数多くあるアートブックの中で私がイチオシするのは、「子どものうちから知っておきたい 西洋美術を築いた画家20人の生涯」です。ヨーロッパで活躍した芸術家20人の紹介と、その代表作をわかりやすく解説したオールカラーの図版資料です。
ルネサンスから19世紀の後期印象派まで、芸術家の時代背景と共に、名画が生まれる過程やその時の心情などを盛り込んで説明されています。
大人も楽しめる内容なので、ぜひお子さんと一緒に観てほしい一冊です。
へぇ、そうなの?がたくさん詰まった1冊
観たことはあるけれど誰が描いたものなのか、描いた芸術家はどんな人だったのか、なぜその様な絵を描いたのか、子どもにとってはわからないことだらけ。このアートブックは、芸術家の生涯のほか、大人も知らないちょっとしたウンチクも掲載されており、親子一緒に楽しく読み進めることが出来るんです。
芸術家1人を4ページで解説しているのも読みやすい点のひとつ。大判の美しい図版に魅了されます。対象は7歳からですが、全ての漢字にルビを振っていないので、小学校低学年の子どもがひとりで読むのは難しいです。大人が説明文を読んであげながら、一緒に観ていくことをお勧めします。
絵本の読み聞かせではありませんので、名画をじっくり観て共感し合うのもいいですね。親と一緒に共感し合いながら観ることは、印象付けにもなりますよ。
子供と美術館へ行く前の準備本
美術館での西洋美術企画展や、常設展を親子で観る前に、予習としてこのアートブックを観てから行くのもいいですね。芸術の知識が深まれば、美術館で目にする名画はこれまでと違った映り方をしてきます。
私が主催している絵画造形教室や小学生向け講座では、好きな名画を観て描こうというテーマをカリキュラムに組み込んでいます。そのときもこのアートブックは大人気で、学年関係なく子どもたちは、自分が好きな名画や好きな芸術家を選んで描いていました。低学年の子は年上の子に読んでもらい、芸術家のこぼれ話に盛り上がりながら意気投合していた様子が印象的です。
ぜひ親子で芸術の世界に触れてみてください。
DATA
ランダムハウス講談社 | 子どものうちから知っておきたい 西洋美術を築いた画家20人の生涯
作:チャーリー・エアーズ
訳:伊藤巳玲
発行日:2009年02月