外出自粛による運動不足・筋力低下……長期的な健康リスクも
外出自粛の中でも適度な運動習慣を保つことは大切です。運動時の注意点は?
新型コロナウイルス感染拡大予防のため、2020年4月7日に全国で緊急事態宣言が発令されて以降、外出自粛を余儀なくされ、自宅で過ごす時間が増えていることと思います。休校やテレワークにより、通学や通勤などもなくなり、多くの方が体を動かす機会を失っているようです。運動量、活動量が減ることで消費カロリーも少なくなるため、体重増加に悩んでいる方も少なくないかもしれません。そして、体の機能は使わなくなったものから衰えてしまいます。
筋肉量が減少することでの問題は様々です。若くても長期的に見て、
- 転倒しやすくなる
- 血流が滞りやすくなって不調が出る
- 生活習慣病のリスクが高まる
こうしたリスクを回避するためにも、短い時間でもしっかりと運動を続けることが大切です。今回は外での運動の安全性と注意すべきポイントについて解説したいと思います。
運動に伴う飛沫感染リスク……ソーシャルディスタンス2mでは不足?
人と人との距離を一定以上空ける「ソーシャルディスタンス(社会的距離)」という言葉が使われるようになりました。厚生労働省は、人と人との間に十分な距離を保持(1m以上)すること、また、会話や発声時には、特に間隔を空ける(2m以上)ことを要請しています※1。また飛沫の飛ぶ様子についても「マスク着用の重要性」という動画を掲載しています※2。ただしこれは人がお互いに止まっている状態での調査です。ベルギーのルーヴァン・カトリック大学とオランダのアイントホーフェン工科大学が共同で行った最新の研究※3では、ジョギングや自転車など走っている人の後ろにいる場合は、さらに十分な距離を取らないと、空気の流れによってウイルス飛沫を浴びる可能性があると指摘しています。
■研究論文※3から推奨される運動中の他人との距離
- 徒歩:4~5m
- 早歩き:5~10m
- マラソン:10m
- サイクリング:20m
人と横並びで移動する場合は、前後で移動するときよりも飛沫による感染リスクは少ないと考えられています。感染を予防するためにはなるべく人の少ないところを選び、周囲に人がいるところでは日焼け対策用のフェイスガードなどで飛沫を飛ばさないようにしましょう(人がいないところでは下げておくことができます)。またマスクをつけた状態での運動は過度に心肺機能に負担をかけやすくなりますので、息苦しさなどを感じる場合はムリをせずに運動強度を落とし、場合によっては中止するようにしましょう。もしくは周囲に人がいない場所に移動してから、マスクをしない状態で体を動かすことを心がけましょう。
外での運動に伴う接触感染リスク・対策法
また、屋外での運動は人と適度な距離をとりながら積極的に行ってほしいものですが、誰もいない公園などであっても、複数の人が触るような器具に触れるような場合は注意が必要です。すでに多くの鉄棒や雲梯等は使用禁止になっているようですが、共有の遊具や器具を触った後には、必ず除菌スプレーや除菌のウェットティッシュなどで手を拭くようにしたり、それらに触れた手で目や鼻を触らないようにしたりといったことを心掛け、接触感染にも注意するようにしましょう。そして帰宅した後はすぐにしっかり手洗いを行うこと。ウイルスが付着しているかもしれないということを念頭におき、正しい感染予防対策を行いましょう。
自粛中も適度な運動習慣をキープして、健康的な毎日を
自宅で過ごしていると、運動量、活動量が減ってしまい、心身ともにストレスを抱えやすくなります。適度に体を動かすことは、健康的に生活をするためにも必要不可欠です。室内でできるストレッチやエクササイズだけではなく、屋外で自然を感じながら行うウォーキングやジョギングなども上手に取り入れ、気分転換をはかりながら毎日を健康的に過ごせるようにしていきましょう。■参考文献等
※1 新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大防止に向けた職場における対応について(要請)(厚生労働省:PDF)
※2 マスク着用の重要性(厚生労働省:YouTube動画)
※3 Towards aerodynamically equivalent COVID19 1.5 m social distancing for walking and running(英語:PDF)