土地活用のノウハウ

2020年、不動産市況予測と新型コロナウイルスの問題

2019年好調であった不動産市況。現在の市況から推測すると、2020年3月に発表される地価公示でも、引き続き上昇となる公算が高いでしょう。2020年の目玉である東京五輪の行方と新型コロナウイルスが与える影響を鑑み、2020年の不動産市況を考えます。

谷崎 憲一

執筆者:谷崎 憲一

土地活用ガイド

好調であった不動産市況

2019年度の公示地価調査では、三大都市圏(東京・大阪・名古屋)は6年連続の上昇となりました。好調な不動産市況は、期間的にみれば平成初期のバブル期を超える長さとなっており、マンション価格は上昇、立地の良い不動産の賃料は上昇、オフィスの空室率は低下している状態です。

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現在の市況から推測すると、2020年3月に発表される地価公示でも、引き続き上昇となる公算が高いでしょう。
 

東京五輪の行方と新型コロナウイルスが与える影響

2020年の目玉である東京五輪の開催が危ぶまれております。

既に、五輪開催を契機に大規模な再開発事業が次々と進められており、2019年には渋谷スクランブルスクエアやフクラスのオープン、桜丘エリアの取り壊しなど、100年に1度といわれる渋谷再開発も順調で、JR山手線品川~田町間に「高輪ゲートウェイ」、東京メトロ日比谷線霞ヶ関~神谷町間に「虎ノ門ヒルズ」の新駅が設置され、周辺の再開発も本格始動されます。

その他、臨海エリアにも大規模な施設が次々とオープンする計画も進められております。

大規模な都市開発の経済効果は、日本全体に波及させていくことが期待され、さらに充実した都市への再構築が進めば、世界中から多くの人が集まる都市へと変化していくことになるでしょう。

しかし、新型コロナウイルスの問題がここに暗い影を落とし始めています。開発そのものは中止にはなりませんが、企業業績や雇用、個人消費の動向によっては、箱ができても期待されている通り「ヒト・モノ・カネ」が集まるマーケットの形成が困難な状況になる可能性があります。
 

不動産市況、考えられる3つのシナリオ

新型コロナウイルスの影響により、世界的な経済の収縮が懸念されます。今まで、東京の不動産価格は世界的に見てもまだ手頃であると言われており、不動産市況が大きく落ち込む状況は考えにくかったのですが、不透明になってきております。
 

シナリオ1:「コロナウイルス問題が今後も長期化し、世界的な不況に突入する」
不況により各国で内向的な政策が打ち出され、企業破綻、株価下落、消費停滞など負のスパイラルに陥り、日本の経済と不動産マーケットが大きく落ち込む。

シナリオ2:「新型コロナウイルスの抑制に効果が出始め、中期的ほどなく終息①」
多くの企業や個人投資家などは傷つき、苦しい時期はあるが、10年20年の長期的なスパンでは多くの方の記憶に残る一過性の事象となる。終息後は、東日本大震災の時のように力強い復興に向けた機運も景気を後押し。不動産は下落調整こそあれ、大きな下落とはならない。

シナリオ3:「新型コロナウイルスの抑制に効果が出始め、ほどなく終息②」
コロナウイルスの影響が限定的なものとなり、今後も引き続き世界的な金融緩和、積極的な経済対策が打ち出され、カネ余りの状況から更に高いレベルの好景気へと転換する。この場合、インフレになる恐れもあり、モノ不足による物価の急上昇も考えられる。不動産価格は更に上昇する。
 

貸家の着工数は減少も、高い需要が継続する賃貸市場

 
新設住宅着工戸数,貸家,持家.分譲住宅

新設住宅着工戸数の推移
 

賃貸市場に目を向けてみましょう。

2018年11月には34,902戸あった貸家着工数は、翌年の1月には24,776戸まで下落しました。その後、一旦は上昇を見せますが前年比マイナスの状況は変わらず、2020年1月には再び24,147戸まで下落しています。

背景としては、2018年に起こった「かぼちゃの馬車融資問題」や賃貸マンションに適した土地の供給減少、地価の上昇などが挙げられます。
特に、「かぼちゃの馬車融資問題」の影響は大きく、これをきっかけに金融機関は融資審査を厳格化し、新規貸し付けについて消極的になりました。融資がおりずに貸家の新設ができないケースが増えたことで、着工戸数の減少が続いたと考えられます。

また、加熱していた不動産市況にもともと警戒感を強めていた各金融機関は、個別に自主的な規制もかけ始め、不動産投資には融資できないと明言する金融機関も出てきております。
しかし、賃貸マーケットには明るい話題もあり、持ち家派と比べて賃貸派は年々増加傾向にあります。国土交通省の調査をみると、2016年に貸家(賃貸住宅)で構わないと回答した人の割合は13.3%だったのに対し、2018年には17.8%と調査開始以降最も高い結果となっております。更に都市部の世帯数も実は伸びていることもあり、賃貸住宅に対する高い需要はまだまだ続くのではないかと考えられます。
 

賃貸住宅経営は、資産形成の上でもリスクマネジメントになっている

大規模なイベントや再開発が目白押しの2020年ですが、今後の世界景気と日本の政治経済が不透明感を増しております。

賃貸用の商業施設やオフィスは更に混迷を極めると予測されますが、住宅系の賃貸オーナーさんにとっては、引き続き健全な賃貸経営を進めやすい環境となりそうです。

なぜなら、賃貸住宅の賃料は不動産価格やオフィスの賃料に比べ変動が少ない特徴があり、新型コロナウイルスの影響は賃貸住宅経営には及ばないと考えられるからです。

しかし、だからといって、何もしないでも良いということではありません。
条件の悪い物件は引き続き苦戦を強いられることになりますので、老朽化した物件を所有されているオーナーさんは特に注意が必要です。

ご自身の置かれている状況を改めて確認した上で、建替え、リノベーション、売却、組替えなどの様々なメニューの中から最適な選択をして行きましょう。

この好況の波の恩恵を受けられるよう、計画的かつ能動的な行動を心掛けていただきたいと思います。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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