与しているといわれています。同調査では、緊張性頭痛は22.4%の人が持っていると報告されています。
「群発頭痛」は、片側の目の奥から額、頭の横側にかけて、短時間の激しい耐えがたい頭痛が、数週から数ヵ月の期間(群発期間)に、毎日決まった時間に見られる頭痛で、約1000人に1人がこの症状に悩まされています。痛みは、拍動性はなく、目がえぐられるような、キリキリと刺すような痛みで片方にみられ、目の充血、涙、鼻水、鼻づまり、まぶたが腫れるなどの症状が見られることがあります。原因は、海綿静脈洞と呼ばれる細かい静脈が集まった場所が腫れることや男性ホルモンなどです。
「マスク頭痛」が起こる原因・メカニズム
マスクが原因で起こると考えられている頭痛は、「一次頭痛」の方です。マスク頭痛の原因は明らかになっていませんが、マスクによるストレス、マスクによる耳や顎への負担、マスクによる不快感、顔の温度の上昇、二酸化炭素の多い呼気を再び吸うことなどが関係しているのかもしれません。これらの要因により、片頭痛や緊張性頭痛がマスクで誘発されていることが考えられます。夏場はマスクによる顔の体温の上昇などで熱中症が起こりやすくなるため、熱中症の症状として頭痛が起きている可能性もあります。マスク頭痛の対処法・受診の目安
マスク頭痛の対処法の基本は、原因となっているマスクを外すことです。特に換気もよく、周りに人がいない状況であれば、感染症拡大の可能性も低いため、マスクを着けておく必要はありません。また、マスクの装着が必要な換気が悪く、人が密になるような環境に行かないことも、根本的な解決法の一つです。マスクを着ける際は、鼻と口をしっかりと覆って顔にフィットしないと効果がありません。顔の温度が上がりにくい素材のものや、耳などへの負担が減らせるような、自分に合ったマスクを選びましょう。
それでも頭痛が続く場合には、鎮痛薬の使用も有効です。市販の鎮痛薬で効果がない時には、片頭痛にはエルゴタミン、トリプタンなど、群発頭痛にはトリプタンなどの薬が使用されます。ひどい症状が続く場合は、医療機関を受診しましょう。