お金の悩みを解決!マネープランクリニック/共働き夫婦・DINKS家庭のお金の悩み相談

44歳パート、貯金30万円。夫のリストラで自宅売却も検討中。新型コロナで月収も3万円減り……(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は夫のリストラと自身の体調不良による収入減に悩む44歳、パート・アルバイトの女性の方。住宅ローンも残り、貯蓄もなくなり、自宅を手放すことも考えているとのこと……。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 無理や焦りは禁物。健康最優先で改善していく

ご相談、拝見しました。

まず、生活でもっとも優先すべきことは、間違いなく、ましゃまろさんの健康維持です。これまで休職されていて、今月職場に復帰されたとのこと。しかし、その理由が体調回復というより、働かないと生活できないという不安や焦りからであれば、やはり心配です。
 
したがって、実際に働き始めて、ペース的にきびしく、勤務時間の短縮が可能なら、収入として3万~5万円程度に落としていく。そういった調整ができないなら、再度休職をするか、あるいは退職する。そのくらいの慎重さが、今は必要だと考えます。無理をして体調が悪化すれば、元も子もありません。
 
もちろん貯蓄ができないことは不安です。それがまたストレスにもなるかもしれません。しかし、家計は焦らず少しずつ改善していくことが、結果的に持続的な改善につながるのです。
 
収入がご主人だけだった状態では、毎月の赤字は平均すると2万円程度だったはず。つまり、3万円のパート収入があれば、多少支出が増えても何とか赤字は出さないで済むわけです。それでも、家計にとっては大きな前進です。
 
そこで、貯蓄の目標は100万円にしてください。今ある貯蓄が30万円ですから、あと70万円。ボーナスからは、現状の使い途を見ると数万円は余りそうですが、実際はきびしいかもしれません。それでも、パート収入が5万円あれば、月2万~3万円の貯蓄は可能でしょう。8万円程度、継続的に働くことができると、5万円は貯蓄に回りますので、年間で60万円。早ければ1年ちょっとで目標額に達成します。
 
以前は2000万円もの貯蓄があったことを思えば、100万円は小さな額と感じるかもしれません。しかし、きびしい状況から積み上げてできた100万円は、今の家計には大きな意味があると思います。
 

アドバイス2 保障は必要最小限に抑え、かつ割安で確保する

具体的な家計改善策としては、保険の見直しがあります。無理なく支出を減らすという意味で、もっとも有効です。
 
まず、ご主人の終身保険ですが、死亡保障として3000万円は過大。また、終身部分(主契約部分。おそらく死亡保障3000万円のうち300万~500万円)があるため、保険料が割高です。
 
ご主人に万が一のことがあれば、厚生年金から遺族厚生年金が支給されます。また、ましゃまろさんのケースでは、65歳まで中高齢寡婦加算が併せて支給されます。住宅ローンも、団体信用生命保険に加入されているはずですから、それ以降の支払いが免除されます。
 
保障は必要最小限に抑え、かつ割安で確保する。これが保険見直しの基本となります。そう考えれば、ご主人の死亡保障はほぼ必要ないとも言えるでしょう。ただ、ましゃまろさんに健康面での不安があるため、今後パートで働くこともきびしい時期があることも考えられます。それでも、確保して1000万円程度でしょうか。
 
そこでまず、現在加入の終身保険を払済保険(解約ではなく、保険料の支払いを停止する。これまで支払った保険料が無駄にならない)にします。そして新たに、割安な定期保険に加入する。保険期間10年、死亡保障1000万円で、保険料は月額3000円台半ば。15年でも4000円台前半です。これで、適正な保障を確保して、かつ保険料は1万円以上下げることができます。あるいは、死亡保障は不要と割り切って、新たに加入しなくてもいいと思います。
 
がん保険については、ご主人ががん家系でとくに不安であればこのままで。ただ、そうでなければ、より幅広く病気をカバーする医療保険に切り替えてもいいと思います。同じ終身保障終身払い、入院5000円の保障で、保険料は3000円以下で済むはずです。
 

アドバイス3 自宅売却を検討するのはまだ早い

あと、自宅売却ですが、まだそれを検討するのは早いと思います。
 
まず、ローンが残らない形で売却が可能かどうか。現在のローン残高は1600万円台半ば。場所やご自宅の状態にもよりますが、もしも、手数料、その他コストも考慮して1700万円程度で売却できないと、ローンが残ります。仮に100万円残れば、何もないものに対して、それを返済し続けなくてはいけません。
 
もうひとつ、ご実家に入った場合、親御さんとの同居が環境、その他の面で上手くいくかどうか。場合によっては、別のストレスを生まないとも限りません。また、いつまで同居されるのか。同居が限定的なら、その後は家賃が発生します。住み続けるとなると、いずれ老朽化による修繕費用や、他に兄弟姉妹がいる場合、相続の問題も発生するでしょう。
 
自宅売却によってまとまった額が手元に残るのなら、まだ考える余地もあるでしょう。しかし、それがきびしいなら、ましゃまろさんも働き始め、赤字脱却が見えてきているのですから、その方向で頑張っていくことをおススメします。
 
それよりも、家計改善の方法としては、ご主人の転職の方が期待できるのではないでしょうか。コロナウイルスの影響で、3万円程度減収するとのこと。しかし、物流業界全体としては活況です。詳細はわかりませんが、より高い収入を得られる転職先もあるのでは。もちろん、給与の額だけで職場の善し悪しを判断することはできませんが、今の時期をいい機会ととらえ、転職活動をしてみることは、決して無駄ではないはずです。
 
ともあれ、家計の赤字を脱却して、100万円の貯蓄を目指す。そして、当然、新たな借入はしない。それが第一段階です。次の段階については、またご相談をお寄せください。お待ちしています。
 

相談者「ましゃまろ」さんから寄せられた感想

確かに、回復しての復帰ではなく生活のための復帰だったので健康が一番と言っていただき少し救われました。体調を第一に職場に相談しながら無理なく勤務しようと思います。焦らずに、赤字にならないように生活改善をして貯金ができるように乗り越えていきたいと思います。ありがとうございました。

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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
  
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武


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