お盆やお彼岸におはぎ(ぼたもち)を食べるのはなぜ?

お盆やお彼岸におはぎを食べるのはなぜ?

お盆やお彼岸におはぎを食べるのはなぜ?

お盆やお彼岸などになると、「おはぎ(ぼたもち)」をお供えし、食べる風習があります。

そもそもお盆は旧暦の7月15日に修行僧らに食べ物を布施して供養し、餓鬼道(死後の世界で飢えに苦しんでいる状態)に落ちた亡き母を救ったという『盂蘭盆経(うらぼんきょう)』が起源になっていると言われています。

お彼岸は、祖先の魂が、「彼岸」すなわち、反対岸である死後の世界から、我々が住んでいる世界である「此岸」へ戻ってくるとされている日です。どちらも、ほかの仏教国では行われていない、日本独特の文化です。「おはぎ(ぼたもち)」は、せっかく祖先の魂が帰ってくるのだからと、お供えするお菓子のひとつ。

おはぎ(ぼたもち)をお供えする理由には、
  1. 砂糖は貴重であったため、甘い餡を使ったお菓子を祖先にお供えした
  2. 小豆の「赤」が「魔除け」になると信じられていたため
  3. 米を使って「五穀豊穣」を祈願する
などの説があるようです。
 
おはぎは饅頭類と比べて比較的作りやすいお菓子なので、自宅で作ってお供えしやすかったという理由もあるのかもしれません。
 

おはぎとぼたもちの違い……季節・大きさ・米の種類など諸説あり

おはぎとぼたもちの違いには諸説ありますが、有名な説として以下の5つが挙げられます。また、おはぎとぼたもちなどを総称し、以下では「あんこもち」と記しますね。
 
1. 作る季節による違い……春のぼたもち(牡丹餅)・秋のおはぎ(御萩)
お菓子の名前は、その季節に咲く花からつけられたものも少なくありません。ぼたもちは漢字で「牡丹餅」。おはぎは漢字で「御萩」です。

ぼたもちの牡丹は4~5月に開花しますが、和服などの日本文化では「季節先取り」を粋としているので、春分のころ(春)に食べる「あんこもち」をぼたもちと呼んだのかもしれません。おはぎの萩のシーズンは7~9月です。お盆~お彼岸のシーズン(秋)に咲く花ですので、このころに食べる「あんこもち」をおはぎと呼んだのでしょう。

また、春、秋以外の季節に作る「あんこもち」にも実は別名があります。これは春・秋以上に由来が粋で、夏は「夜船(よふね)」、冬は「北窓(きたまど)」と言います。

「あんこもち」の「もち」は餅つき臼などで盛大にぺったんぺったんと搗くことなくできあがるため、いつ搗いたかわからないのですが、夏も冬もここからの言葉遊びで名前が付けられています。

「(餅を)いつ搗いたかわからない」→「(夜は船が)いつ着いたかわからない」→「夜船」
「(餅を)搗き知らず」→「(北向きの窓からは月が見えないので)月知らず」→「北窓」
 
昔の人は風流です。

2. 大きさの違い……大きいぼたもち・小さいおはぎ
牡丹と萩の花の大きさを比べると牡丹のほうが大きいので、大きいものを「ぼたもち」、小さいものを「おはぎ」と呼んだという説もあります。

3. 餅の搗き加減の違い……ぼたもちはしっかり餅状、おはぎは米粒が残る程度
ぼたもちは「手で持つとぼたぼた垂れる」ほど、しっかり餅状になるまで搗いた餅を使い、おはぎは米粒が残っている状態の「餅?」を使うという説。ぼたもちのように完全に搗く際は米をめった打ちにすることから「全殺し」、おはぎのように米粒が残った状態の搗き方を「半殺し」とも言います。

4. 使う米の種類の違い……ぼたもちはもち米・おはぎはうるち米
ぼたもちはもち米を使い、おはぎはうるち米(通常は炊いて食べる米)を使って作ります。

5. 餡の種類の違い
ぼたもちはこしあん(保存してあった小豆を煮たため皮が硬かったので取り除いた説)
おはぎは粒あん(晩夏~初秋は穫れたての柔らかい小豆が手に入りやすかったので、皮の柔らかい小豆が手に入りやすかった説)
 
いろいろ御託を並べましたが、地域性やその家庭独自の呼び方もあると思います。結論としては、ぼたもちもおはぎも(夏船・北窓も含めて)基本的には同じお菓子と思ってよさそうです。
 

おはぎの栄養・健康効果……栄養バランスは良くないが少量でエネルギー源に

おはぎは原材料は、小豆、米(もち米・うるち米、どちらの場合もあり)、砂糖、若干の塩だけです。小豆に含まれる若干のたんぱく質とたくさんの糖質でできていますので、栄養学的に栄養バランスがよいかと言われると、残念ながら「良い」とは言えません。

ただし、モリブデンと銅が豊富に含まれていることと、小豆のポリフェノール、食物繊維の健康効果は少しだけ期待してもよいかもしれません(とは言え、少しだけです。一度に食べる量も少ないので)。

お米と餡でずっしりとした感じから、栄養豊富で夏バテにも効果的なのではと考える方もいるようですが、夏バテしていても食事が食べられる人にはおすすめしません。反対に食事がのどを通らないほどバテてしまっている人には、食べやすい食品だと思いますし、少量でもエネルギー源になりますので、おはぎなら食べられるというなら、食べていただくといいと思います。

健康な人は、「心の栄養」として召し上がってください。
 

おはぎはあくまでも菓子。原材料は米でも主食扱いはNG

「おはぎ」はあくまでもお菓子の一種なので、食事に組み込んで「栄養バランス」を求めてはいけないような気がします。強いて言うならばおはぎの原材料は「米」ですので、お彼岸の時だけなどに限定して主食に置き換えて食べるのは、アリだと思います。

きなこやごま、青のりなどは「米」との相性がいい上に「色彩」も増えるので、餡のかわりにこれらを使ってもいいでしょう。実際、きなこを使った「おはぎレシピ」などもありますね。

食事の一環と考えても、おやつと考えても、飲み物は和風のものが合うと思いますが、餡を使ったお菓子(和菓子)とブラックコーヒーなども意外と合います。栄養学的に良い組み合わせ、というものでありませんが、季節の食を楽しむという意味でいろいろ試してみるといいと思います。
 

栄養学的には「糖質の塊」だが、縁起や文化的背景からの食の楽しみに

おはぎは栄養学的に見れば「糖質の塊」ですので、食べすぎにはやはり注意が必要です。一方で文化的な面を考えると、土用の丑の日に「う」のつくものか「黒いもの」を食べるというような習慣もあります。おはぎは「黒いもの」の一種ですから、この時期におはぎを食べることは縁起の良いことと考えていいと思います。あくまで「ハレの日」の食べ物として、古くから伝わるおはぎの風習を楽しんでみてはいかがでしょうか。
 
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