子育て

子どもに夫に両親に「つい」言っちゃう…これって肉親スイッチ!? 

友達には絶対に言わないようなことを、子どもや夫には平気で言ってしまう……。こう悩む母親はとても多いものです。なぜ起こるのでしょうか? そして、どうすれば抑えやすくなるのでしょうか? 子育て心理学を交えてお伝えしていきます。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

家族につい言い過ぎてしまうという悩み、その対策は?

つい出てしまう“余計なひと言”を防ぐには?

つい出てしまう“余計なひと言”を防ぐには?

ママ友や仕事仲間には決して言わないような言葉を、子どもや夫には平気で言ってしまう……。こう悩む母親はとても多いものです。

なぜ家族以外の人なら抑えられるのに、家族だと歯止めが利かなくなりやすいのでしょうか? どう工夫すれば、その言葉を飲み込みやすくなるのでしょうか?

子育て心理学を交えて、そのからくりと対策についてお伝えしていきます。
 

家族だけに言い過ぎてしまう……いうなれば、肉親スイッチ

ある女性から聞いたお話です。

「子どもを叱っているときに、いったんスイッチが入ってしまうと、言ってはいけないことまで言ってしまい、歯止めが効かなくなることがあります。友人関係ではこんなことないのに……。夫や自分の親に対してもやってしまうので、肉親スイッチともいえるでしょうか……」

これを読んで、「私も!」と感じた方も多いのではないかなと思います。これは育児のあるあるでして、とくに子どもに対して、余計なことを口走ってしまうことは非常に多いものです。「しまった!」と思っても、時すでに遅しで、結局子どもも傷つけ、自分自身も自己嫌悪で悩む……。このような経験、ない人の方が少ないかもしれません。

我が子に対してやってしまうというケースが一番多いようですが、夫、また自分の両親に向けられることもあるようです。まさにこの方がおっしゃるように「肉親スイッチ」といえます。では、なぜ身近な人には、言ってはいけないことまで口にしてしまうのでしょうか? 
 

肉親スイッチはなぜ発動してしまう?

実は私たちは、子ども、夫、親以外にも、辛辣な言葉を何の躊躇もなく吐き出している相手がいます。誰だと思いますか? それは、他ならぬ“自分自身”です。人間は、他者に対しては決して言わないような悪態を、自分に対しては平気でつくものです。

たとえば、
 
「何て私は最低なんだ」
「もうバカじゃないの」
「あ~もう私って最悪」
 
こんなダメ出しを、自分に言ってしまうことがあると思います。これが自己嫌悪などの負の感情へとつながるわけですが、もしその人が、子どもや夫、そしてご両親をも「自分サイド」に取り込み、同化するほどの位置づけとして捉えてしまうと、ママ友だと抑えられる怒りが、そのまま躊躇なく吐き出されてしまうのです。とくに子どもたちは、まさに自分のお腹から出てきたので、この「同化」が起こりやすくなります。
 

距離が近すぎるがために、あうんの呼吸で動いてくれる期待感

この肉親スイッチは、ご自身が完璧主義傾向がある方ほど、発動されやすい傾向があるようです。
 
完璧主義の人は、「ああすべき、こうすべき」という言葉を心の中で繰り返している傾向があるといわれています。自分に対しての完璧主義の場合、「私は○○すべきだ」や、逆に「私は◯◯すべきでない」が多いのですが、子どもや夫に向けて、「あの子は○○すべきだ」「夫は○○すべきでない」と強く求めてしまうと、肉親スイッチがどうしても入りやすくなってしまいます。
 
いくら身近な家族であっても、みなそれぞれの意思のもとで動いているわけで、いくら母親が「ああすべき、こうすべき」と心で思っていても、思い通りにならないことは多々あるものです。それなのに、いつのまにか近すぎてボーダーがなくなり、母親の意思で何とかコントロールできる感覚になってしまうことがあります。こういう状態のときに言葉の爆発は起こりやすくなります。距離が近すぎるがために、あうんの呼吸で動いてくれる期待感があるけれど、実際には思うように動いてくれるわけではないから、イライラして、肉親スイッチが入ってしまうのです。
 
ママ友や会社の同僚、あとは学生時代からの旧友、いくら近しい人といっても、自分の中でははっきりとしたくくりがあるものです。他者としての認識がしっかりあるので、自分の期待をごり押ししようとは思いません。「これ以上は言っちゃダメだ」とか、「ここは踏み込んではいけない」というような線も感じているので、たとえ腸が煮えくり返るほど「腹が立った」としても、基本的には言葉を飲み込むことができるものです。
 

家族であってもそれぞれが自分の意志で動いている

肉親スイッチを入れないようにするためには、いくら近い存在でも同じではないということを意識することがとても大事です。とくに子どもたちとは、毎日一緒にいるので、何でも分かっている気持ちになります。誰よりも理解していることは確かなのですが、自分自身が子ども本人というわけではありません。子どもにも子どもなりの考えがあり、それをもとに行動しています。母親が思っている方向には進まないことも十分ありうることを想定しておかないと、簡単にスイッチに手が伸びるようになってしまいます。
 
ただ、子どものこととなると穏やかでいられなくなるのは、それだけ必死だからでもあります。愛が強いため、こうでありたい、こうであってほしいという思いが比較にならないほど高まり、力が入ってしまうのです。
 
でもその力をちょっとゆるめて、今より少し距離を開けて見守ってあげた方が、お互いやりやすくなります。「この子にはこの子なりの考えがある」「夫には夫の考えがある」とそれぞれの「個」を強調する見方です。
 
うっかり肉親スイッチを押しそうになったときには、裏技的なことですが、「誰かが窓から見ている」とか、「今、ビデオで撮られている」というような想像をすると、いい制御になることがあります。人前だと気持ちをコントロールしやすいことを利用し、「今は外の目があるんだ」ということをイメージできると、言葉を飲み込みやすくなりますので試してみてください。
 
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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