現在は週4日で時短勤務ですが、少しずつでも勤務時間を増やしたいと思います

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、前職をうつで退職して、再就職したものの時短勤務であり、現状は赤字を埋めるために、預貯金の取り崩しをしているという54歳の契約社員の女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

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どこから手を付ければよいか分かりません

どこから手を付ければよいか分かりません


■相談者
どらごんずさん(仮名)
女性/契約社員/54歳
関東/借家
 
■家族構成
なし
 
■相談内容(原文まま)  
前職をうつで退職し、療養での約10年のブランクを経て、去年から今の職場に障害者枠で入りました。現在は週4日で5時間の時短勤務です。少しずつでも勤務時間を増やしたいと思っていますが、会社との交渉が必要になると思います。半年更新の契約社員です。

現状は赤字を埋めるために、預貯金の取り崩しをしています。どこから手を付ければよいか分かりません。障害者枠での雇用で、時短で勤務しているため、給与分8万2000円と障害厚生年金4万8758円の合計金額が1カ月の手取りです。趣味娯楽費は、新聞代とパン教室のコース代金のローン1万4800円と受講時の交通費です。雑費は通勤交通費1万7088円と医療費7000円、美容費1万円、被服費・日用品費5900円です。医療費は、4カ月に1回の検査時に増額分があります。保険料は終身共済8136円と年金共済1万5000円です。
 
■家計収支データ
相談者「どらごんず」さんの家計収支データ

相談者「どらごんず」さんの家計収支データ

 
■家計収支データ補足
(1)収支について
パン教室のコース代金のローンについて
借入額:8万9251円=8万6150円(元金)+3101円(金利)
返済期間:半年・6回払い
金利:約3.6%
 
(2)車両費について
車両代ローンの下記について
金利:約17.4% (据置型均等払)  174万円(元金)+30万2619円(手数料)
据置額:68万9000円(60回目の支払額)
借入期間 : 5年間
 
買い換えたばかりなので、買い換えは今はまだ考えていません。10年は乗りたいと思っています。買い換えるとしても軽自動車の予定です。
 
(3)ご家族について
兄(現在50代後半)が、車で数十分程度の場所に住んでいます。両親は他界しました。土地・家はなし、現預金は相続済みです。  他に母がしていた500円玉貯金の貯金箱が、幾つか自宅にあります。
 
(4)今後について
体調との相談ではありますが、働けるうちは勤めたいと思っています。
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 家計のダウンサイジングが急務だが、限界がある
アドバイス2 住宅費、車両費に手をつけないと根本解決に至らない
アドバイス3 体調優先で無理なく働き続けられることが一番
 

アドバイス1 家計のダウンサイジングが急務だが、限界がある

復職できるまで回復されたのは、本当によかったです。少しずつ勤務時間を増やせたら家計はラクになりますが、体調を崩してしまうようなことがあれば、元も子もありません。無理は禁物です。
 
とはいえ、現在の収支では毎月9万4000円の赤字で、家計のダウンサイジングが急務です。今ある預貯金の取り崩しをできるだけ抑えるには、厳しい選択もしなくてはなりません。
 
家計で細かく削減するとしても、食費を▲5000円、趣味娯楽費を▲5000円、雑費を▲1万円、さらに年金共済を解約するとしても、毎月の支出で抑えられるのは、3万5000円で、支出合計は19万円となります。しかしながら、これでも毎月6万円は貯蓄からの取り崩しが続いてしまいます。
 
家計の細かい見直しでは、根本的な解決にはなりません。
 

アドバイス2 住宅費、車両費に手をつけないと根本解決に至らない

そこで、どらごんずさんが決断しなければならないのは、住宅と車です。
 
住宅と車関連で毎月8万4000円程度の支出があり、残りは4万6000円。この金額で生活するのは、無理があります。そうであれば、やはり住宅と車をどうするか、考えないとならないわけです。
 
まず、車については、おそらく残価設定プランで購入されたと思われます。ただ、一般的なローンに比べて、金利が非常に高いうえ、10年乗り続けるのであれば、5年後には残価を支払うか、残価分を新たなローンで返済していくことになります。5年後の時点で残価を頭金にして新車に買い換えるにしても、車のローンは乗り続けている限り、続くことになってしまいます。
 
そこで、現在の車は売却し、50万円程度の中古車に買い換えて、ローンをなくすこと。これは、今の職場、住まいを変えられないのであれば、最初の選択になるかと思います。残価設定プランの車の売却は、簡単ではありませんが、ディーラーだけではなく、買取専門業者にも問い合わせをしてみてください。ただ、車のローンがなくなっても、収支の赤字は残ってしまいます。
 
次の選択肢として、今の仕事を継続するのであれば、車通勤しなくてもいい場所に引っ越しをし、車を手放すことです。引っ越し費用がかかりますが、車を手放すことで、ローンの他、車関連の保険、税金の支払いがなくなります。通勤交通費としてのガソリン代もかかりません。ただ、それでも毎月の収支をトントンにするのは、難しいかもしれません。
 
最後の選択肢としては、お兄さまに同居のお願いをすることです。生活費については、お兄さまと折半するとしても、同居することで、現在の収入のままでも生活は可能になり、貯蓄もできるようになるでしょう。通勤が可能なのかにもよりますが、同居を契機に、勤務先を変えられないか、自治体や社会福祉協議会などに相談なさることをおすすめします。
 
いずれにしても、現在の状況のままでは、貯蓄は6年持ちません。現状をお兄さまにご相談するのは、難しいでしょうか? 
 

アドバイス3 体調優先で無理なく働き続けられることが一番

厳しい選択をしなければなりませんが、今ある現預金は、できるだけ老後に残しておく必要があります。働けるうちは、家計収支はプラスマイナスゼロであってほしいと思います。
 
退職前と退職後の10年間の年金加入状況がわかりませんが、もし厚生年金の加入期間があれば、どらごんずさんの年齢であれば、64歳時点で報酬比例部分の年金が受け取れます。フルで老齢厚生年金、老齢基礎年金を受け取れるのは65歳からです。現在支給されている障害厚生年金にどの程度上乗せになるかは、ねんきん定期便や年金事務所で確認してほしいのですが、いずれにせよ、65歳以降は年金頼みになるのであれば、なおさら、現預金の取り崩しは、できるだけ後送りにすることです。
 
もちろん、65歳以降も働けるのであれば、月5万円でも構いませんので、生活の支えになることでしょう。そのためには、今、無理をして、体調を崩すことは避けてほしいのです。
 
最後に、気になるのは、ローンのことです。車のローンもそうですが、パン教室のローンの金利も高く、生活費に余裕がないなかで、余計な利息を支払うゆとりはありません。息抜きの趣味にお金を使うことは悪いことではありませんが、ローンを組んでまでするのは、今後は避けるようにしてください。
 
現在の収入の範囲でできる生活の立て直しを最優先に考えましょう。一人で思い悩むことはせず、お兄さま、自治体、職場ともよく相談してみてくださいね。
 

相談者「どらごんず」さんより寄せられた感想

深野先生には、貴重なアドバイスをいただき、ありがとうございます。体調のことで無理は禁物との言葉もありがたかったです。何から手を付けたら良いか分からなかったので、分かりやすい説明をありがとうございます。また、年金の件も言及があったので、年金事務所に確認しに行きたいと思います。家計のダウンサイジングは早急に取り掛かると共に、年金共済の解約と車のローンをなくす方向で動こうと思います。家賃に関しては、今の職場の近隣の方が家賃相場が高いことと、兄と同居は、兄と私の職場が正反対の方向なので、今は無理でしょうが、ゆくゆくは、同居の方向で相談はしたいと思います。パン教室のローンは6回払いでポイントが付くと勧められて組んだものなので今後はローンは組まずに続けたいと思います。また、他のローンも組まないように気を付けます。兄、自治体、職場とも相談をしながら生活改善していきたいと思います。本当にありがとうございました。

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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など


取材・文/伊藤加奈子


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