アドバイス1 3年後の住宅購入は可能。ただし家計の引き締めなどで積み立てを増やすこと
3年後に住宅購入できるかどうかを前提に話を進めていきましょう。まず、住宅購入については、この3年の頑張り次第です。現在の貯蓄状況では、頭金が不足します。家計の見直しで毎月の貯蓄額とボーナスからの貯蓄額を増やすようにしてください。現在の収入であれば、毎月3万円の貯蓄を7万円にできます。毎月の家計から2万円は支出をしっかり管理することで捻出します。現在でも7万8000円の使途不明金があります。なんとなく帰省費に充てる、なんとなく小遣いの追加に充てる、こうしたことをやめて、支出を明確にするだけでも、2万円増額はすぐに可能になるでしょう。
加えて保険の見直しです。まずご本人の保険のうち、終身保険と養老保険を払い済みに。がん保険は解約。つまり医療保険のみ、このまま継続していいでしょう。特約の重複が多すぎるのと、現時点では医療保険のみでいいということもあります。
がん家系で気になるからということであれば、がん保険を残してもいいと思いますが、基本的には医療保険でも十分対応できますので、その点はよく考えてみてください。ご主人の保険については、できれば2つとも解約、もしくは払い済みに。というのも、職業柄、会社で入られている保険は、かなり考えられた保険ではないかと思うからです。内容を確認し、死亡保障が十分であれば、医療保険のみ単独で加入するのがいいと思われます。
ご主人が新規で医療保険に加入したとしても、保険の見直しで2万円は浮かすことができます。これは節約のために無理に見直すのではなく、保険の無駄をなくすということです。
これで、毎月の貯蓄額は7万円にすることができるでしょう。そして、ボーナスからは半分の60万円を貯蓄に。残ったお金で旅行やその他の支払いに充てる、という考え方に切り替えましょう。それでも好きな旅行費用はボーナスから毎年30~40万円は捻出できるはずです。
こうすることで、毎月貯蓄で年間84万円、ボーナスから60万円、1年で144万円貯蓄できます。3年後には432万円。現在の貯蓄300万円を加えると、3年後には732万円貯められています。
アドバイス2 住宅購入後は、収入アップできれば、子どもの教育費もOK
3年後に732万円のうち、頭金として450万円、諸費用で150万円。住宅ローンの借り入れは2800万円。貯蓄は約130万円と、ご主人の天引き貯蓄の積み立てで200万円が手元に残ります。購入物件の価格は3250万円が上限となります。住宅ローン2800万円を25年返済(ご主人が55歳で完済)で借りると、金利1.3%で毎月返済額は10万9400円になります。現在の住居費から4万9000円ほど増えることになります。そのため、住宅購入後の貯蓄は、毎月2万円が限界かもしれません。
このように、住宅購入自体は問題ありませんが、住居費が増え、毎月の貯蓄が減ってしまうと、老後資金の不安にもつながってしまいます。そこで、ご自身も地元に戻ったら、月15万円程度の収入を得る予定と書かれていますが、ぜひ、そうしてください。
収入が8万7000円増えれば、その分、貯蓄に回すことができます。毎月8万円は貯蓄することが可能だと思われます。ボーナスからは、これまでどおり半分の60万円。これで年間156万円の貯蓄ができるようになります。ご主人の定年退職までの18年で2800万円。さらに、ご主人が天引き貯蓄を続けていれば約650万円、3年後の貯蓄残高330万円と合わせて、ご主人が55歳時点で3780万円が残る、という計算になります。
仮に、お子さんを1人授かり、高校までは公立、大学は私立文系とした場合、教育費はおよそ1500万円。3780万円から差し引いても、約2200万円は残ります。ただ、出産育児で1114さんの収入が一時的に減る可能性もありますので、最終的には1500万円程度が残るということになるでしょう。それでもご主人の退職金1500万~2000万円あれば、老後資金として残せるのは3000万~3500万円。
貯蓄が順調に継続できれば、お子さん1人を育て上げ、残った老後資金としては、十分ではないでしょうか。
アドバイス3 今の貯めどきを逃さなければ、老後資金3000万円貯められる
ただ、ご主人の定年退職が55歳ということですから、その後も再就職などで、収入を得なければ、3000万円はあっという間に底をついてしまいます。年金受給開始の65歳まで、できるだけ金融資産を取り崩さない働きかたが大切になってくるでしょう。また、今後3年間の貯蓄プランについても、無理のないもので試算しています。帰省費や趣味のご旅行にお金がかかるとはいえ、この3年間でもう少し貯蓄を増やそう、住宅購入後は確実に収入アップして、その分はきちんと貯蓄に回そうと、強い気持ちを持てれば、老後資金の増え方も変わってくるでしょう。
最後に、ご主人の転勤が3年後も続く、別の転勤先に赴く可能性があるようでしたら、またその時に、住宅購入プランは考えるようにしてください。いずれにしても、今が貯めどきということを忘れることなく、3年後の住宅購入に向けて、頑張ってください。
相談者「1114」さんから寄せられた感想
いつも読んでいた深野先生にアドバイスいただけてとても嬉しかったです。自分ひとりではよく分からず、「なんとなく」だったことが全部具体的になって、やる気が出ました。頑張ります! 本当にありがとうございました。★「お金の悩みを解決!!マネープランクリニック」の過去記事はコチラへ
★「お金のことで悩む人に、貯金のコツを伝授!貯蓄達人の貯めワザ」はコチラ
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/伊藤加奈子
【関連記事をチェック】
32歳貯金200万円。住宅ローン3500万円が家計を圧迫
32歳、住宅購入で6700万円のローン。今後が不安
32歳貯金930万円。住宅を現金購入するデメリットはありますか?
32歳専業主婦。夫55歳、子どもは生まれたばかり、なのに貯蓄はゼロです
41歳貯金1000万円。老後資金を貯めるため夫にも我慢してもらっていますが……
41歳、夫婦とも派遣社員、貯金800万円。お金のことが心配