住宅ローン完済で手持ち資金が減少。教育資金や老後資金は大丈夫でしょうか?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、住宅ローンを一気に完済した46歳の女性会社員。その結果、貯蓄が一気に減り、今後の教育資金や老後資金が心配になってきたとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

 
住宅ローンを完済したものの、貯蓄が減り……

住宅ローンを完済したものの、貯蓄が減り……


■相談者
なつりさん(仮名)
女性/会社員/46歳
東京都/持ち家・マンション
 
■家族構成
夫(自営業/40代後半)、子ども(8歳)
 
■相談内容
住宅ローンを完済したものの、繰上げ返済したため貯蓄がほとんどなく、わりと高齢で授かった子どもの学費や、老後の資金などが心配です。夫は自営業で退職金なく、私は定年まで働けば1200万円程度は退職金があると思います。ボーナスは旅行や固定資産税、車の維持費などでほとんど使ってしまっていますし、金額も不安定(毎年変動する)です。
 
■家計収支データ
相談者「なつり」さんの家計収支データ

相談者「なつり」さんの家計収支データ



 
■家計収支データ補足
(1)夫の収入について
自営業だが変動はほぼない。主に家事育児も担当している。
 
(2)ボーナスの使いみち(昨年例)
固定資産税12万円、クルマの維持費(車検、税金、保険)10万円、家族旅行15万円、子どもの歯矯正費用35万円など
 
(3)加入保険について
妻の個人年金保険以外、保険料は年払いもしくはボーナスから捻出
[夫]
・共済(病気死亡700万円、入院5000円)=毎月の保険料1800円
・がん保険(終身保障、65歳払込み終了、入院5000円、先進医療特約)=保険料9000円
[妻]
・共済共済(病気死亡700万円、入院5000円)=毎月の保険料1800 円
・医療保険(入院5000円、先進医療特約)=毎月の保険料1700円
・がん保険(終身保障、65歳払込み終了、入院5000円、先進医療特約)=保険料9000円
・個人年金保険(60歳から10年確定)=保険料2万4000円
 
(4)定年後の働き方について
夫は体力的に問題がない限り働く予定。また、その間、収入は安定的に確保できそうとのこと。妻は60歳で定年後、アルバイト程度で働く予定。
 
(5)教育費について
高校から私立に入学する可能性あり。
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 貯蓄ペースが維持できれば老後資金は3000万円超
アドバイス2 老後は生活費がどの程度かがポイント
アドバイス3 60歳以降、夫婦とも元気で働きたい
 

アドバイス1 貯蓄ペースが維持できれば老後資金は3000万円超

学費と老後資金についてのご相談ですが、まずは教育資金から見ていきます。
 
学資保険もしくはそれに代わる保険にも加入されていませんので、教育資金は貯蓄だけで準備することになります。現在の貯蓄ペースは月12万1000円ですから年間145万円、お子さんが18歳になる10年間で1450万円。ボーナスからは現在貯蓄はできていませんが、お子さんの歯の矯正治療が今年で終わるとして、それをそのまま貯蓄できれば、10年間×35万円=350万円。合わせて1800万円が新たに用意できますので、今ある貯蓄と合わせて計2050万円となります。
 
教育費ですが、高校から大学までを私立として、進学塾などの費用も発生すると想定します。だだし、先の試算は毎月の家計に教育費3万円を計上しているので、それを差し引くと、新たに必要になる資金は500万~600万円でしょうか。したがって、その分の教育費を先の2050万円から差し引くと、1500万円前後は手元に残ることになります。
 

アドバイス2 老後は生活費がどの程度かがポイント

次に老後資金です。11年後以降、今と収支は多少変わりますが(支出では教育費がなくなり、収入は8年後以降児童手当の受給がなくなる)、月14~15万円は貯蓄できそうです。であれば、なつりさんが定年となるまでの3年間で、新たに貯蓄できる額は600万~650万円ほど。したがって、現状の貯蓄ペースを維持できれば、定年時に少なくとも2100万円は手元に資金が残ります。これに退職金1200万円と、個人年金保険の年金額が不明ですがそれを含めた金額が、老後資金となるわけです。

では、これで老後資金は足りるでしょうか。ポイントとなるのは、定年後、つまり老後の生活費がどの程度必要か、ということになります。まだ先の話ですから、不確定要素はいくつかありますが、現状から推測して、月16万~17万円でしょうか。ただし、ボーナスから捻出していた支払いのうち、当初はクルマの維持費や保険料の年払い分もありますので、月4万円程度は月割りで加えておく必要があるかと思います。
 

アドバイス3 60歳以降、夫婦とも元気で働きたい

定年後、なつりさんはアルバイトで働く予定とのこと。月8万円程度の収入を得られれば、ご主人の収入と合わせて14万円(手取り額)。月6万円不足だとすると、年金受給開始の65歳までの5年間で、老後資金から取り崩す金額は360万円となります。

65歳以降は、年金の受給額は不明ですが、支払い保険料の額も大きく減りますし、日々の生活費は年金だけでほぼカバーできるか、あるいは少し貯蓄ができるかもしれません。であれば、90歳となっても3000万円近い資金が残る計算になります。その間、住宅のリフォームや修繕費用、クルマの買い替え、あるいはまとまった医療費や介護費用が発生しても、平均的な金額なら手持ち資金で十分まかなえるはずです
 
試算をする限り、教育資金、老後資金とも問題がないと言えますが、その要因は、住宅ローンを早めに完済したこと。それにより、貯蓄は一時的に減りましたが、教育費がピークを迎える今後に向けて、貯蓄ペースが一気に上がりました。さらに家計管理はメリハリがあり、かつ堅実。結果、継続的に貯蓄ができると考えられるからです。ボーナスは変動するとのことですが、現状のまま推移するとして試算をしました。それでも、多少の減額であれば、60歳以降の働き方で十分に対応できると考えます。ともあれ、夫婦とも60歳以降も元気で働けるよう、今後日々過ごしていくことが大切だと言えるでしょう。
 

相談者「なつり」さんから寄せられた感想

先生にたいへん詳しく予測していただき、大変参考になりました。ありがとうございました。漠然とした不安を今回のご指導をもとに目標にかえてこれからもがんばっていこうと思います。本当にありがとうございました。


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など


取材・文/清水京武


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