半夏厚朴湯とは……気の巡りを改善する代表的な漢方薬

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半夏厚朴湯は気の巡りをスムーズにしてストレスを緩和する代表的な漢方薬です

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は半夏(はんげ)、生姜(しょうきょう)、茯苓(ぶくりょう)、厚朴(こうぼく)、蘇葉(そよう)という生薬から構成された漢方薬です。
 
漢方医学では健康な人間の身体においては、生命エネルギーである気がスムーズに巡っていると考えます(「気」についてより詳しく知りたい方は「心身の不調の原因は「気滞」?憂うつ感に処方する漢方薬・効果」をご参照ください)。
 
この気の流れがストレスなどで停滞すると気分が沈みやすくなったり、喉や胃腸に不快感が現れたりします。半夏厚朴湯は厚朴や蘇葉が中心となって気の流れを改善し、心身両面の症状を改善する漢方薬です。
  

半夏厚朴湯の効果……憂うつ感や喉の不快感を取り除く

厚生労働省が作成している一般用漢方製剤承認基準によると、半夏厚朴湯は体力中等度をめやすとして、気分がふさいで、咽喉・食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸症:不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、のどのつかえ感に有効です。
 
このように半夏厚朴湯は気分の落ち込みといった精神的症状にくわえて、喉を中心とした消化器の不調に効果を発揮します。消化器の症状についても基本的には精神的なストレスをきっかけに悪化するものになります。
  

半夏厚朴湯の評価……ストレスによる消化器不調の悪化改善に定評

半夏厚朴湯は5種類の生薬から構成される比較的シンプルな漢方薬です。漢方医学において漢方薬の効果はシンプルなほどシャープに効くといわれています。その法則通り、半夏厚朴湯はうまくはまれば著効をもたらします。
 
半夏厚朴湯が有効な症状は、気分の沈みといった精神的な症状があることを前提にしつつ、喉のふさがり感や吐気、食欲不振といった消化器系全般に不調が現れる方です。
 
特にストレスで消化器の不調がより悪化するケースを改善する力において、半夏厚朴湯は定評があります。
  

半夏厚朴湯はうつに効くのか……依存症や耐性の不安が少ないメリットも

半夏厚朴湯はすでに述べてきた通り、憂うつ感や不安感といった精神症状に有効な漢方薬です。実際に医療現場において、うつ症状に対して半夏厚朴湯はしばしば使用されます。
 
漢方薬は西洋薬でしばしば問題となる「依存症」や、徐々に薬が効きにくくなってしまう「耐性」が生じることがありません。したがって、服用を開始しやすく中長期的な継続もしやすいというメリットがあります。
 
一方で半夏厚朴湯を含めた漢方薬全般で対応できるのは、うつ症状でも主に軽症に分類されるものです。明確にうつ病と診断される場合、主力は西洋医学的治療となります。
  

半夏厚朴湯はいつまで飲み続けばいいのか……2~3カ月は継続的な服用を

半夏厚朴湯はシャープな薬効が期待できる漢方薬ですが、残念ながらそれは西洋薬ほどではありません。したがって、服用からある程度の効果の実感が得られるまで2~3ヵ月は継続的に服用するのが良いでしょう。
 
半夏厚朴湯は中長期的に服用しても問題が起こりにくい漢方薬です。症状が改善してもストレスが継続的にかかる環境に身を置いている場合などは予防的に服用を継続するのが良いでしょう。
 

半夏厚朴湯の服用方法

基本的には温かいお湯で服用します。粉薬の服用が苦手な方はお湯に溶かしてから飲んだり、服用を補助するゼリーやオブラートなどを使用してみるのが良いでしょう。
 
半夏厚朴湯に限らず漢方薬全般は食事の約30分前の食前や空腹時の服用が基本となります。

半夏厚朴湯は消化器に負担をかける漢方ではありません。しかしながら、もし服用後に胃もたれなどの不快症状が起こるようでしたら食後服用に切り替えるよう、私の薬局では説明しています。
  

半夏厚朴湯の副作用・使用上の注意点

半夏厚朴湯に限定されるものではありませんが、特定の生薬にアレルギーがある場合は発疹やかゆみなどが起こる可能性があります。過去に漢方薬でアレルギー症状が起こった経験のある方は注意が必要です。
 
特に半夏厚朴湯を構成する陳皮という生薬はミカンの皮を乾燥させたものです。したがって、柑橘系の果物にアレルギーがある方は注意が必要です。

念のために薬だけではなく食品にもアレルギーがある方は購入時に薬剤師などに相談するのが良いでしょう。
  

半夏厚朴湯は出産に影響するか

漢方薬でも妊娠中は服用を控えることが推奨されているものがいくつか存在します。一方で半夏厚朴湯は明確に妊娠・出産に悪影響を及ぼすものはありません。
 
しかしながら、妊娠中は体質の変化や個人差が現れやすくもあります。服用の際は薬剤師などに相談しつつ、服用するのが良いでしょう。
  

半夏厚朴湯が買える場所……漢方専門薬局の他、ドラッグストアでも

半夏厚朴湯は漢方専門薬局でしたらほぼ確実に取り扱いはあるかと思います。最近はドラッグストアでも漢方コーナーが充実しているので、そちらでも購入できるかもしれません。
 
他にもほとんどの漢方専門薬局ではご自宅で煎じて(煮詰めて)服用する煎じ薬(せんじぐすり)としても半夏厚朴湯を扱っています。その場合は薬局ごとに価格が異なるので事前に問い合わせてみるのが良いでしょう。
 
半夏厚朴湯は本来ならば生薬を煎じて服用する煎じ薬が最も効果を発揮します。しかし、今日では有効成分を取り出して顆粒などにしたエキス剤、エキス成分を成形した錠剤といったバリエーションがあります。服用のしやすさや続けやすさなどを念頭に選ぶのが良いでしょう。
  

半夏厚朴湯はいくらで買えるか・値段の目安

一部を例として挙げると、ツムラが販売している半夏厚朴湯エキス顆粒(20包)は大人の場合で10日分、希望小売価格2,400円(税抜き)です。クラシエが販売している半夏厚朴湯エキス顆粒(24包)は大人の場合で8日分、希望小売価格2,000円(税抜き)となっています。
 
同じくクラシエが販売している半夏厚朴湯エキス錠(240錠)は大人の場合で20日分、希望小売価格4,000円(税抜き)です。
  

半夏厚朴湯はどのメーカーのものを買えばよいか? 迷ったら剤形や味で好みのものを

効果の面で言えば漢方専門薬局が調合する煎じ薬の半夏厚朴湯が最も効果を発揮できます。一方で煎じ薬にハードルを感じるようだったら上記のようなメーカーが作っているエキス顆粒や錠剤を選択するのが良いでしょう。
 
メーカーごとに剤形や服用回数、味や香りが異なったりするのでまずは継続できそうなものを選択するのが良いでしょう。
 
エキス顆粒や錠剤なら携帯も可能ですし仕事や家事などで時間が取れない方でも継続しやすいかと思います。これらを服用しても十分に効果が感じられなければ漢方専門薬局の煎じ薬を検討するのも良いでしょう。
  

半夏厚朴湯の活用例……喉の違和感がなくても処方・服用可能

半夏厚朴湯はしばしば「喉に違和感がある方」に対して使用されます。一方でこれらの症状が無いからと言って半夏厚朴湯が使えないわけではありません。
 
「喉」の症状にこだわり過ぎることなく、半夏厚朴湯はもっと幅広く使用できる漢方薬なのです。繰り返しになりますが、半夏厚朴湯は精神的なストレスがあり、それが原因で消化器の不調があるケースに幅広く使用できます。具体的には仕事の負担が重なり、吐き気や食欲不振があるような方にも有効です。
 
最近は私の営む漢方専門薬局でも半夏厚朴湯を調合する頻度が高止まりしている印象があります。移り変わりが激しく、ストレスが溜まりがちな今日の世相を反映しているのかもしれません。もし憂うつ感が続くようでしたら半夏厚朴湯を含む漢方薬を選択肢に加えていただければ幸いです。
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