アドバイス1 団体信用生命保険に加入できない可能性が高い
ご相談にお応えするアドバイスではないのがとても心苦しいのですが、率直にいってマンション購入は難しいと思われます。その理由は、現在は完治しているとのことですが精神疾患のカウンセリングと投薬が続いていると、住宅ローンの返済中に万が一のことがあった場合、保険金によって残りの住宅ローンが弁済される団体信用生命保険(通称:団信)に加入することができない可能性が高いです。団信に加入できないと金融機関で住宅ローンを借りることはできません。住宅金融支援機構が提供する「フラット35」ならば団信に加入しなくても借り入れはできますが、万一のとき住宅ローンが残ってしまいますし、対象となる住宅は30平方メートル以上なのでワンルームだと適合しないかもしれません。
どうしてマンションを購入しようとお考えなのかがわからないのですが、現実的な視点でアドバイスをするとご実家で同居を続けることをすすめます。というのも、現在の収入だと生活はできますが十分とはいえません。シングルで実家暮らしだから、これだけ貯められたのです。マンションを購入して一人暮らしをすると貯蓄ペースは一気に落ちますし、手元のお金も無くなりアクシデントが起こった際の余裕がありません。いざというとき、まとまったお金が手元にあるのは心強いことです。可能ならば当面は実家で生活して貯蓄を増やす方が、将来の不安解消には効果が大きいように思います。
アドバイス2 どうしてもマンションを買うのなら投資用と考えて購入を
住宅ローンを借りることができ、数年後にマンションを購入する場合についても考えてみましょう。その場合は、投資用のマンションを購入する気持ちで物件を選んでください。そうすれば結婚などライフプランの変更があっても、あわてずに済むからです。投資用として検討する場合、まず考えたいのが利回りです。表面利回りなら7%以上、管理費や固定資産税などを除いた実質利回りでも5%は確保できる物件であることを意識しましょう。もうひとつは、長期間にわたって賃借人を確保できる物件であるかということです。東京でも空き家率が増えてきています。将来的には賃貸物件も入居する人がなく、空室になる物件が増えてくるでしょう。エリアや沿線だけでなく、駅からの距離、周辺環境など、自分が気に入るだけでなく、客観的に見て競争力がある物件かどうかを見極めてください。
と考えると、いま検討している「1Rもしくは広くても1LDKほどで金額は2000万円以下」という条件は、金額面から見て割高である可能性が高いように思います。
アドバイス3 マンションにも相場がある。お金を貯めながらチャンスを待とう
検討している物件価格は割高である可能性が高いというお話をしましたが、マンションには相場があり、特にワンルーム物件は不動産の中でも流動性が高いため株のように値動きが大きい傾向があります。現在の不動産相場は頭を打った感があるものの、まだまだ割高。首都圏の不動産相場は上昇と下降を繰り返していますから、投資用物件として考えるならば購入時期は相場を意識して検討すべきです。そこで、キタグニさんに提案です。現状では団信に加入できない可能性が高い、物件価格が割高ですから、しばらくは実家での生活を続けてしっかり貯蓄を増やし、相場が下がるのを待って現金で購入してはどうでしょう。現金で購入できれば、毎月の支払いは管理費や固定資産税などで3万円程度に収まるはず。これなら一人暮らしをしても、貯蓄を増やしていく余裕が生まれます。住宅をいかに低コストで確保できるかは、マネープランに大きな影響を与えます。ここで失敗すると住宅ローンを返済していくだけの人生になってしまいますから、現金で買うことの安心感はとても大きいです。ぜひ考えてみてください。
相談者「キタグニ」さんから寄せられた感想
疾患については治っていたので問題ないと考えていたのですが団体信用生命保険に加入が難しいとは思っていませんでした。難しいことがわかっただけでも良かったです。焦らずに購入時期を考えようと思います。教えてくれたのは……
藤川太さん
取材・文/鈴木弥生
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