夏の登下校、子どもにマスク着用は不要!

子どものマスク・小学生のマスク

子どもの感染対策に、夏もマスクは必要? 大人よりも体温が高くなりやすい子どものマスクはどう考えるべきでしょうか?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策が続く中、今も多くの子どもがマスクをつけて学校生活を送っているようです。しかし、夏の登下校中や体育の授業などのマスク着用は、子どもの体に負担になることがあります。昨年まではマスク着用が促されてきましたが、2022年、厚生労働省も「子どものマスク着用が必要ない場面」として、登下校や体育の授業、さらには屋内での読書や調べ学習などの時間などを挙げています。

今回はマスクの感染予防効果と、夏場に子どもがマスクを使う場合の注意点、適切な感染予防法について解説します。
 

夏のマスクの危険性……大人以上に注意が必要な子どものリスク

新型コロナウイルス感染症は、以前に比べ落ち着いてきましたが、この夏もなくなるわけではなさそうです。感染経路は飛沫感染と接触感染が中心ですので、これらのリスクを下げる工夫は引き続き必要になるでしょう。マスク着用は飛沫感染による感染拡大予防にも、病原体のついた手でうっかり顔を触ることによる接触感染予防にもなりますので、感染対策として有効といえます。

しかし、マスク着用がすべての場所ですすめられるわけではありません。夏特有の注意点もあります。夏は特に呼気からの体温と水分の喪失がマスクによって妨げられるため、マスクをつけることで体温が上がりやすくなる可能性があります。本来なら上がった体温は、汗が蒸発することで下げることができますが、汗が蒸発しにくくなることで、体温上昇も起こりやすくなります。特に子どもの場合は体の代謝がよく、体温も高めなことが多いので、大人以上に体温が上りやすい可能性があります。

一方で、マスクをつけていると口腔内の湿度だけは保持されてしまうため、のどは乾燥しにくくなり、渇きを自覚しにくくなります。脱水が進んでも水を飲みたいという渇きのサインに気づきにくくなるリスクもあるのです。
 

マスクを夏につける場合の注意点……汗や息苦しさで効果低下も

一般的なサージカルマスクは、飛沫による周りへの感染拡大を予防することができますが、つけている人自身の感染予防効果は議論のあるところです。効果があるという報告も効果がないという報告も見られますので、マスクだけで十分に予防できると過信するのは禁物です。

またマスクをつけるときは、鼻と口をしっかりと覆い、顔とマスクの隙間ができるだけ少なくなるようにする必要がありますが、正しくつけることで呼気がマスク内に残って籠りやすくなります。冬場はあまり気にならなくても、高温多湿の夏場は、マスク内も汗をかきます。体温で温まった呼気には水分も含まれていますし、顔の汗は乾きにくいことから、マスク内の体温は下がりにくくなるでしょう。

大人はマスクが不快でも、必要に応じて我慢したり、その場に応じた判断で適宜外したりと調整できるかもしれませんが、子どもにはマスクの適切な脱着の判断は難しいものです。湿ったマスクは空気が通りにくくなり息苦しさを感じやすくなりますが、そのまま暑い中で息苦しさを我慢するのもよくありませんし、新鮮な空気が吸えるようにマスクに隙間を作ってつけると、息苦しさを我慢してつけていても、マスクの実際の予防効果は下がってしまいます。
 

熱中症の症状……めまい・頭痛・吐き気から、意識障害、命にかかわることも

喉の渇きへの対処の遅れや、体温上昇によりリスクが高まるのが熱中症です。熱中症を起こしやすい因子は様々で、温度の高さ、湿度の高さ、風の弱さなどの環境の他、乳幼児、激しい運動、慣れない運動などが挙げられます。体温が上昇することで、全身に様々な症状が起こります。

軽度の熱中症であれば、大きな体温の上昇はなく、めまい、手足の筋肉のぴくつきなどが起こる程度ですが、症状がひどくなると、頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感がみられます。重症になると高体温になり、痙攣や意識障害などが現れ、適切な処置をしなければ、肝臓や腎臓の機能障害、血液の凝固異常が起こり、死に至ることがあります。

また、熱中症でみられる体温の上昇と血液の凝固異常は新型コロナウイルス感染症の合併症でもみられますので、今年はその点でも注意が必要でしょう。新型コロナウイルス感染症が疑われる場合はPCR検査や胸部X線やCTなどの検査が必要になることがあります。熱中症について詳しくは、「熱中症とは…熱射病・熱疲労の症状・治療・対応方法」「熱中症の重症度と対処方法」「熱中症の予防と対策」もあわせてご覧ください。
 

適切な感染対策と熱中症予防……健康的に両立できる工夫を

登下校時中や体育の授業などの運動時に子どもにマスクが必要かどうかは、感染予防のメリットと今回挙げたようなその他のリスクを考えて判断する必要があります。現在の厚生労働省や医師会の発表では、マスクは必要ないと発表されているシーンが増えていますので、一律去年と同じように考えるのは危険です。気温や湿度が上がり、マスクによる熱中症リスクが高いと考えられる場合は、子どものマスクの着脱を、時と場所によって上手に使い分けることが大切です。

特に屋外では、人とある程度(2m程度)の距離を確保できる場合と会話をほとんど行わない場合は、マスク着用は必要ありません。具体的には人と離れて行う運動や移動、鬼ごっこなど密にならない外遊び、自然観察、写生活動などです。

屋内でも、人とある程度(2m程度)の距離を確保できて会話をほとんど行わない場合は、マスク着用は必要ありません。具体的には読書や自習などです。

2歳未満の子どもではマスク着用は推奨されていません。2歳以上の就学前の幼児での場合は、体調を踏まえてマスク着用を考えることになります。咳エチケットなどは考える必要があるでしょう。

子どもの場合は、本人の体調がすぐれず持続的なマスクの着用が難しい場合は、無理に着用する必要はなく、特に夏場については、熱中症予防の観点から、屋外でマスクの必要のない場面では、マスクを外すようにしましょう。

登下校中に基本的にはマスクの着用を学校で促している場合でも、お互いの距離を2m程度あけられたり、不要な会話や大声での会話を控えたりすることで、マスクを外すことはできると考えられます。また、屋外でのマスクをしてのスポーツは熱中症リスクが高くなります。

マスクをすることで、表情を読み取ることが難しくなることを推測され、子どもでは新型コロナウイルス感染症で重症化する可能性が低いことから、マスクの必要性について成人よりメリット、デメリットを考えると、「マスクの必要でない」という表現になるかもしれません。

とはいえ、ワクチン接種率が高くなく、年齢も限られている中では感染対策は必要です。子どもはつい手で色々なものを触ったり、その手で顔を触ってしまったりするものです。マスクを外しているときは、顔をできるだけ触らないようにすること。触る場合は、手をしっかりと洗うこと。可能ならアルコールなどで手指や身近なものを消毒する癖もつけさせるとよいでしょう。熱中症予防として、塩分を含む水分をこまめに定期的に摂取するように促すなど、感染対策と、熱中症予防を両立していく工夫が大切です。

■参考
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