お金の悩みを解決!マネープランクリニック/マネープランクリニック・ラジオ番組『2020年の家計防衛』

コロナ鬱などで収入が増えない場合の家計の守り方【2020年の家計防衛】

自分の病気や家族の介護などで収入を上げることが難しい人のための家計防衛についてファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんとマネーライターの清水京武さんが解説します。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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本記事はAll Aboutマネーの連載『マネープランクリニック』の音声番組『2020年の家計防衛』で収録された、ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんとマネーライターの清水京武さんの対談をテキストで起こした内容です。※番組の視聴登録はコチラから

今回は自分の病気や家族の介護などで収入を上げることが難しい人のための家計防衛についてファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんとマネーライターの清水京武さんが解説します。(今回の収録は2020年8月に行われました)
 

過去に病気をした人や、親の介護で収入を上げることが難しい人はどうする?

深野康彦さん:皆さんこんにちは。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦です。

清水京武さん:こんにちは。マネーライターの清水です。今回のテーマですが、世帯収入のアップが期待できない場合の家計防衛ということです。言葉にするとネガティブな印象ですが、コロナ禍でこのテーマは避けられないだろうと思われます。世帯収入が期待できない要因ですが、一様ではなくいろいろありそうですよね?

深野さん:『マネープランクリニック』はかなり長く、雑誌時代から考えると20年近くやっているので、いろいろな相談者の方がいました。収入が増えないという方は、過去にご病気をされた方、精神疾患等を患った方、親の介護で働くことが難しい方といったケースがあります。あとは勤務先が厳しく賃上げをほとんどしてくれないとか。 一番ひどいのは、残業代がないのに副業禁止という規定がある会社もあったと記憶しています。やはり収入アップできない要因は、各家庭で状況は様々です。そこにコロナで収入減が襲っているという感じですよね。

特に今はコロナ鬱ともいわれて、精神疾患を患う人が今後増えていくのでは、という予測が出ています。やはり病気や精神疾患を患った方は、再発が最大のリスクですよね。働かなくてはと焦って再発させてしまうと、もっと働けない期間が長くなることもあります。このあたりは自分の体とよく相談して慌てずに、ということを強調したいです。 本来であればフルタイムで働けるのがベストでしょうが、無理のない範囲でアルバイトやパート等から始めて徐々に勤務時間を増やして、最終的には正社員になるというのは時間がかかると思いますが、長い目で見ればそれくらい慎重になったほうがプラスは大きいと思います。

一方で、家族にご病気の方がいたり、精神疾患がある方がいたりする場合です。例えば夫が病気の場合だと、妻が頑張らなくてはいけないのは分かりますが、その頑張っている妻が倒れてしまうと家計はより厳しくなってしまいます。だから、頑張りすぎないことがまず大切です。 焦る気持ちはありますが、一方ではやはり大病をしたり精神疾患がある場合、完治しないケースもありますよね。それと付き合っていかなくてはいけないことがあるんです。それを考えると、時間をかけて徐々にということです。もしそうなってしまったら、今は神様が休めといっているような感じで、じっくりと休むことも必要だと思いますよ。

清水さん:親の介護になると、どうでしょうか?

深野さん:これも『マネープランクリニック』の中で度々いっていますが、まず親の介護は必ず親のお金でやるということです。自分のことを考えると、子どもの頃に親に迷惑をかけたので最期くらいは親の面倒を見たいということで、お金を出してあげる人が結構います。しかし、これも心を鬼にしてやめてください。 酷なことをいうようですが、親と自分を比較すると、寿命の関係では親が先に亡くなります。

親のためにお金を使ってしまうと、自分たちのその先の老後はどうなるのか考えなくてはいけません。あるいは兄弟姉妹が何人かいて自分一人が出したとしても、親に財産があった場合、きちんと遺言書を残してくれればいいのですが……。それがなくて財産分与でもめた場合には、法定相続分通りに財産が分けられると、結局自分が使ったお金を回収できないこともあり得ます。 ですから、親の介護はまず親のお金から重点的に支払って、親のお金が出せなくなった段階で子どもたちがどうするか、です。この場合も一人なら仕方がありませんが、兄弟姉妹がいる場合にはできる限り均等に負担することです。そうはいっても各家庭で家計状況は違うでしょうから、均等にするのは厳しい家もあると思います。

その場合には、例えばお金の負担を少なくする代わりに労力で介護をします。例えば親が病院にいく時は自分たちが連れていくとか、金銭でカバーできない部分は労力で補います。それでしっかりと均等にするほうがいいと思います。 もう一つ、介護が必要な場合は、必ず早めに介護申請を行うこと。介護保険を使って実質1割負担で済むので、そういうものでうまくデイサービスを使うなりして時間を確保して、働ける環境を作っていただきたいです。 あとは民生委員を使うとか、いろいろな公的なものがあるのでうまく利用しましょう。

介護はどうしても、かかる時間が長くなります。自分一人で抱えてしまうと大変です。実は、介護と子育てはある意味似ている部分があるといわれています。 ただし子育ての場合は、時の経過と共に子どもが自分自身でできることが増えていくじゃないですか。親の手間がかからなくなります。でも介護って実は、子育てと逆なんです。時が経過するほど手間がかかって、自分たちがより大変になってしまいます。 一人で背負い込んでしまうのは大変です。特に地方に行くと、親の介護は子どもたちがやるのが当たり前の風潮です。それで自分たちの生活がままならないというケースに出会ったこともあります。もちろんそういう気持ちは大切ですが、本来介護をするほうの人が精神的にも体力的にも参ってしまうことがあるので、早いうちに役割分担を考えて、過度に背負い込まないようにすることが大切だと思います。これは金銭面、体力面、精神面を含めてです。

清水さん:あとは介護や病気に関係なく、世帯収入が増えないケースもありますよね。

深野さん:例えば片働きであれば、専業主婦の妻がアルバイトでもパートでもしてもらう。また妻がしっかりと働けるのであれば扶養範囲から外れて、妻自身が厚生年金等に入れば、これは老後の準備にもなりますよね。場合によっては正社員になるなどして、ダブルインカムを当たり前にして、2パワーで収入を得るかたちに変えていただきたいです。 2パワーだけれど収入が増えない、先行きを見ても当面昇級等が考えにくい人の場合は、転職を考えてもいいかと思います。転職に二の足を踏むのであれば、会社が許すなら副業をしていかないと、収入アップにはなかなかなりません。お子さんがいれば教育費を賄いながら、自分たちの老後の準備も必要で、これからまだまだお金がかかるケースがたくさんあります。 やはり若い人ほど収入が増えていかなくては厳しいです。それを考えると、若い人ほど収入が増えないのであれば、先ほどいったように転職や副業をすることも考えて、収入アップをしていただきたいです。

清水さん:それとあわせて、支出分も見直すことも外せませんよね。

深野さん:収入のアップ有無に関わらず支出部分を見直す、節約に励む必要は、このコロナ禍では誰にでも必要です。節約はリスクもないし、今日から誰でもできるわけじゃないですか。思い立ったが吉日です。 収入を増やすには苦労があるので、まずできることを考えるなら支出を見直して減らす。次に収入アップを考えるという流れでやっていくのが、これからの一番のポイントだと思います。

清水さん:病気や介護もそうですが、一人が頑張りすぎず抱えすぎず、特に介護は介護保険や介護制度を利用することでコストも抑えられるということでした。働ける方はパート、アルバイト、副業等の可能性も模索したいところです。共通していえるのは家計防衛、支出の見直しは効果的なのでぜひやってほしいというところですね。収入アップができない人は待ったなし、といってもいいですね。今回もありがとうございました。

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