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あなたの好きは貢ぎじゃない?「欲望搾取」にご用心

話題をさらったアニメ「さらざんまい」で登場したキーワード「欲望搾取」について、ファイナンシャルプランナーとしてまじめに考えてみます。案外あなたも欲望搾取されているかもしれません。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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「欲望搾取」というキーワードにグッときた

2019年春アニメ「さらざんまい」が話題となりました。なぜかan・anで特集記事が組まれていたり、意外なところで反応があったりします。

私は監督の幾原邦彦氏の作品が大好きなので、第1話から楽しみに見ていたのですが、「欲望搾取」というキーワードが何度か出てきて、ついついファイナンシャルプランナーとして考えてしまいました。

最近の流行言葉では「やりがい搾取」というキーワードを軸に、ブラック企業について語られることが増えています。それに連想する形で、「欲望搾取」のことを考えてみると、あなたの買い物などが、ついつい「行き過ぎたムダづかい」の誘惑にさらされているのかも、と思います。つまり搾取です。
 
欲望搾取

あなたの“好き”が、搾取されているかも!?


マネーハックでは、常に発想の転換や視点の変更を取り上げていますが、今回は「欲望搾取」という言葉から見えてくるものを考えてみます。
 

「好き」が「貢ぎ」の構図に陥るのが危ない

搾取という言葉は送り仮名を足せば「しぼりとる」です。あなたの欲望が搾り取られ、あなたは何かしらの欲望を充足させる一方で、何かしらの代償を支払っています。

代償は「時間」かもしれません。多くの時間をつぎ込んでも、実はその対価は空虚なものであることはしばしばです。それでも「好き」の対価として、差し出すものとしては「時間」だけならまだかわいいものです。

やはり無視できないのは「お金」でしょう。そのお金が余暇や一般的な趣味として支払われているものであればいいのですが、「しぼりとる」ところまできていたら問題があります。

例えば、こんな趣味はあなたの「欲望搾取」が起きやすいかもしれません。

芸能人やアーティスト、アイドル……CDをたくさん買って「支える」とか、全国ツアーを全部「参戦」するとか、好き過ぎるがあまりに使命感が高い人はちょっと危険です。

ソーシャルゲーム……スマホゲームにハマって、たくさん「課金」をする人がいます。「推しキャラ」のためとか、期間限定イベントだから、と何万円もつぎ込む人は、要注意だと思います。

コレクター……初回限定商品、あるいは希少品集めをせずにはいられない人がいます。骨董品コレクションで身を持ち崩す人の例に限らず、集めることそのものに幸せを覚えるような人は、危ういと思います。しばしば「沼」と呼ばれますが、投下する金額を増やし続けないと、満足が得にくくなるリスクがあります。

射幸心(パチンコ等のギャンブル)……ギャンブル依存症のような人も、一時的快楽のためにお金を次々飲み込ませている人も、欲望を搾取されている一つのパターンでしょう。1日あたりではプラスになっても、全体としては大きな赤字のはずです。

キャバクラやホストクラブ……男性がキャバクラの女の子に、女性がホストクラブの男性ホストを支えるために、無理なお金をつぎ込むことがありますが、戻ってくる満足はわずかです。これもお金を搾り取られているケースでしょう。

さて、いくつかパターンをあげてみましたが、私が思いつかない「欲望搾取」も、まだまだありそうです。

いずれも危ないのは、「好き」が「貢ぎ」につながっているということです。そして、相手側はあなたがお金を投下するほどに儲かる構図になっています。
 

「欲望搾取」かもと思ったら、収支を見てみよう

趣味は生きがいの問題でもあるので、一概にコスパを論じることができません。そこは、ファイナンシャルプランナーであっても、軽々しく立ち入るべきものではありません。

ですから「全額やめなさい」とは、あまり言いたくありません。しかし、あなたが少しでも「搾り取られているんじゃないか」と疑問を持ったとしたら、そろそろブレーキを踏む頃合いなのではいかと思います。

少なくとも「毎月の給料と生活費のバランス」を崩しているまでに、あなたの欲望が搾取されているなら、それは早晩破たんします。

毎月の給料から本来は出せないお金を使ってしまい、ボーナス頼みで食いつないだり、キャッシングでごまかしたりしているなら、その「好き」に貢いでいる金額は行き過ぎです。
 

「欲望」は生きる力だが、破滅してはいけない

アニメ「さらざんまい」では、「手放すな 欲望は君の命だケロ」とカッパの主(のようなもの)に言われます。

欲望がすっからかんになって「枯れた」人生を送るのは、75歳以降でもいいと思いますから、今は趣味や生きがいのためにお金を使ってもいいでしょう。

「推し」があることで生きる元気が湧いてきたり、新作のマンガやアニメを楽しみに一週間頑張っていたりする人はたくさんいます。そのようなささやかな欲望のための予算は、これからも削る必要はありません。一時的に夢中になって散財するのも、人生で何度かあってもいいかもしれません。

しかし、そうした欲望があなたを破滅させるなら、本末転倒です。「愛」と「欲望」は紙一重のところにありますが(「さらざんまい」では対照的なものとして描かれる)、あなたはぜひ、あなたの中の「欲望」を飼い慣らしてみてください。

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