アドバイス1 3年後までに家計を見直し、貯蓄を増やさないと教育費が不足
今現在の家計では、貯蓄できませんが、赤字を出していないだけ、まだ救われています。第2子が小学校に上がれば、保育園費3万5000円を貯蓄することができますので、そこからが本格的な貯蓄のスタートとなります。ただ、現状でも、格安スマホに見直したとのことですが、通信費の1万6000円はもう少し抑えることができると思いますし、車関連については、大幅な見直しが必要で、3年待たずに、家計の見直しができれば、もう少し貯蓄スタートを早めることができますし、そうすべきです。まず、今の状況で、3年後から保育園費の3万5000円がなくなることと通信費の見直しで5000円削減できれば、毎月4万円の貯蓄ができ、これにボーナスから半分の25万円を加えると、年間で73万円になります。3年後は、ご主人は47歳。何歳まででも働けるとのことですが、仮に65歳まで働くとして、それまでの18年で貯められるのは、1314万円です。これに現在の金融資産250万円と、学資保険の満期金400万円を加えると、合計1964万円ということになります。
この間、3人の教育費が1人700万円として、3人で2100万円が必要で、140万円ほど不足する計算になります。これが現実です。
アドバイス2 車関連費の引き締めと、住宅ローンの借り換えがポイント
では、不足する分はどう対応したらいいのかといえば、ずばり、車です。ご主人の仕事での絡みもあるのでしょうが、車関連費で毎月3万5000円に加え、自動車保険に3万円。お金をかけすぎではないでしょうか? 車にこだわりがあるとはいえ、子どもの教育費が不足することと天秤にかければ、どちらが大事なのかははっきりしています。次に車を買い替えるなら、ワンランク下げてでも、ローンではなく現金で購入できる範囲と制限を設けるべきです。また、自動車保険も勤務先での関係があるかもしれませんが、ネット通販型の保険であれば、コストダウンできます。おそらくご主人も仕事柄、ご存じのはずです。車の知識を生かして、こだわりを活かしながら、コストダウンの工夫をしてください。
もうひとつ、気になるのは住宅ローンです。10年前の購入で、変動金利1.35%は、金利がやや高い時期だったかもしれません。現在は、過去最低水準の金利になっていますので、借り入れた金融機関に金利引き下げの交渉をするか、別の銀行で借り換えができれば、今の住宅ローンより、毎月返済額2万円程度を減額することが可能でしょう。借り換えにかかかる手数料はかかりますが、一度検討してみてもいいと思います。
一方、ご主人の保険については、保障が不足しています。万一のことがあった場合の死亡保障は500万円。学資保険については、以降の保険料払い込みが免除され、満期金は予定どおり受け取れますが、それでもご家族の生活を支えるだけの保険金にはなりません。現在加入の終身保険は現段階で払い済みとし、その保険料で、死亡保障2000万円、保険期間20年の掛け捨ての定期保険に加入し直してください。加えて、単独で医療保険入院日額5000円にも加入してください。割安なネット通販型の保険であれば、毎月の保険料は1万円前後で済むと思います。少し持ち出しになりますが、家族のための必要経費と考えてください。
車関連費、住宅ローンの借り換えで家計の見直しができれば、3年後を待たず、すぐにでも貯蓄をスタートさせ、教育費の不安を解消してほしいと思います。
アドバイス3 不足する老後資金のためには、収入アップの働き方と、長く働く覚悟も
家計を見直すことで、貯蓄ができ、子どもの教育費の心配がなくなったとしても、ご夫婦の老後資金が不足する可能性が残ります。カレーパンさんは、第2子が小学校に上がれば、正規雇用に転職したいとの意向があるようですね。ぜひ、そうしてください。基本的に老後生活を支えるのは、公的年金ですが、厚生年金での受給額を増やすことが必須です。また、ご主人の収入アップの方策はないのでしょうか? 特に定年はなく、何歳までも働けるというのは、魅力的ですが、これから60歳までが最後の稼ぎどき、貯めどきと考えると、やや収入としては、心もとないのではありませんか? 働き方については、ご夫婦での支え合いも必要ですから、お二人で一度、話し合ってみてください。その上で、できるだけ長く働くという覚悟も必要です。
持ち家の一戸建てですから、今後、設備の取り替え、外壁塗装、リフォームなどの費用がかかってきます。そうした費用を現在の試算では捻出できない状態です。
今、家計の見直しをしないとローンに頼る生活になってしまいます。少しの我慢、妥協することで、将来にわたって、不安のない生活が送れるように頑張ってください。もうひと頑張りですよ。
相談者「カレーパン」さんより寄せられた感想
ベテランの深野先生にアドバイスいただき、たいへん幸甚です。もっと厳しくお叱りをいただくかと思っていましたが、生活費ではなく、今まで夫を甘やかしてきたことをズバリご指摘いただき、やはり家計管理は夫婦で共有しないといけないなと感じました。通信費も夫はまだ大手キャリアのままです。住宅ローンの借り換えは気になっていましたので、早速銀行に相談に行きたいと思います。私自身は身体が動かなくなるまで働くつもりでいましたが、教育費不足分も夫が月1万円ばかり車関連の支出を下げてくれれば達成できそうだと思えて、心が軽くなりました。私だけでなく夫にも、もうひと頑張りしてもらいます。この度は貴重なアドバイスを本当にありがとうございました。★「お金の悩みを解決!!マネープランクリニック」の過去記事はコチラへ
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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/伊藤加奈子
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