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コロナ禍で固定費、住宅ローンの返済がきつい、そんな時どうする?【2020年の家計防衛】

コロナ禍で厳しくなった住宅ローンの返済についてファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんとマネーライターの清水京武さんが解説します。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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本記事はAll Aboutマネーの連載『マネープランクリニック』の音声番組『2020年の家計防衛』で収録された、ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんとマネーライターの清水京武さんの対談をテキストで起こした内容です。※音声で聴きたい方はこちらから(第35回 『住宅ローンの返済がきつい、そんな時どうする?』)

今回はコロナ禍で厳しくなった住宅ローンの返済についてファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんとマネーライターの清水京武さんが解説します。(今回の収録は2020年7月に行われました)
 

住宅関係のお金は節約できない。どうする?

深野康彦さん:皆さんこんにちは。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦です。

清水京武さん:こんにちは。マネーライターの清水です。今回はここでも何度も取り上げている、コロナが家計を圧迫しているということに原因があると思いますが、特に家計で厳しいのは固定費だと思います。その代表が住宅ローンだと思うので、それについて考えてみましょう。今後も住宅ローンの支払いが厳しい世帯が増えると、やはり感じますか?

深野さん:まだピークは過ぎていませんよね。これからどんどん増えていく状況でしょう。これを聞く頃には夏のボーナスの支給は終わっていると思います。まだ最終結果は出ていませんが、途中経過だと、全平均で5~6%程減るらしいです。最終までにもう少し悪くなるかなと感じます。 実はそれ以前に残業代が減っていて、手取額が減っている人はかなり多いです。当然家計の見直しをしなくてはいけないけれど、食費や水道光熱費、通信費なんかは見直せますよね。でも住宅関係のお金って節約できませんよね。

清水さん:なかなか……固定費ですからね。

深野さん:賃貸の人なら引っ越すという手はあるけれど、住宅ローンを組んでしまっている人は残念ながら無理ですよね。この部分は待ったなしなわけです。当然払えなくて延滞が続けば、最悪差し押さえだってありえます。やはり住宅ローンを組んでしまった人は、それが遅れないように返済プランをもう一度練り直さなくてはいけませんね。

清水さん:マンションなんかは、住宅ローン以外にも管理費や修繕積立金、人によっては駐車場代もかかってくるので、ますます厳しくなるかと思います。厳しくなる前に手を打ちたいと思いますが、どのように対応していけばよいと思いますか?

深野さん:少し先を俯瞰して住宅ローンの支払いが厳しくなりそうだと考えるなら、まずは金融機関に相談をします。延滞が始まってからよりも、始まる前のほうが銀行の人に与える心証は良いです。払えない状況を話して、払えるようなプランに返済計画を練り直します。一般的には返済期間を延長して、月々の返済額を減らすという考え方です。

清水さん:これはたぶん個々の金融機関や、あるいは担当者によっていろいろと対応の仕方が違ってくると思いますが、何であれ相談することが大事なんですね。

深野さん:まずそれが初動です。何度も言いますが、延滞が始まる前に動いてきちんと話をして、返済できるようなプランに組み直すことが大前提です。それしかないと言ってもいいかな。

清水さん:そもそも返済が厳しいとなると、すぐに元に戻るわけではなくて、厳しい期間が今回は長くなりそうですよね。

深野さん:長いと思います。新しい生活様式になり、ソーシャルディスタンスとか。飲食店なんかも今までの7、8割程度をMAXとして営業するようになっているじゃないですか。元に戻ることがもう難しいですよね。そう考えると、収入がすぐに戻ることもあり得ません。収入減は、むしろこれからが本番かもしれません。 取りあえず返済が滞る人は1日も早く相談に行ってください。うちは取りあえず大丈夫という人も、今回は繰り上げ返済等で家計の財務内容を強固にしておいたほうがよいと思います。

清水さん:繰り上げ返済というと、返済期間を短縮するのと返済額軽減型があって、多くの方は期間短縮型を選びます。そのほうが返済利息を軽減する幅が大きいのでそちらを選ぶ方が多いですが、その点はいかがですか?

深野さん:利息の軽減効果でいえば、期間短縮型のほうが多いです。でもそれをした場合は、月々の返済は全く変わらないわけでしょう?

清水さん:現状のままですね。

深野さん:それでつつがなく返せるのならよいです。先ほどマンション住まいの人は住宅ローン以外の費用もかかると言いましたよね。例えば修繕積立金です。絶対とは言いませんが最近多いのは、5年程度で階段のように上がっていくタイプです。 期間短縮型の場合、住宅ローンは変わりません。

でも修繕積み立て金が上がってしまうので、管理費なんかも広い意味で住宅費と考えると、やはり住宅費は今後増えるわけです。増えた段階でも家計は大丈夫なのかを考えてもらいたいです。 修繕積立金が増えたら厳しいと思う場合は、やはり返済額軽減型がよいです。ちなみに私もマンションに住んでいますが、1回目の大規模修繕を今やっています。

でも2回目のお金がないということで、どうするかもめています。 修繕積立金をどうやって準備するか。一番強烈なのは、いきなり月の負担が倍になるということです。数万円が一気に増えるんです。そうなると期間短縮型でもし組んでいたら、それがもろに乗ってくるわけでしょう? だから今繰り上げ返済をするなら、特にこれからキャッシュフローは2、3年見て厳しいでしょうから、現状維持で考えないでください。

収入はある程度減るという前提でキャッシュフローを見て、それでも余裕があるならよいです。どうかな、というくらいなら、そこで繰り上げ返済をするなら圧倒的に期間短縮型でしのがなくてはいけません。あとマンションに住んでいる人は修繕計画を考えてください。次に上がりそうかということを、もう一度ね。

清水さん:返済額を下げるほうを選んでも、支払利息を軽減する効果はありますよね。それで毎月の返済額が減ることも考えれば、返済額軽減型を選ぶという選択肢もありますね。あとはボーナス払いをしている人も深刻ですよね。

深野さん:まずは返済計画の練り直しで、ボーナスのウェイトを減らします。0にして毎月に乗せてもいいし、0が厳しければ、今4割の人なら2割程度に抑えるとか、計画の見直し相談をするとか。あるいは繰り上げ返済をボーナス部分だけするとか、そのように考えておくと良いですね。

清水さん:マネープランクリニックでも住宅ローンを抱えている人は多いですが、70歳過ぎまで返済が続く人も珍しくない時代です。収入減で支払いを続けると大変なので、やはり深刻な問題ではありますね。

深野さん:今回まだ収入という部分では、底を打ったといえません。例えば今回は原因が違いますが、リーマンショックがあったのは2008年です。収入がボトムになったのは翌年2009年です。そこから平均値でいうと、元に戻るまで8年くらいかかりました。 コロナは今後第2波第3波が来るかわかりませんが予測もされています。

新しい生活様式を考えると、元に戻るのにどれだけ時間がかかるかということです。収入がコロナ前に戻るのは、下手したら10年かかってしまうかもしれません。 それくらいの危機対応で家計の見直しをしていかないと、厳しいと思いますよ。逆にそこで見直しをしておけば、想定外に収入が増えたりしたら全部貯蓄に回せます。あるいは自分の楽しみに使える方もいるでしょう。当面は元に戻らないことを前提に家計を見直し、住宅ローンをどう返済するか考えたほうがよいと思います。楽観は禁物です。

清水さん:住宅ローンに関しては早めの行動、まずは金融機関に相談することを初動として行ってもらえればと思います。先生、今回もありがとうございました。

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