Q. 「コーヒーにがん予防効果がある」って本当ですか?
コーヒーにはがん予防の効果があるの?管理栄養士が解説
コーヒーにはさまざまな健康効果があると言われていますが、そのなかでもがん予防効果については気になる人が多いようです。実際にどのような報告があるのか、見てみましょう。
Q. 「『コーヒーにがん予防効果がある』と聞きました。本当でしょうか?」
A. 一定のがん予防効果はあるようです。研究報告・論文を確認してみましょう
コーヒーには、胃がんや直腸がんなどのがんリスクを減らす効果があると言われています。これはコーヒーに含まれるポリフェノールの一種である「クロロゲン酸」が持つ抗酸化作用によるものだと考えられます。複数の論文が発表されているので、コーヒーに一定のがん予防効果があることは本当であるといえるでしょう。
2017年に発表されたSusan M.の論文(※1)では、非喫煙者に限定しての話ですが、1日2杯のコーヒーを追加で飲むことで、肝臓がん、乳がん、食道がんのリスクを減らすことができたと発表されています。
同じく2017年のG Alicandroの論文(※2)では、「一部の論文で小児の白血病のリスクが上がるというデータもあるようだが、概ねコーヒーを1杯飲むごとにがんリスクが下がるという研究が多いようだ」という報告がされています。
適度なコーヒーを楽しむことで、がん予防にはよい効果が期待できそうです。一方で、がんの部位や種類によっては、コーヒーによる予防効果が確認できないものもあります。肺がんや大腸がん、乳がんなどのいくつかのがんの種類別に、報告されている論文を見てみましょう。
■肺がんをコーヒーで予防できるかは不明
2018年のNarita Sによる論文(※3)には、「コーヒーを飲んでも肺がんのリスクは上がらない」という記載があります。こちらは日本人の研究ですので日本人としては期待したい論文ですが、リスクが低下するとまでは明らかになっていないようです。
■大腸がん・直腸がんはコーヒーでの予防効果が期待できるという報告あり
2016年のSchmit SLの論文(※4)によると、コーヒー摂取によって「大腸がんはオッズが26%減少する」と報告されています。「コーヒーの摂取は、用量反応的には結腸直腸癌のリスクと反比例する可能性がある」と締められていますので、一定の予防効果が期待できるのでしょう。
■乳がんもコーヒーでの予防効果が期待できるという報告あり
最初にご紹介したSusan M.らの研究で効果があると報告されています。
■すい臓がん・肝がんにも予防効果が期待できるという報告あり
こちらも同様で、最初にご紹介したSusan M.らの研究で効果があると報告されています。
このようにコーヒーとがん予防の関係だけに絞って論文を探すと、様々な魅力的な報告を発見することができます。では、とにかく今日からコーヒーを飲むようにすれば、がん予防ができるといえるでしょうか? 残念ながら、そうではありません。コーヒーに限らずですが、「がん予防のために」と特定の食品を摂ったとしても、実際には他の生活環境から受ける影響が非常に大きく、あまり効果は見込めないものです。がんになるかどうかは一つの食品だけで決まるものではありません。色々な食品・飲料を適量、バランスよく楽しんで、健康的な生活を心がけるようにしましょう。
■参考論文
- ※1 Susan M. Gapstur, Rebecca L. Anderson, et al; Associations of Coffee Drinking and Cancer Mortality in the Cancer Prevention Study-II.,Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2017 Oct;26(10):1477-1486.)
- ※2 Alicandro G et al.;ffee and cancer risk: a summary overview., Cancer Prev. 2017 Sep;26(5):424-432.
- ※3 Narita S et al.Coffee Consumption and Lung Cancer Risk: The Japan Public Health Center-Based Prospective Study. J Epidemiol. 2018 Apr 5;28(4):207-213.
- ※4 Schmit SL et al.:offee Consumption and the Risk of Colorectal Cancer., Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2016 Apr;25(4):634-9.
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