お金の悩みを解決!マネープランクリニック/50代シングルの人のお金相談

55歳保育士、貯金600万円。障害年金の対象となるケガを抱えて今後が不安です(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、4年前に会社が倒産したため保育士に転職した55歳女性。想像以上の激務から膝の手術をすることになり、障害年金3級の対象に。ひとり暮らしで住宅ローンも残っていることから将来に不安を感じる南国さんのお悩みに、ファイナンシャル・プランナーの畠中雅子さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 通信費は格安SIMに、投資商品は売却を

この支出内容通りならば、家計はきちんと管理されていて特に問題はありません。強いていうなら通信費でしょうか。どのように使っているかにもよりますが、格安SIMにすれば月額利用料が1000~2000円程度という事業者があります。一度見直せば節約が続く費目ですから、ぜひ調べてみてください。
 
投資商品もつみたてNISAとiDeCo以外は見直しの必要がありそうです。というのは、貯蓄が少ない人の資産内容としては、バランスが悪いからです。投資信託と外国株式については、すべて売却し全額貯金でもいいくらいです。購入時よりも値上がりしているもの、値下がりしているものいろいろあると思いますが、タイミングを見ながら3回程度に分けて売却してはどうでしょう。そのためにまずは、これまでのチャートを確認し細かく値動きをチェックすることを習慣にしてください。
 

アドバイス2 65歳以降の年金受取額は、ねんきん定期便の額と大きく変わらない

手術を受けることで障害等級3級の受給資格を得られ、体調次第ではパートになることも視野に入れているとのこと。障害厚生年金については、数年に1度は審査があり、障害の状態によっては等級が変更になったり、対象から外れることがあることを覚えておいてください。
 
65歳以降に受け取る年金額ですが、年金には1人1年金という制度があり障害厚生年金と老齢厚生年金は併給ができず、どちらか有利な方を選んで受給することになります。障害厚生年金は年58万5100円ですから、ねんきん定期便から推察される老齢厚生年金額と大きく変わらないのではないでしょうか。どちらにするかは、受給する段階になって年金事務所で試算してもらってください。
 
国民年金の未納付期間が4年あるとのこと。ということは納付期間の1割が未納ですから、令和元年度価額でいうと受給額は70万2090円(満額は78万100円)となります。60歳以降も任意加入をすれば満額を受け取ることもできますが、月額の保険料1万6410円はいまの南国さんの家計には少し負担かもしれません。
 

アドバイス3 健康を害さない程度に細く長く働くことが、一番の老後の備え

きちんと管理された南国さんの暮らしぶりならば、住宅ローンがなくなれば月10~11万程度で生活できるのではないでしょうか。年金の受給額が年125万円程度ありますから、赤字といってもそれほど大きな金額にはならずに済みそうです。しかし固定資産税や車を保有している間は保険料や税金がかかりますから、年40万円くらいの赤字が出ることを想定すると40万円×30年で1200万円程度が必要ということになります。現在の貯蓄と投資=600万円、個人年金=250万円、60歳までの5年間で貯められるつみたてNISAとiDeCoの元本338万円を合計すると1188万円。計算上はギリギリ足りるということになります。
 
しかし実際には、家の修繕費や家電の買い替えなど必要になるお金があるはずです。老後の安心を確保するためには70歳手前くらいまで、何らかの形で働くことが一番のように思います。保育士は身体への負担も少なくないと思いますので、座ったままで済む仕事など、もう少し負担の軽い仕事を探すなど、健康を気遣いながら、細く長く働き続けることを考えてみてください。
 

相談者「南国」さんから寄せられた感想

丁寧なアドバイスをいただき、ありがとうございます。特に、預金がなくなってしまったために
焦って投資ばかりに目を向けてしまっていることに薄々気づいてはいるものの方向転換できずにいましたが今回、はっきり指摘いただいたので早期に整理しようと思いました。体が何よりの資本であり、財産だとつくづく感じながら仕事内容も見直してみようと思っています。良いきっかけをありがとうございました。


★「お金の悩みを解決!!マネープランクリニック」の過去記事はコチラへ
★「お金のことで悩む人に、貯金のコツを伝授!貯蓄達人の貯めワザ」はコチラ


教えてくれたのは……
畠中雅子さん
 
 

 

ファイナンシャル・プランナー。大学時代からフリーライターとして活動し、出産後にマネー分野を専門とするライターとなりFP資格を取得。新聞・雑誌・WEBなどに多数の連載やレギュラー執筆を持つとともに、セミナー講師、講演などを行う。「教育資金作り」「生活設計アドバイス」「住宅ローンの賢い借り方、返し方」「オトクな生命保険の入り方と見直し方」などのテーマを得意としている。近著に『ラクに楽しくお金を貯めている私の「貯金簿」』『貯金1000万円以下でも老後は暮らせる!』『50歳からのハッピーリタイア準備』など


取材・文/鈴木弥生


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