お金の悩みを解決!マネープランクリニック/老後のお金や介護費用が心配な人の相談

46歳貯金1600万円。不遇の氷河期世代で老後不安が付きまといます(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、健康面に不安がある4歳年上の夫と娘と、3人家族の46歳の会社員女性。かわいい一人娘が巣立つまでの費用と老後資金は大丈夫なのか……? 老後のことで娘に迷惑はかけたくないし……。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 夫55歳まで毎年530万円強の貯蓄が可能。十分な老後資金です

夫に健康面の不安があり、老後資金が心配とのことですね。しかし、就職氷河期さんはすでに十分な老後資金が確保できていますから大丈夫です。
 
まずこれから貯まっていくお金を計算してみましょう。月々の収入と支出の差は34万9000円。34万円×12カ月=408万円。年間ボーナスの半分を貯蓄したとして125万円。合計すると1年間で533万円も貯蓄できます。夫が55歳になるまであと5年間働いたとして、2665万円貯まる計算です。
 
これに今すでにある貯蓄1200万円、投資427万円を足せば、夫の55歳時点で4292万円あることになります。
 
次に夫が55歳になるまでに発生する費用をまとめてみましょう。250万円の車の買い替えが、今後おそらく3回で合計750万円。子どもの教育費は、中高はあまりかからず、大学は国公立を目指しているということですから、総額で500万円を見積もります。それとリフォーム費用の800万円を合わせて合計2050万円。先ほど計算した老後資金の4292万円から2050万円を引くと、2242万円が老後資金として残りますね。
 
その他に、夫の確定拠出年金があと5年後には300万円ほどになっているとします。妻が退職金として中退共から300万円、会社から400万円をそれぞれ受け取るとすると1000万円。これらを上乗せすると老後資金は3242万円になります。
 

アドバイス2 夫は今すぐ会社を辞めても、老後資金には困りません

夫に健康面の不安があるとのお話ですね。60歳あるいは65歳までがんばらずに、今すぐに会社を辞めても経済的には大丈夫だと思います。
 
仮に夫が55歳で会社を辞めて、アルバイトをすることを考えてみましょう。夫がアルバイトで年間100万円、妻が今のまま年間400万円の収入とすると、夫婦二人で年間500万円の収入です。今の生活費は年間で253万円。旅行に行く費用を足して年間300万円使うとしても、年間収支が200万円のプラスです。氷河期世代さんが55歳で退職するまでの4年間で、さらに800万円の貯蓄が上乗せされます。
 
妻も55歳で会社を辞めてパートをするとして、夫とふたりで年間200万円程度の収入を得られるとします。年間支出が300万円ですから、家計収支が年間100万円のマイナスになります。つまり氷河期世代さんが55歳、夫が59歳の時点から、夫が65歳で年金をもらうまでの6年間で、600万円の持ち出しです。
 
一方で、55歳払込の生存保障保険がありますから、ここに410万円の収入がプラスされます。それを考えると65歳までの間に200万円ほどしか減らない計算になります。
 
年金については、今現在210万円とのことですが、最終的に230万円程度もらえるはずです。年間支出が300万円ですから、年金収入だけと比べると年間70万円のマイナス。これだけある貯蓄から毎年70万円マイナスされても、20年間で1400万円、30年間で2100万円。3000万円以上ある貯蓄を考えれば、余裕で足りてしまいます。
 
あくまでも仮の話ですが、夫に万が一のことがあっても経済的には大丈夫です。氷河期世代さんが今のペースで働き続ければ、収入400万円−支出300万円で年間100万円くらいの貯蓄ができるでしょう。60歳になるまで貯蓄を取り崩すことなく、14年間で1400万円の貯蓄ができます。今ある貯蓄・投資と足して3000万円。ご自身の退職金が700万円。支出面では、教育費とリフォーム代の1300万円、車の購入費はひとりになったら少し小さな車にするとして、合わせて1700万円~1800万円くらい。収支は2000万円ほどのプラスになります。夫が加入している保険もありますから、さらに大丈夫といえるでしょう。
 
先ほどの計算ではあと5年で会社を退職と考えましたが、しばらくはアルバイトをしてくれると考えれば、いますぐ辞めても大丈夫。健康面を優先して働き方をシフトダウンしても、これまでお話ししたとおり老後資金には全く困りません。
 

アドバイス3 つみたてNISAは日経平均インデックスをやめ、全額をS&P500に投資してみては?

始めたばかりのつみたてNISAは日経平均株価のインデックスファンドに投資しているとのことですが、これは全額S&P500(米国株の日経平均のようなもの)に投資することをおすすめします。日本の株に投資するということは、日本の景気に投資するということです。私たちは日本で働き、円で生活していますから、景気がよくなればお給料が上がります。日本の景気に何かあった時の、日本がダメになった時のリスクヘッジとして投資するのであれば、全額米国株でいいと思います。
 
特に氷河期世代さんの家計では、これだけたくさんの資産を日本での預貯金で持っているのですから、つみたてNISAくらいはすべて米国株に投資しても構いません。勉強のために外貨投資も始めたとのことですから、外貨投資にあわせて米国株をウォッチしてみてはいかがでしょう。
 

相談者「氷河期世代」さんから寄せられた感想

ありがとうございます。不遇の世代なので、ずっと不安が付きまとってきていましたが、今回早期退職しても何とかなりそうだということがわかり、安心いたしました。貯蓄があるといっても、学費や家のメンテナンスで消えていくものなので、老後どうなるんだろう? 年金の支給年齢がさらに上がったらやっていけるのだろうか?と思っていたのですが。娘に迷惑をかけず、両親の面倒も何とか見て、自分たちの老後も平穏に暮らせるようにいましばらくがんばろうと思います。早速、日経平均をやめ、全額をS&P500に変更しに行ってきます。


★お金の悩みを解決!!マネープランクリニックの過去記事はコチラへ


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/長島美樹


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