お金の悩みを解決!マネープランクリニック/早期リタイア・セミリタイアしたい人のお金の悩み相談

48歳貯金5700万円。典型的なブラック企業に再就職してしまい、セミリタイアを希望(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回は、病気の療養後にブラック企業に就職してしまい、セミリタイアを希望する48歳の会社員男性。直近は手術もしていて再発も心配といいます。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

  • Comment Page Icon

アドバイス1 体調優先。明日辞めても、経済的に困ることはない

体調が万全でないうえに、再就職先にも不安があるようでしたら、明日にでも会社を辞めてください。体調が優先ですし、経済的に困ることは、まったくありません。まずは少し休養をとられたらいかがでしょうか。
 
しばらくは、奥さまの収入のみとなりますが、それに耐えうるだけの金融資産をお持ちです。現在、毎月の支出は26万5000円とのことですが、通信費を1万円程度は削減できます。小遣いについては、いきなり減らすのは困難なご様子ですが、1万円程度の削減はしてほしいと思います。毎月の支出を25万円にできれば、年間で300万円となります。奥さまの収入120万円がありますので、年間180万円の赤字となります。これを金融資産から取り崩していくと、約30年は持ちます。年金があるとはいえ、さすがに一生安泰とはいえないかもしれません。
 
そこで、少し休養をとられてからでいいので、ヒロシさんも無理のない範囲で収入を得るようにしてください。ヒロシさんが月10万円、奥さまも月10万円、賃貸収入(管理費など差し引いた分)4万6000円。合わせて24万6000円です。
 
つまり、現在の支出から2万円削減できれば、ほぼ毎月の収支はトントンで生活できるというわけです。ただ、会社を辞めてからは、国民健康保険、国民年金など社会保障費が別途かかってきますので、毎月の不足分は5万円程度となります。年間で60万円。これは貯蓄から取り崩すことになりますが、65歳までの17年間で1020万円です。現在の金融資産から差し引いても、約4700万円残っていることになります。65歳時点でこれだけの金融資産が残っていれば、よほどのことがない限り、安心して老後の生活を送ることができるでしょう。
 

アドバイス2 住宅ローンを完済し、生活費のダウンサイジングをすれば、もっとラクに

では、65歳以降、どうするかです。65歳以降は公的年金が収入のベースになります。奥さまの年金が不明ですが、おそらくお二人で年間200万円、月額にして16万円程度は受給できるでしょう。そうなると、いかに支出を抑えるかということがポイントになります。
 
ひとつには、今すぐにでも、現在残っている住宅ローンを一括返済で完済させてしまうことです。こうすることで、住居費の負担が抑えられますので、65歳までの支出も、アドバイス1での試算より少なくなりますし、なにより、毎月のキャッシュフローがラクになる分、ヒロシさんのプレッシャーも軽減できると思います。
 
住居費がなくなる分、毎月の支出は20万円程度まで抑えられます。これで、毎月の不足分も解消し、貯蓄からの取り崩しをほとんどすることなく、65歳を迎えることができます。その時点での金融資産は、住宅ローンの600万円を差し引いただけで、5100万円。仮に住宅の修繕費や車の買い換えなど、まとまった出費があったとしても、4000万~4500万円程度は残せるはずです。
 
65歳以降は、収入16万円に対して、支出は20万円ですから、4万円の不足。5万円としても年間で60万円です。金融資産は一生ゼロにはなりません。100歳までゆうゆうと暮らすことができます。
 

アドバイス3 年30万円ほど旅行に使うなど、楽しいことを考えて

このように試算してみると、ヒロシさんがこれまで頑張って貯めてきた資産が、いかにすごいことかがわかると思います。ただ、この先、ゆったりとした気持ちで過ごすためには、セミリタイアを機に、奥さまにはもう少しだけ頑張ってもらって収入を増やす、ヒロシさんはストレスのない働き方で月10万円の収入を得ることが大事です。
 
さらに、ご実家は賃貸契約が続いている間はいいですが、契約が途切れるようでしたら、売却も視野に入れてください。経年するほど、売却も難しくなりますので、早めの対応を考えてください。
 
最後に、一番大事なことをアドバイスします。経済的に困ることはないのですから、今の会社から受け取る退職金100万円は、旅行代金に充てるなど、これまでの働きのご褒美として使ってもいいと思います。それを機に、1年に1回ぐらいはご夫婦で旅行を楽しむなど、お金を有効に使ってほしいと思います。仮に、年30万円ぐらい旅行に使っても10年で300万円。老後生活を圧迫する金額ではありませんよ。
 
どうか健康に留意して、これからの生活のことを、ご夫婦で楽しみながら話し合ってみてください。
 

相談者「ヒロシ」さんから寄せられた感想

単なる机上の計算ではなく、具体的なアドバイスをいただきありがとうございます。もう少し貯蓄をしてから、セミリタイアしようという、前向きな気持ちになりました。心より御礼申し上げます。

★「お金の悩みを解決!!マネープランクリニック」の過去記事はコチラへ
★「お金のことで悩む人に、貯金のコツを伝授!貯蓄達人の貯めワザ」はコチラ

教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子



【関連記事をチェック】
55歳貯金1億円。働くモチベーションがなく退職希望
52歳貯金5000万。両親の介護のため早期リタイアしたい
56歳貯金5000万。子ども3人ですがストレスで早期リタイアを検討中
退職金や確定拠出年金等で5000万円あります。55歳で早期退職を希望
48歳、貯蓄5500万円。働き方改革で夫は収入減、教育費のピークも目前です

 
【編集部からのお知らせ】
・「家計」について、アンケート(2024/12/31まで)を実施中です!

※抽選で30名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※謝礼付きの限定アンケートやモニター企画に参加が可能になります
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます