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子どもを授かり家族が増えることは人生の大きな喜びかと思います。しかしながら妊娠や出産にはお金がかかるのも事実です。今回は妊娠や出産に関してもらえるお金についてまとめてみたいと思います。妊娠や出産でもらえるお金をチェック
出産にはどれくらいお金がかかるのか?
出産は病気ではないため基本的には健康保険の対象外です。そのため通常分娩の場合にかかる費用は自己負担が原則となります。平成24年の厚生労働省のデータによると出産自体にかかる費用は全国平均で約49万円とかなり高額であるといえます。出産すると出産育児一時金が支給される
前述したように出産には高額な費用がかかりますので、それを補うために加入している健康保険からは「出産育児一時金」が支給されます。金額は子供1人あたり42万円(注1)です。なお事前に医療機関の窓口で「直接支払い制度」の手続きをしておけば、健康保険から医療機関に「出産育児一時金」が直接支払われますので、退院時には出産にかかった費用と42万円の差額負担だけで済むことを覚えておきましょう。注1:産科医療保障制度の対象にならない出産の場合は40.4万円
働く女性の出産には出産手当金と育児休業給付金が支給される
働く女性が出産する場合は出産前後に産休をとるかと思います。産休中の給与の取り扱いは会社によってまちまちかと思いますが、仮に給与が出ない場合でも健康保険(注2)から「出産手当金」が、また産休後に育児休業をとる場合には雇用保険から「育児休業給付金」がそれぞれ実際に休んだ日数に応じて支給されます。注2:国民健康保険加入者は対象外
●出産手当金
出産手当金は産休中の給与の代わりとなるものですが、給与と同額がもらえるわけではありません。過去12か月の月給(標準報酬月額)の平均を日給に換算した額の3分の2が支給日額とされ、98日分(産前42日+産後56日)を上限に支給されます。予定日より遅れた場合はさらにその日数分が加算されます。
例)予定日に出産した月給平均24万の女性、産休を上限98日取得した場合
24万円÷30日の8,000円が日給、その3分の2の5,333円が支給日額となります。予定日に出産のため5,333円×98日分の522,634円が支給されることになります。
●育児休業給付金
育児休業給付金は休んだ日数が180日を境に支給額が変わります。すなわち180日までは日給(注3)の67%が、181日以降は50%が支給日額となり育休をとった日数分が支払われます。なお育児休業給付金が支払われる期間は子供が1歳(注4)になる日の前日までです。
注3:育休開始前6か月の総賃金を180で割った額で正しくは作業開始時賃金日額という
注4:保育所に入れないなど一定の要件にあてはまれば最長2歳
例)先ほどの日給8000円の女性が産休後(産後56日後)育休で308日休んだ場合
(8,000円×67%×180日分)+(8,000円×50%×128日分)の1476,800円が支給されることになります。
中学卒業するまでは児童手当が支給される
子供が大きくなるにつれ当然家計への負担も増えることになります。そのため子育てを支援するために、子供が中学校を卒業するまでは「児童手当」が支給されます。支給額は子供1人につき3歳未満が月額15,000円、3歳以上小学校終了前までは月額1万円、中学生は月額1万円が2月、6月、10月の年3回に分けて支払われます。ただし親の所得が一定(所得制限限度額)以上の場合は、上記の年齢にかかわらず月額5,000円の支給となります。また支給には申請が必要で、申請月の次月からが支給対象となります。申請が遅れた場合でも遡っての支給はされません。里帰り出産で実家にしばらくいる場合でも生まれたらすぐに現住所のある市区町村に申請するようにしましょう。
年金保険料も一定期間免除に
もらえるお金ではありませんが、年金保険料も一定期間が免除されます。国民年金加入者ならば出産(予定)日の前の月から4か月間(注5)が免除されます(産前産後の国民年金保険料免除制度)。厚生年金加入者ならば産休中および育休中は、最大で子供が3歳になる前まで保険料が免除されます(産前産後休業保険料免除制度・育児休業保険料免除制度)。なおいずれの免除の場合でも年金保険料を納めた期間とみなされますので、将来の年金額が減額されることはありません。注5:多胎の場合3か月前から6か月