雨、暑さ、寒さ…… 小さな子どもがいると、天候や気温により外出するのが悩ましいもの。そんな日を「特別」に変えてくれるのが、『かみコップでつくろう』(福音館書店刊)。家にあるもので簡単にできるおもちゃの作り方を紹介した、工作の絵本です。
どのおもちゃも作りやすく、アレンジしやすいので、幼児から大人まで幅広い年齢で楽しめるのがポイント。作った後は絶対に遊びたくなる上、他にもいろいろ作りたくなるので、時間がたっぷりある日にこそおすすめです。
作れば作るほど、科学のおもしろさに近づける
『かみコップでつくろう』で紹介されているおもちゃは、形も作り方もシンプルで、自分でいくらでもアレンジできます。
自分の理想の形にするにはどうしたらいいのか、実際に手を使いながら考え、力の入れ方や角度をほんの少し変えてみることで、できあがりが違ってくる……。実はこの絵本、工作を通して科学のおもしろさが感じられる、科学絵本なんです。
見本のようにきれいに作るのがゴールになってしまうと、ちょっと歪んだりはみ出したりするのが気になって、作るのが嫌になってしまう子もいますよね。
でも、この絵本にはそもそも歪みという概念がないように感じられます。それよりも、もっと根本的な物を作る楽しさを教えてくれます。「さあ なにか つくってみよう」などの語りかけるような文章や、絵本の中の笑顔の子どもたちが、「遊ぼうよ!」と誘ってくれるのです。
これが工作アイディア集や工作キットとは違う、絵本ならではの魅力なんです!
家族みんなで作れる、遊べる
もう一つ、この絵本のいいところは、「本当に」家族みんなで楽しめるところ。ごく小さな子でも色塗りはできますし、赤ちゃんだってできたおもちゃで楽しく遊べます。そして、大人の方も! 黙々と手を動かすことで意外と頭がスッキリしますよ! 実際私も、だんだんと凝ったものを作りたくなったり、配色に悩んだりしながら、楽しく息子と遊んでいます。
ちなみに、大人にはもう一つ、うれしいポイントがあります。それは、工作にしては、比較的ちらかりにくいこと。パパッと気持ちよく片付くのも、おうちでゆっくり過ごすのには大切ですよね!
子どもと、とっておきの1日を過ごすために
子どもって、親がしっかり向き合うことをすごく喜んでくれますよね。絵本専門士として、絵本のイベントにいらっしゃるお母さん方とよく話すのですが、「子どもと一緒に」「他のことをせずに」「同じことをする」というこの3つは、本当に大切だなと感じています。普段は一緒にいてもつい用事を済ませてしまいがちですが、工作タイムでべったり過ごすことを、息子もとても喜んでくれます。
“外に出かけられないがっかりな日”を、思い出に残る“スペシャルな日”にしてくださいね!
DATA
福音館書店 | 『かみコップでつくろう』
著者: よしだきみまろ
発行年: 1990年