お金の悩みを解決!マネープランクリニック/貯蓄ができない、赤字家計に悩むファミリー世帯

48歳子ども4人。カードや教育ローンで毎月25万円の返済を自転車操業でやり繰りしています(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、今まで生活費の補填で借りたカードローンや、子ども4人の教育費のローン、住宅ローンなどで自転車操業となってしまっているという48歳の主婦の方です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 心を入れ替え、正社員に絶対なること、夫も働き続ける覚悟を

今回、借金の額を書き出して、ようやく現実がわかったようですが、厳しい言い方をすれば、債務整理、自己破産一歩手前の状況で、かなり難しいということを、あらためて認識してください。月収に占める借金返済額の割合は50%を超えています。親御さんがご健在であれば、夫婦そろって頭を下げ、借金の肩代わりをお願いしてほしいぐらいです。心を入れ替え、以下の3つは、約束してください。
 
(1)Yさんは、なんとしてでも正社員登用試験に合格すること
(2)ご主人は
、現在の家計状況、借金の実態を認識し、できる限り働き続けると覚悟し、家計の見直しに協力すること
(3)新たな
借金は絶対しないこと
 
お子さん4人の教育費ローンがあるとはいえ、あまりにも気軽に借金を重ね、借金が当たり前になってしまっています。奨学金を生活費に充てたり、車の購入費に充てようとするのは、言語同断です。収入の範囲で生活をする、貯蓄してから買い物をする、家の修繕をする、当たり前のことです。お金がなければ借りればいい、という考えは捨ててください。ローンは「打ち出の小槌」ではありませんよ。お子さんたちも、借金での結婚祝いを喜んでくれるのでしょうか?
 
もう一度言います。心を入れ替えて、借金と真正面から向き合ってください。
 

アドバイス2 毎月3万円の貯蓄は死守、退職金で可能な限り一括返済

借金を重ねる人のパターンは、同じです。現預金がない、貯金がないから借りる。まず、この負のサイクルを断ち切る必要があります。そのためには、毎月決まった額を貯蓄するしかありません。
 
Yさんの毎月の家計収支をみると、この時点でも赤字です。赤字を解消すると当時に貯蓄に回すお金を捻出します。通信費、趣味娯楽費、ご主人の小遣いで11万円の支出ですが、これを見直して4万円の削減を。ご主人が仕事上使うものは立て替えで、会社から戻ってくるのですよね? 戻ってきたお金はどうされているのですか? 結局5万円全部、ご主人のお小遣いではありませんか?
 
生命保険も多すぎです。ご主人の保険で残すのは、医療保険のみです。ほかは解約。葬儀社への積み立ては、ここまででストップしてください。解約条件を確認してください。ご本人の保険で残すのは医療保険と積立年金。ほかは解約です。会社で加入している共済は解約できるか確認を。これらの解約で約9000円が浮きます。
 
家計から4万円、保険解約で9000円。あと少し家計から頑張って、毎月5万円の貯蓄ができるようにしてください。ただ、来年から教育ローンの返済が2万円増額になりますから、実際は毎月3万円。できればボーナスの使い道も考え直して、10万円でも貯蓄に回してほしいところです。
 
毎月3万円、年間で36万円。ご主人が60歳までの3年間で貯められるのは108万円。今ある30万円と合わせて138万円。これが、Yさんの生命線となります。これは死守してください。
 
その上で、来年1月に奨学金として40万円受け取ったら、車の購入ではなく、カードローンの返済に充ててください。さらに、60歳時に退職金800万円から、カードローン、リフォームローン、車のローンを清算します。退職金の残りは200万円程度。それまでの貯蓄138万円。合計338万円が60歳時点での預貯金となります。
 
その後は、ローンの精算が済んだ分、6万円程度(カードローン、リフォームローン、車のローン)がなくなりますが、60歳以降、ご夫婦の収入が減ることを考えると、貯蓄には回せないかもしれません。収入の範囲で赤字を出さないよう、生活コストを抑えていくしかありません。この時点でも、教育ローン、住宅ローンの返済は残ります。こうしたことを考えると、今、Yさんが正社員になることは絶対条件ということがわかるはずです。
 

アドバイス3 住宅ローン、不動産処分は、借金返済が終わってから

住宅ローンに関しては、あまりにも金利が高い。本来であれば、金利変更の交渉、借り換えで返済負担を減らせますが、借金があるうちは、難しいでしょう。65歳からの年金額は、二人で月額約20万円。そこから15万円の住宅ローン、7万円の教育ローンを返済していかなければなりません。できるだけ長く働くといっても限界もあるでしょう。それでもローンがあるうちは、働く以外に今のところ妙案はありません。
 
お子さんに自宅を譲るとはどういうことを意図しているのかわかりませんし、ご実家をお子さんに建て替えさせるというのも、わかりません。親御さんの別荘地の売却についてもですが、お子さんにはお子さんの考えがあるでしょうし、親名義の別荘地の売却は、親御さんに任せればいいことです。不動産の売却で、ご自分たちの借金を何とかできると思われているとしたら、甘いです。まずは、ご夫婦が作ってきた借金を返済することに注力してほしいと思います。
 
ご主人が60歳時点で、どれだけ借金が返済できているかですが、もう一度、相談してください。ここまで厳しいことを書きましたが、現時点でアドバイスできるのは、ここまでです。3年後、必ず連絡してくださいね。
 

相談者「Y」さんから寄せられた感想

この度、アドバイス、誠にありがとうございます。大変厳しいお言葉を賜りまして、身が引き締まりました。心を入れ替えて、頑張っていく所存でございます。こんな、お恥ずかしい家計管理を叱ってくださる方もなく、今まで、有り金を全部使っていたこと、反省いたしました。月5万円の貯蓄、できるように、見直してみます。固定費を削減、年間の支出を計算して、減らせるものは、できる限り減らしていきます。今まで、ローンを返すことに一生懸命でしたが、貯蓄という目標ができたので、頑張れそうです。正社員試験はエントリーに向けて、頑張ります。主人の両親は、2人とも他界しております。私の父には、家を買う時に援助してもらっているので、お金を借りるのは、言い出しにくい状況です。主人の退職金で、残りのローンを返済するようにいたします。60歳の時点で、先生のご提示いただきました貯蓄額が達成できますよう、主人と協力してまいります。3年後にまた連絡をくださいと温かいお言葉を賜りまして、本当に感謝しております。先生の言葉を励みに、頑張っていけそうです。この度は、誠にありがとうございました。

★「お金の悩みを解決!!マネープランクリニック」の過去記事はコチラへ
★「お金のことで悩む人に、貯金のコツを伝授!貯蓄達人の貯めワザ」はコチラ

教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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