アドバイス1 頑張りすぎず、現状をキープする。教育費も問題なし
さくらしのさんのご家庭のご事情を考えると、これ以上、さくらしのさんが頑張りすぎないことが一番大事です。今の生活環境を変えずに現状キープしていけば、この先、金銭的に困ることはないでしょう。すでに、2000万円以上の金融資産をお持ちです。これに、さくらしのさんが63歳定年までに、どのくらい貯蓄できるか、その中から教育費の負担はどうなるかを見てみましょう。
現在、年間で100万円の貯蓄ができています。障害年金が5年後、8年後にお子さんの加算分が減額されますが、それまでは、年間100万円の貯蓄が継続できれば、800万円の上積みができます。8年後には、収入が30万円に減ってしまいますが、ボーナスからの貯蓄がありますし、子どもの習い事代、教育費をいったん、家計から外して計算すると、毎月5万円程度の貯蓄は継続できるでしょう。年間60万円で、さくらしのさんが定年退職するまでの12年間(今から8年後は51歳)で、720万円が貯められます。
ここまでの金融資産の合計は、現在ある2150万円、8年後までに貯められる800万円、その後の12年で貯められる720万円を合計すると、3670万円になります。
この間、お子さん2人の教育費として、私立高校で1人400万円、大学で500万円として、2人で約2000万円かかることになります。貯められる金融資産から差し引いても、さくらしのさんの定年退職時には1600万円程度は残ることになります。
教育費については、所得制限はありますが、高校の就学支援金制度、大学の無償化の恩恵を受けることができると思いますので、想定する教育費よりも抑えることができるでしょう。当面、第一子の高校進学にあたっては、学校から案内があるとは思いますが、自治体などでも確認し、就学支援金制度の支給が受けられるようにしてください。
もちろん教育費はその都度、出ていきますが、老後を心配することなく、金融資産を残すことができるでしょう。ですから、まずは、経済的な不安はありませんから、さくらしのさんの健康を第一に、頑張りすぎないようにしてください。
アドバイス2 保険や年金も大事だが、地域でのサポート内容の確認を
保険や年金を心配なさるのはわかります。確かに、さくらしのさんに万一のことがあった場合、ご家族の生活は支えがなくなってしまいます。しかしながら、保険に関しては、現状のままでいいのですが、お子さんには医療費助成がありますから、お子さんの共済は止めても問題ないでしょう。収入保障保険が60歳まであります。60歳以降の保障がなくなっても、そのころには、お子さん2人は成人されています。年金については、万一、ご主人に何かあった場合は、お子さんが18歳になるまでは遺族基礎年金、もしも以前、厚生年金に加入していれば、相応の遺族厚生年金が受け取れます。さくらしのさんに万一の時は、遺族厚生年金が支払われます。どちらかに何かあった場合でも、収入がゼロになることはありません。現状でも2000万円以上の金融資産がありますから、金銭的な心配を過剰にすることはないでしょう。
ただ、気がかりなのは、生活の質の低下です。さくらしのさんに万一のことがあった場合、ご家族の生活を整えていくことが難しくなるでしょう。そうしたとき、親戚も含め、周囲のサポートは得られるのかを確認し、地域の支援内容や公的サービスの中身など、調べておくことが、安心につながるのではありませんか? 忙しいとは思いますが、時間をみつけて、確認だけでもしておくようにしてください。
アドバイス3 楽しみながらできるなら、つみたてNISAや株主優待で投資
最後に、投資に関してです。ご自身で書かれているように、今後、お子さんの教育費がかかってきます。できれば、現預金を手元に置いておいてほしいと思いますが、どうしてもということであれば、「つみたてNISA」がいいでしょう。「iDeCo」は、原則60歳まで払い出すことができません。老後資金としてはいいのですが、それまでに物入りがあったときに、現金化できないのがネックとなります。その点、「つみたてNISA」は引き出しが自由なので、さくらしのさんには向いているでしょう。株式投資については、資産の1割、200万円を上限に、株主優待銘柄や高配当銘柄など、楽しみながらできる投資であればいいのですが、日々の株価の変動が気になってしまうようなら、余計なストレスを抱えることにもなります。あくまでも、楽しんでできるなら、という程度にとどめてください。
最初にご相談内容を拝見したときに、さくらしのさんの頑張りに、頭が下がる思いでした。冒頭にも書きましたが、さくらしのさんの健康が第一です。無理はせず、ご家族が健やかに暮らせることを願っています。
相談者「さくらしの」さんから寄せられた感想
今回、私に何かあればどうなるのかというのが一番心配で相談させていただきましたが、具体的に今後の収入と支出の予定が確認でき、今の状態で大きな心配がないこと、年金もそれぞれに支給されることをご説明いただいて気持ちに余裕ができました。アドバイスいただいたように私自身が体調に気をつけて、今の貯蓄ペースを落とさず、投資も決まった範囲で楽しみとして行っていこうと思います。いずれ親の介護問題も出てくるかと思いますが、その時はまた相談させて下さい。優しいお言葉までいただき、本当にありがとうございました。教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/伊藤加奈子
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