物件を探している当初は3人で住むことも考えましたが……

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、一人暮らしで住宅購入をして60歳までに住宅ローンを完済したいと考えている46歳の独身会社員女性です。破産してしまった母親と引きこもりの妹の今後についても悩んでいるといいます。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料です)

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60歳までに住宅ローンを返済したいです

60歳までに住宅ローンを返済したいです



■相談者
ぽちさん(仮名)
女性/会社員/46歳
関東/持ち家(マンション)
 
■家族構成
一人暮らし
 
■相談内容(原文まま)  
初めまして。住宅ローンを返済しつつ、趣味を楽しみながら貯金を増やしたいと思い相談させていただきました。地方出身の私、様々なストレスから背中に帯状疱疹ができて寝るのもやっと。当時派遣先とも上手く行っていなかったので、両親を頼り2003年関東へ越してきました。派遣先に自宅近くの企業を紹介していただき、子会社の正社員として採用され、親会社に吸収されて現在に至ります。

引っ越し当時は妹と両親で2Kに4人住まい。ふすま隔てた部屋、酒癖の悪い父と口論となり、半年後一人暮らしを開始。家賃補助の支給開始が2010年頃でしたが、更新料と保証会社更新料がネックと感じ、親会社の吸収が早い段階で分かっていたので、住宅購入に踏み切りました。完済60歳を目標としています。アドバイスいただけると嬉しいです。

悩みは、親会社吸収時に勤続年数は引継ぎましたが、確定拠出型年金は数年前からの加入ですので、60歳定年で時間がないため、老後の資金が不足しているのではないのか?再雇用を利用して65歳まで働きたいです。趣味が5年前に出会った一眼レフ。いろんな方と交流が増えて旅行する仲間もできたことで、楽しく過ごすモチベーションとなっていますが……。高額なカメラとレンズ、金利ゼロで分割払いなので完済して、貯蓄して、繰上げ返済に回した方がいいのか? ローン減税分を当てにせずに、100万円単位で繰り上げ返済に回すのがいいのか悩んでいます。現在の貯金は、ボーナス全額使わず貯金。満期祝い金の保険積立・子会社の退職金・持株一時解約金などで貯蓄。

財布にあると思うとダメなタイプなので、先取り方式で貯蓄してきました。もう一つの悩みは、母と妹。父が数年前、がんで他界。母は64歳(年金・企業年金・遺族年金受給:約8万円。2002年破産したため貯金なし)。妹2名。1人は結婚しており1人は母と同居中、熱中症にかかり、職場で倒れてから働くことが恐怖となり、引きこもり中。仕事経験も少ないため、年金はほぼ支払いができていない状況。貯金100万円。ただ、家賃更新・通院代に使用している可能性があり、正確な金額は不明。

母の破産の理由は、会社員として働いていた父が独立した事で多重債務に陥ったため。残っていた私と叔母で、司法書士を介して自己破産(実家もその際、処分)。賃貸のため、公営の住宅に申し込んでいますが、当選する場所がバスも通らない不便な場所ばかり。少々足が不自由な母には居住が難しいため断っているので、今後の当選が難しいかも。生活保護の相談もしたが、できないと断られたそうです。

物件を探している当初は3人で住むことも考えましたが、様々なストレスが溜まり帯状疱疹が再発するのではと不安に。薄情かもしれませんが、母が元気なうちは2人で頑張ってもらい、ダメ元で生活保護を受けてもらって、妹が自立できる環境にしたいと考えています。最後は人生相談っぽくなってしまいましたが、いいアドバイスいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。
 
■家計収支データ
相談者「ぽち」さんの家計収支データ

相談者「ぽち」さんの家計収支データ



 
■家計収支データ補足
(1)住居費について
♢住宅ローンについて
・購入時の物件の状況:中古マンション・築年数18年
・借入時期:2017年
・物件価格:2100万円 
・頭金:0円
・ローン残高:1700万円
・借入期間:変動35年で3年固定
・金利のタイプ:変動金利 0.55% 
・毎月の返済額:5万7500円
・ボーナスの返済額:0円
・固定資産税:10万円 ※住宅ローン減税分より支払いをしている
 今までの繰り上げ返済額は250万円。
 
(2)加入保険について 合計2万8000円
1. 10年確定年金保険(基本年金額56万3000円) =毎月の保険料1万5000円
2. 医療総合保険・終身払い =毎月の保険料1万1000円 
3. 医療保険=毎月の保険料2000円

(3)年金について
18歳より社会保険加入。数年間、国民年金保険加入。未払い期間1カ月分あり(追加支払不可)。ねんきんネットの試算: 月額14万5000円 
 
(4)退職金の有無について
退職祝いとして支給はあるが、金額は不明。確定拠出年金:現在の資産25万2000円 現在の運用で試算:225万円
 
(5)家族について
現在、母の年金で生計を立てており、私への支援依頼はない。父の葬儀後、家族会議を開き、家族間・消費者金融での借金NG、お金の支援なしとしています。
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 60歳で住宅ローン完済は可能なので、家計の整理を
アドバイス2 60歳以降の支出は減るので、公的年金のみでも大丈夫
アドバイス3 お母さまと妹さんへの支援は、もう1人の妹さんと相談を
 

アドバイス1 60歳で住宅ローン完済は可能なので、家計の整理を

ご家族の複雑なご事情が心配ですが、最初に、ぽちさんご自身の不安を解消していきましょう。当面の目標は60歳までに住宅ローンを完済したいということですね。これは問題ありません。
 
現在の家計収支のままだとして、毎月の貯蓄額は1万6000円。このうち2000円は火災保険や住宅保険の支払いのための積み立てなので、除外すると毎月1万4000円。年間で16万8000円です。これにボーナスの90万円も貯蓄されていますので、年間で106万8000円の貯蓄ができています。ぽちさんが60歳になるまでの14年間で約1495万円、これに今ある683万円を加えると2178万円になります。
 
60歳時点での住宅ローンの残りは、おそらく900万円程度。60歳時点で一括繰り上げ返済しても、1278万円が残ります。60歳以降については、アドバイス2で説明しますが、金銭的な問題はありませんので、住宅ローンの繰り上げ返済については、60歳で一括繰り上げ返済でもいいですし、100万円ずつ定期的に繰り上げ返済していってもいいと思います。ただし、常時、貯蓄が500万円は残るよう計画的に行ってください。住宅ローン控除の適用期間があと7年ありますが、ローン控除にとらわれることなく、できるときに繰り上げ返済をしていくほうが、ぽちさんの精神的な安定につながると思います。
 
老後の金銭的な心配がないとしたら、現時点で、家計の見直しをして、支出を整理しておいてもいいのではないでしょうか。たとえば、カメラの分割払いについては、金利ゼロではありますが、一括で返済してしまい、少額の借金は精算してしまいましょう。通信費については、見直し予定はないようですが、1人分の通信費としては、やや高いということは心にとどめておいてください。保険については、医療保険の見直しを検討中とのこと。ぜひ実行してください。貯蓄もありますので、過剰に保険に頼る必要はありません。入院日額5000円で掛け捨ての保険で十分です。おそらく保険料は半分以下になると思います。
 
気がかりなのは食費です。いくら一人暮らしとはいえ、月1万円というのは驚きです。浮いた保険料分は食費に回し、健康維持のために食生活は大切に考えてほしいと思います。
 

アドバイス2 60歳以降の支出は減るので、公的年金のみでも大丈夫

60歳以降についても、金銭的に困ることはありません。先に説明したように、60歳時点で一括繰り上げ返済しても、1278万円が残ります。60歳から10年確定年金が受け取れますから、563万円が老後資金として上乗せでき、さらに確定拠出年金もあります。
 
65歳までは再雇用で働くということですから、公的年金の受給開始65歳までは、貯蓄を取り崩さなくていい収入が得られれば、問題なく老後を過ごすことができるでしょう。
 
60歳時点で、住宅ローンの返済がなくなり、趣味娯楽費も今より少なく、保険料も減っています。おそらく生活費は10万円程度で収まるのではないでしょうか。65歳からの公的年金も、現時点での見込みで14万5000円ということですから、貯蓄を取り崩すこともないでしょう。
 
ご家族のことや勤務先のことで、悩まれたり、不安に思うこともあったようですが、自分の生活をしっかり整え、貯蓄のベースを作られてきたからこそ、この先の安心があります。よく頑張ってこられました。このペースを維持していけば、何も心配することはありませんよ。
 
貯蓄も先取りで、金利のいいところをこまめにチェックされているようなので、それで問題ありません。つみたてNISAはお休み中とのこと。無理に継続することはありません。確定拠出年金は個人型であれば、掛金を増やすことも考えられますが、繰り上げ返済を優先するなら、今の掛け金のままでもいいでしょう。
 

アドバイス3 お母さまと妹さんへの支援は、もう1人の妹さんと相談を

最後に、お母さまと妹さんのことですが、ご家族にしかわからないこともあります。FPとしてアドバイスできることには限りがありますので、参考程度に読んでいただければと思います。
 
まず、生活保護については、難しいかもしれません。同居していなくても、親子、兄弟姉妹には生活扶助義務があります。ぽちさんは理不尽に思われるかもしれませんが、生活保護を受ける前に、生活扶助義務者が支援すべき、ということが前提にあります。
 
できるところまでは、2人で生活してもらう、という考えでいいとは思いますが、もしも、少しだけでも支援することで、妹さんが立ち直るきっかけになるかもしれません。何よりも2人の健康を維持するために、考えてあげてみてはいかがでしょうか。ただし、ひとりですべてを背負うことはありませんし、ぽちさんに経時的に依存することになるのは元の木阿弥、絶対に避けてください。もう1人の妹さんともよく相談されてみてください。
 
たとえば、ぽちさんが月2万円、もう1人の妹さんが月1万円。計3万円を援助できれば、お母さまの年金8万円と合わせて月11万円。2人の生活費としては厳しいかもしれませんが、妹さんが少しでも前に進むためには、最低限の生活費以外にプラスアルファのお金も必要です。
 
ぽちさんにとっても、精神的に落ち着けるのではないでしょうか? このままでは、お母さまと妹さんの問題は解決しません。この先もずっと悩んだり、不安に感じてしまうかもしれません。金銭的に妥協できる範囲で援助することで、あとは、お母さまと妹さんが解決すべき、と割り切り、距離を置くことができるかもしれません。
 
いずれにしても、地域のサポートを受けるためにも、一度、ご家族で話し合われたほうがいいでしょう。
 

相談者「ぽち」さんから寄せられた感想

住宅購入後、しばらくは、失敗したかな?と思うこともありましたが、月日が経つにつれて安心して過ごせるようになってました。それでも時折ローン完済や老後資金には不安に感じていたので、相談して良かったです。結婚した妹の家計も厳しいので、まずは趣味のカメラの少額負債を完済して、ローン組み替え後をメドに私に依存しない形で母を応援したいと思います。マネープラン以外の家族の悩みまで、心温まるアドバイスをいただけて気持ちを新たに1歩前進できそうです。丁寧なアドバイス、本当にありがとうございました。
 

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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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