ドラマ

「平成」という時代に常に挑み続けた名作ドラマ『相棒』

「名作」と言われるドラマが数多く誕生した平成。数えきれないほどドラマを見てきた竹本さんが「平成を代表する名作と言えばコレ!」と挙げてくれたのは、今やseason17を迎える長寿ドラマ、『相棒』でした。平成という時代を駆け抜けた『相棒』の魅力とは?

竹本 道子

執筆者:竹本 道子

ドラマガイド

 
視聴者を魅了し続けるドラマ『相棒』

視聴者を魅了し続けるドラマ『相棒』(画像はガイド記事「水谷豊は僕のヒーロー、北村一輝『相棒』の役作り」より)


平成の間に数々の「名作」と呼ばれるドラマは誕生しました。ドラマガイドとして数多くの作品を見てきましたが、時代を代表する名作をひとつ挙げるとすれば、やはり『相棒』です。


平成12年に単発ドラマとして『土曜ワイド劇場』に登場し、平成14年に連続ドラマがスタートした『相棒』。主人公の杉下右京(水谷豊)の相棒の交代や、映画やスピンオフへの展開を続けながら、season17を迎えた今もなお視聴者を魅了しています。

平成を人気作品として駆け抜けた『相棒』のすごさは、時代に果敢に挑み続ける気骨な姿勢と、視聴者へのアプローチの巧さ。常に変化する世相をキャッチし、一貫した姿勢で踏み込む作品づくりと、極上のエンターテインメント性が平成のドラマ界をリードしてきたと言えるでしょう。

   

”杉下右京”だからこそ成り立つ骨太なメッセージ

 
小さな社会から大きな社会まで幅広く描く『相棒』/画像はAmazonより 劇場版Ⅱ警視庁占拠「特命係の一番長い夜」

小さな社会から大きな社会まで幅広く描く『相棒』


『相棒』の魅力は、豪華なゲストや脚本家陣などももちろんですが、一番は時代性のあるテーマと骨太なメッセージではないでしょうか。

サイバー犯罪、個人情報流出、裁判員制度、テロ、クローン人間、貧困。どの刑事ドラマも社会情勢を踏まえてさまざまなテーマを掲げますが、『相棒』のすごいところは怯むことなく立ち位置を外さないこと。

「どんな事情があっても犯罪を明るみにし、罪を償うべき」とする杉下右京の姿勢は、時に冷酷に映るかもしれません。人気作品とは言え、杉下右京を安易な人気者に仕上げず、彼の持つ毒をも見せるところに作品の強みを感じます。妥協がないからこそ挑戦を続けられる。妥協しないためには毒も必要。明解です。
 

世代を超えたエンターテインメント


スリリングな展開や機知に富んだ会話は若い世代も楽しめ、アレンジ豊かなオープニングテーマやドローンで撮影された都会の風景など、洗練された雰囲気も『相棒』の魅力。

常に時代の色を反映させながら進化する『相棒』はすべての世代が楽しめるドラマです。season17の今、土曜ワイド劇場時代の『相棒』を支持してきた祖父母世代から、『相棒』をSNSで語る孫世代まで、3世代にわたっての『相棒』ファンもいるのではないでしょう。

次の時代、社会はさらに変化を遂げ、いくつもの問題が生じ、私たちがどうあるべきかを問われる場面がくるでしょう。そのとき、『相棒』が何を発信し何を表現するのか、興味は尽きません。

 

DATA
相棒|season 1 DVD-BOX

出演:水谷豊、寺脇康文ほか
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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