お金の悩みを解決!マネープランクリニック/50代以上の家庭のお金悩み相談

59歳定年が間近、住宅ローン残高1900万円。子どもへの仕送りもあり…(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、定年を目前に控えた59歳の会社員男性。65歳まで嘱託として勤務できるものの、子どもの教育費があと2年半、住宅ローンの完済まで15年ということから、老後の暮らしが不安とのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 75歳まで続く住宅ローンの負担が大きい

まずは、今後の収支を概算してみましょう。資産は現在の貯蓄450万円と退職金の1200万円で1650万円。子どもへの仕送り8万円はあと2年半ということですから、ここから240万円(8万円×30カ月)を差し引き、資産は1410万円として計算していきます。
 
収入は、65歳までがふったさんの月収20万円と妻のパート8万円、65歳以降が夫婦合わせて月額23万円の年金です。支出は子どもへの仕送りを除くと32万9000円、これが住宅ローンの返済が終わる75歳まで続きます。ということは、65歳までは月4万9000円、65歳以降75歳までは月9万9000円不足します。これを合計すると1482万円([月4万9000円×12カ月×5年=294万円]+[9万9000円×12カ月×10年=1188万円])で、住宅ローンの返済が終わる前に資産が底をついてしまうことになります。
 
住宅ローンがなくなれば支出は19万4000円ですから、年金だけで生活していくことが計算上は可能です。しかし病気をしたり介護が必要になるなど、高齢になったことで必要になる費用もあります。生活費をまかなえればいいとはいえませんから、状況は極めて厳しいといえるでしょう。
 

アドバイス2 住宅ローンと医療保険は早急に見直しを

現在の支出の中で、早急に見直す必要があるものに住宅ローンと医療保険があります。

住宅ローン金利は現在最低水準で、新規借り入れなら全期間固定で1.0~1.5%の金融機関が多々あるのです。そんな状況の中で、固定金利3.5%というのは高すぎます。残り15年の全期間固定で1.5~1.7%程度にはなるはずですから、すぐに借り換えをしてください。金利1.5%ならば、毎月の返済額は約11万8000円ですから1万7000円削減できます。ただし、気になるのは定年が間近だということ。借り換えが難しいことも考えられます。まずは現在借入れをしている金融機関に相談し、良い返事がもらえない場合は他行もあたってぜひ借り換えを実行してください。
 
もうひとつは保険です。見直しをしているとのことですが、現在の保険はすぐに払い済みにして共済の医療保険に加入しましょう。そうすれば、保険料は1人2000円程度になります。本来であれば保険は不要な年齢ですが、資産が少ないので最低限度の医療保険だけは確保しておいた方が安心です。
 

アドバイス3 地方の実家は売却し、お母さまとの同居が最善の対策

前項の見直しをすると保険料は月2万6000円、住宅ローンは月1万7000円削減することができるため、住宅ローンを完済する75歳時点で約700万円の資産を残すことができます。資産が底をついてしまった当初の試算と比べると余裕ができたように思えますが、この金額は決して安心できるものではありません。
 
たとえば介護費用。介護にかかるお金は期間、金額ともに個人差が大きいので目安は難しいのですが、生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査/平成30年度」によると月額7万8000円、介護期間54.5カ月、一時的な費用69万円が平均で合計は494万1000円。ですから1人500万円、夫婦で1000万円は準備しておきたいもの。そう考えると、ふったさんの家計は支出を見直しても心配ないレベルとはいえません。
 
そこで提案したいのが、ふったさんのプランにもある地方にお住いのお母さまを呼び寄せての同居です。ご実家の立地がわかりませんが、今後の日本は家余りの時代になります。特に地方都市ではその状況が顕著で、売却が難しくなる可能性が高まってくるでしょう。同居することでお母さまから支援が得られることはもちろん、将来“負”動産を相続しないためにも地方のご実家は早めに売却する方がいいのではないでしょうか。いずれにしても、時間的な猶予はありません。早めに行動することをおすすめします。
 

相談者「ふった」さんから寄せられた感想

この度はアドバイスをいただきましてありがとうございました。最近はいろいろな大きな課題が重なった時期でもありましたのでじっくりと考えられなかった上に勉強もあまりできていなかったのもありましたが、漠然とやりくりは厳しいとは予想しておりました。しかし、この度試算をしていただき示していただけたおかげで具体的なことがわかり、指摘いただいた課題を中心に見直していきたいと考えます。ありがとうございました。



教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/鈴木弥生





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