お金の悩みを解決!マネープランクリニック/50代シングルの人のお金相談

55歳会社員、貯金2200万円。「億り人」が目標ですが保険についても悩み中(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、5年後にリタイア、その後は投資で資産を増やすことを計画中の55歳の会社員男性。加入している保険と、有料老人ホームの入所についていろいろと思案中。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 まとまった資産があれば保険の必要性は低い

まず質問1からお答えします。
「ある程度資産があると、保険の必要性があまり感じられない」という考えに、ライフ・マネープランさんが該当するかといえば、そうだと考えます。
 
とくに医療保障については、実際に医療費が発生すれば貯蓄からという発想です。現時点で資産があれば、いつまとまった治療費が発生しても対応できます。その意味で、保険に頼る必要性は低いということです。

また、浮いた保険料を貯蓄すれば、それも医療費に回せます。実際に②③について、今後支払う保険料は、90歳まで生きるとして、総額270万円ほど。加入時期は不明ですが、これまで支払った保険料も加算すれば300万円前後になるはず。

大半の治療は健康保険適用の範囲であり、入院が短期化傾向にあります。一般的に考えて、この保険料を超える自己負担の医療費がかかる可能性は高くはありません。ましてや、医療費がそこまでかからなければ、その分貯蓄として残ります。この方がお金の使い方としては「合理的」ということになります。
 
死亡保障については、まとまった資金を遺す家族は現時点ではいませんので、さらに必要性が低いことになります。また、貯蓄性を考慮して保険に加入するケースもあります。①⑥はそれに該当するでしょう。ただし、①の貯蓄性はさほど高くはありません。⑥についても予定利率は高くても、為替差益でもっと増えるかもしれませんが、為替差損が発生する可能性も当然あります。しかも、両替手数料など、余分なコストも発生します。①は払済保険に、⑥も投資と割り切るなら別ですが、貯蓄と考えるなら払済保険にした方が賢明です。
 
残る個人年金保険ですが、④⑤とも老後資金づくりが目的ですし、確実に増えるわけですから、これは継続でいいでしょう。
 

アドバイス2 定年後の運用生活を体験してから判断する

次に、⑤の個人年金保険の年金額を減額し、結果、浮いた保険料は投資に回すべきかというご質問ですが、結論からいえば、貯蓄に回した方がいいでしょう。これまでに支払った保険料との差額は3万4000円弱。年間で40万円にもなります。60歳まで支払う予定でしたから、5年間で200万円。確実に貯蓄を増やしたいところです。
 
その理由ですが、ライフ・マネープランさんが60歳でリタイアして、以降は運用で資産は増やし、ゆくゆくは「億り人」になりたいという希望と関係します。もちろん、夢や希望を持つことは自由ですし、それについては個人的には否定するつもりはありません。ただし億り人はもとより、運用だけで生活できるだけの収益を数十年、継続的に得ることでさえ、かなりハードルは高いといわざるを得ません。
 
おそらく、専門の講習も受けているとのことですから、定年後から始める運用手法は中長期ではなく、デイトレードかそれに近い短期売買がメインになるかと思われます。しかし、それで誰でも儲かる方法は存在しません。日々リスクとの戦いです。思い切った損切りができるだけの決断力も欠かせません。私の知る限り、それで成功している人はほんの一握りです。
 
したがって、FPという立場でいえば、億り人を目指すより、今後は貯蓄にシフトすべきです。現状から考えて、定年後も金融資産の7~8割を運用に充てることが予想されますが、1割か多くて2割程度に抑えてください。ただし、人にいわれても納得できない部分もあるでしょう。そこで自身で体験して答えを出してはどうでしょう。

例えば、夏休みや有給を使って1週間、本気(自己資金300万円程度)でデイトレードをしてみる。いわば「仮想・定年後の運用生活」です。保証金100万円くらいなら、信用取引を含めてもいいと思います。時期をずらして、それを計3回してみて、少なくとも2回で利益が出て、トータルでも20%以上利益が出れば、才覚があるかもしれません。逆に、それが達成できなければ、地道に貯蓄の道を選択すべきです。
 

アドバイス3 今後の投資は「つみたてNISA」を活用

最後のご質問ですが、有料老人ホームの入所費用はかなり幅があります。民間の場合で、一時金が発生しない施設もあれば数千万円、介護付きのタイプであれば億を超える施設もあります。他に、ランニングコストとして月額15万~35万円といったところでしょうか。
 
ただし、漠然とした額を知るよりも、本当に入所を希望するなら、具体的に自分が入所したいと思える施設を選び、必要な資金を用意する。それが不足しそうなら、そのために今から資金づくりをする。その方が、より現実的です。あるいは、入所時期が現実に近くなった時点で、手持ちの資金で可能な施設に入所する。入所のプロセスとしては、そのどちらかになるかと思います。
 
そう考えると「億り人」になれば、希望する施設に入所できますから、一見、2つの目的が合致するようにも思えます。しかし、運用はリスクをともなうため、老後資金そのものを取り崩す可能性もあります。したがって、この両者の方向性はズレていることになります。もし有料老人ホームを優先するなら、先にも触れましたが、今から貯蓄にシフトすべきです。
 
55歳は、投資商品の比率を下げていく年齢にさしかかっています。株式は利益確定していく。また、現在多くの投資信託を保有されていますが、これも一度整理・売却する。そして、今後の投資については「つみたてNISA」を活用して、税制メリットを受ける。それが結果的に、リスクを抑えた中長期投資につながります。
 

相談者「ライフ・マネープラン」さんから寄せられた感想

生命保険・医療保険については、ある程度資産があれば、保険に加入していなくても対応ができることがわかり、少しずつ払込済保険にして、浮いた保険料を貯蓄の方に回していきたいと思います。投資・運用の資金の割合が年齢に対して、多いとの指摘がありましたが、現役の間(定年まで)は、投資・運用の資金の割合がある程度あってもいいのかなぁと思っていました。投資・運用については勉強という面もあるので、これ以上割合が増えないようにしつつ、リスクの低いものに変えていき、定年までは徐々に割合を減らしていきたいと思います。

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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
深野康彦

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水 京武


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