名画に隠された事実を知ると、美術の面白さを一層感じることが出来ます。
これまで知らなかった深い内容に感嘆
私は西洋美術が好きで、ルネサンスからロココ、写実主義、印象派とさまざまな名画を観てきました。名画が誕生するまでの社会情勢や画家の生い立ち、また画家の心情を探ることも楽しみのひとつです。2018年に開幕した「ルーベンス展 バロックの誕生」を観にいったときに、ルーベンスの作品が掲載されているということでこの本を購入。
誰もが知っている名画の、知らなかった奥深い内容を紹介しており、美術に疎い夫にもおすすめしたほどです。
名画それぞれの「裏」を知り、その奥を読む!
日本ではどちらかと言うと、作品を神聖視し美しく超越的なものとする傾向がありますが、実際は作品ひとつひとつに込められた「裏」があります。読み進めていくと、著者がいう「美術は見るものではなく読むもの」というのがよくわかります。
作品のメッセージを読み取るとわかる時代背景
ダウ作「玉ねぎを刻む少女」は、美しいメイドが玉ねぎを刻んでいる風俗画ですが、媚薬効果があると考えられていた「玉ねぎ」や、純潔の喪失を意味する「横たわった水差し」など、男主人を惑わす性的な存在として描かれています。 ふくよかな体形で描かれているフェルメールの「牛乳を注ぐ女」は、壁の下にあるタイル1枚に、愛の神キューピッドが描かれています。 矢の先は、当時女性が気に入っていた足温器に向けられていることがわかりました。この作品も、危なげなメッセージが隠されているのですね。インプットからアウトプットに繋がる一冊
長年西洋絵画は、さまざまなメッセージを伝えるための手段でした。つまり、観る人に感性を訴える芸術品というよりも、その作品に込められたメッセージ性を読むことが必要なんです。その深さを知れば美術館での絵画鑑賞も、より充実しゆっくりとした時間を過ごせるかと思います。
DATA
マガジンハウス│人騒がせな名画たち
著者:木村泰司
サイズ:B6判
ページ数:168ページ