お金の悩みを解決!マネープランクリニック/40代独身の人のお金の悩み

46歳一人暮らし。60歳までに住宅ローンを完済したいのと、破産した母と妹のことも相談したいです(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、一人暮らしで住宅購入をして60歳までに住宅ローンを完済したいと考えている46歳の独身会社員女性です。破産してしまった母親と引きこもりの妹の今後についても悩んでいるといいます。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 60歳で住宅ローン完済は可能なので、家計の整理を

ご家族の複雑なご事情が心配ですが、最初に、ぽちさんご自身の不安を解消していきましょう。当面の目標は60歳までに住宅ローンを完済したいということですね。これは問題ありません。
 
現在の家計収支のままだとして、毎月の貯蓄額は1万6000円。このうち2000円は火災保険や住宅保険の支払いのための積み立てなので、除外すると毎月1万4000円。年間で16万8000円です。これにボーナスの90万円も貯蓄されていますので、年間で106万8000円の貯蓄ができています。ぽちさんが60歳になるまでの14年間で約1495万円、これに今ある683万円を加えると2178万円になります。
 
60歳時点での住宅ローンの残りは、おそらく900万円程度。60歳時点で一括繰り上げ返済しても、1278万円が残ります。60歳以降については、アドバイス2で説明しますが、金銭的な問題はありませんので、住宅ローンの繰り上げ返済については、60歳で一括繰り上げ返済でもいいですし、100万円ずつ定期的に繰り上げ返済していってもいいと思います。ただし、常時、貯蓄が500万円は残るよう計画的に行ってください。住宅ローン控除の適用期間があと7年ありますが、ローン控除にとらわれることなく、できるときに繰り上げ返済をしていくほうが、ぽちさんの精神的な安定につながると思います。
 
老後の金銭的な心配がないとしたら、現時点で、家計の見直しをして、支出を整理しておいてもいいのではないでしょうか。たとえば、カメラの分割払いについては、金利ゼロではありますが、一括で返済してしまい、少額の借金は精算してしまいましょう。通信費については、見直し予定はないようですが、1人分の通信費としては、やや高いということは心にとどめておいてください。保険については、医療保険の見直しを検討中とのこと。ぜひ実行してください。貯蓄もありますので、過剰に保険に頼る必要はありません。入院日額5000円で掛け捨ての保険で十分です。おそらく保険料は半分以下になると思います。
 
気がかりなのは食費です。いくら一人暮らしとはいえ、月1万円というのは驚きです。浮いた保険料分は食費に回し、健康維持のために食生活は大切に考えてほしいと思います。
 

アドバイス2 60歳以降の支出は減るので、公的年金のみでも大丈夫

60歳以降についても、金銭的に困ることはありません。先に説明したように、60歳時点で一括繰り上げ返済しても、1278万円が残ります。60歳から10年確定年金が受け取れますから、563万円が老後資金として上乗せでき、さらに確定拠出年金もあります。
 
公的年金の受給開始となる65歳まで再雇用で働くということですから、貯蓄を取り崩さなくていい収入が得られれば、問題なく老後を過ごすことができるでしょう。
 
60歳時点で、住宅ローンの返済がなくなり、趣味娯楽費も今より少なく、保険料も減っています。おそらく生活費は10万円程度で収まるのではないでしょうか。65歳からの公的年金も、現時点での見込みで14万5000円ということですから、貯蓄を取り崩すこともないでしょう。
 
ご家族のことや勤務先のことで、悩まれたり、不安に思うこともあったようですが、自分の生活をしっかり整え、貯蓄のベースを作られてきたからこそ、この先の安心があります。よく頑張ってこられました。このペースを維持していけば、何も心配することはありませんよ。
 
貯蓄も先取りで、金利のいいところをこまめにチェックされているようなので、それで問題ありません。つみたてNISAはお休み中とのこと。無理に継続することはありません。確定拠出年金は個人型であれば、掛金を増やすことも考えられますが、繰り上げ返済を優先するなら、今の掛け金のままでもいいでしょう。
 

アドバイス3 お母さまと妹さんへの支援は、もう1人の妹さんと相談を

最後に、お母さまと妹さんのことですが、ご家族にしかわからないこともあります。FPとしてアドバイスできることには限りがありますので、参考程度に読んでいただければと思います。
 
まず、生活保護については、難しいかもしれません。同居していなくても、親子、兄弟姉妹には生活扶助義務があります。ぽちさんは理不尽に思われるかもしれませんが、生活保護を受ける前に、生活扶助義務者が支援すべき、ということが前提にあります。
 
できるところまでは、2人で生活してもらう、という考えでいいとは思いますが、もしも、少しだけでも支援することで、妹さんが立ち直るきっかけになるかもしれません。何よりも2人の健康を維持するために、考えてあげてみてはいかがでしょうか。ただし、ひとりですべてを背負うことはありませんし、ぽちさんに経済的に依存することになるのは元の木阿弥、絶対に避けてください。もう1人の妹さんともよく相談されてみてください。
 
たとえば、ぽちさんが月2万円、もう1人の妹さんが月1万円。計3万円を援助できれば、お母さまの年金8万円と合わせて月11万円。2人の生活費としては厳しいかもしれませんが、妹さんが少しでも前に進むためには、最低限の生活費以外にプラスアルファのお金も必要です。
 
ぽちさんにとっても、精神的に落ち着けるのではないでしょうか? このままでは、お母さまと妹さんの問題は解決しません。この先もずっと悩んだり、不安に感じてしまうかもしれません。金銭的に妥協できる範囲で援助することで、あとは、お母さまと妹さんが解決すべき、と割り切り、距離を置くことができるかもしれません。
 
いずれにしても、地域のサポートを受けるためにも、一度、ご家族で話し合われたほうがいいでしょう。
 

相談者「ぽち」さんから寄せられた感想

住宅購入後、しばらくは、失敗したかな?と思うこともありましたが、月日が経つにつれて安心して過ごせるようになってました。それでも時折ローン完済や老後資金には不安に感じていたので、相談して良かったです。結婚した妹の家計も厳しいので、まずは趣味のカメラの少額負債を完済して、ローン組み替え後をメドに私に依存しない形で母を応援したいと思います。マネープラン以外の家族の悩みまで、心温まるアドバイスをいただけて気持ちを新たに1歩前進できそうです。丁寧なアドバイス、本当にありがとうございました。
 

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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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