アドバイス1 今は娘さんの健康第一。最低限、児童手当だけは貯めて
お孫さんのためにも、今は娘さんの健康が第一です。娘さんのご病気を、今すぐにどうにかしようと慌てる必要はありません。しかしお孫さんの将来のため、最低限でも児童手当だけは全額貯金することにしましょう。児童手当を毎月貯めると、ひと月あたり1万円×12カ月で、年間12万円。10年間で120万円ものまとまったお金になります。また、学資保険として加入している積立終身保険を、お孫さんの進学時期にあわせて15年で解約すれば少なくとも210万円前後になるでしょう。児童手当と積立終身保険だけで、お孫さんの進学費用を300万円以上用意することができます。
家計収支データを見ると、趣味娯楽費、家族の小遣い、雑費の3項目で毎月6万円使っていますね。もう少しがんばれるならば、この6万円と、食費の5万円の中から少しずつ節約して、月々1万~1万5000円をプラスで貯めたいところです。
いろはすさんはまだ40代の若さですから、お孫さんの将来のためにできる範囲で、350万円の貯蓄を少しずつ増やしていきましょう。
また、いろはすさんの場合、本来ならば終身保険は不要といえますが、お孫さんが小さいうちだけは加入した方がいいでしょう。今の積立利率変動型終身保険を払い済みにして、1000万円程度の定期保険に10年間だけ加入してはいかがでしょうか。この場合、保険料は5000円弱で済みますから、月々1000~2000円程度の節約になるでしょう。
アドバイス2 正社員になることができれば、老後資金の心配を減らせる
娘さんは持病が心配なため、正社員への登用を望んでいないとのことですが、いろはすさん自身が今の勤務先で、あるいは転職を含め、正社員になる道を探ってみることはできませんか?正社員になれば、パートにくらべて収入が増えることはもちろん、厚生年金や退職金など、老後資金の準備も同時に手厚くできるのが大きなメリットです。また、有給休暇も発生するため、長期休暇には手取り収入が減ってしまうという悩みも解決されます。
実際のところ、40歳を過ぎての転職はハードルが高いのも事実ですが、以前にくらべて就職環境はずっとよくなってきています。いろはすさん自身のこれから先のことを考えても、ぜひチャレンジしてほしいです。
アドバイス3 カードの分割払い、キャッシング……。借金だけは絶対にダメ!
今後、お孫さんが成長するにつれて教育費などの支出も増えてきますが、カードの分割払いやキャッシングを含め、借金だけは絶対にしてはいけません。今の家計状況から見ると、一度でも借金の泥沼にはまってしまうと、そこから抜け出すのは非常に難しいでしょう。今現在は、少ない収入の中でもやりくりして、借金もせず、しかも娘さんから受け取ったお金を使わずに貯めているなど、いろはすさんは本当によくがんばっている、しっかりやっていると思います。
まずは小さなステップからはじめれば大丈夫です。いろはすさん自身が精神的・体力的に参ってしまわないように心のバランスをとりながら、娘さんと一緒にがんばりすぎないようにやっていきましょう。
相談者「いろはす」さんから寄せられた感想
先生に直接アドバイスを頂ける機会もなかなかありませんので良い機会を与えて下さり感謝しています。現実的に難しい面もありますががんばりすぎず少しずつ努力していこうと思いました。なにより先生からがんばっているよくやっているとお褒めのお言葉を頂き不安も和らぎ凄く嬉しい気持ちになりました。本当にありがとうございます。先生からのアドバイスを参考に色々と視野に入れてやっていきたいと思います。お世話にありがとうございました。教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/長島美樹
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