金融資産を持っていない人が38.6%って、ホント?

貯蓄に関するさまざまな調査がありますが、クローズアップされるのは、平均貯蓄額といった数値です。筆者も、いくつかの記事で紹介しています(2018年版・みんなの平均貯蓄額は?いくら貯めている?)。しかし、ひとりひとりの家計状況が違うなか、平均の貯蓄額を見ても、「では、いったいどうしたらいいのか?」という答えはでてきません。筆者もひとりひとり対面でアドバイスすることもできません。
 
でも、年代や年収や住まい方に関わらず、誰もができる方法は知っています。もしも「お金が貯められない、貯まらない」と思っているのであれば、このまま読み進めてみてください。
 
その前に、「貯蓄できない」という実態がどうなっているのか、確認しておきましょう。
 
次の表は、『家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯調査)2018年』(金融広報中央委員会)のデータから、年代別に示した平均貯蓄額です。金融資産を保有していない世帯も含めたものと、金融資産を保有している世帯のみを分けて一覧にしています。
 
単身世帯の年代別・金融資産保有状況

単身世帯の年代別・金融資産保有状況



たとえば、20歳代のシングルは、金融資産を保有していない世帯も含めると平均は128万円。金融資産を保有している世帯のみだと239万円。この開きが、お金を貯められている人とそうでない人の差とも言えます。
 
金融資産を保有していない世帯は、全体で38.6%。20歳代で45.4%、30歳代で39.7%とかなり高い割合が示されています。こんなにも、「貯蓄ができていない」世帯がいるのかと、驚くばかりですが、実態は、少し違います。

 

生活口座と貯蓄口座を分けておくことが大事

 
この調査では、金融資産を保有している定義を、「預貯金、貯蓄性のある生命保険、債券や株式、投資信託、その他の金融商品の総合計」としています。ただし、預貯金に関しては、日常的な出し入れ・引き落としに備えている部分を除いた、「運用のため、または将来に備えて蓄えている部分」のみをカウントしています。つまり、預貯金があっても、それが日常的に使う予定のお金であれば、金融資産には含まれないことになります。
 
前述した、金融資産を保有していない割合は38.6%でしたが、そのうち、口座を保有していて、現在残高がある世帯は、63.6%で、その金額は185万円です。つまり、この世帯は、まったく貯蓄がない、というわけではありません。20歳代でも97万円は、日常的に使うお金として保有しています。
 
金融資産を保有していない人の預貯金残高

金融資産を保有していない人の預貯金残高


これは、本当に全額、日常的に使うお金なのか、といえば違うでしょう。給料やバイト代などが振り込まれても普通預金に入れっぱなしで、ほかの貯蓄口座に預け替えていない。もしくは、口座を分けていても、定期預金や積立貯蓄などしておらず、その他の運用商品にも預け替えていないで、ほったらかしになっているお金という可能性が高いでしょう。
 
確かに、日常の生活費などは引き出しやすい普通預金口座を利用しますが、それ以外は、別の貯蓄用商品を使うべきです。突発的な支出に備えて、普通預金口座に多くのお金を残している人も少なくありませんが、それでは、いつまでたっても「お金を貯める」ことにつながりません。
 
まさに、この調査で、金融資産とは、「運用のため、または将来に備えて蓄えている部分」と聞いていることと重なります。「貯蓄がない、お金が貯められない」と言う人は、将来に備えたお金を取り分けることができていないのです。
 
この人たちは、本来、貯蓄ができる力がある人たちです。生活口座と貯蓄口座をきちんと分けるだけで、お金を貯める力が身についていくはずです。まずは、今ある預貯金口座から、日頃使うのに必要なお金だけ残し、他は別の貯蓄口座に預け替えることです。そのうえで、毎月の収入から貯蓄口座にお金が貯まるように積立貯蓄などをし、残ったお金で生活することを実践してほしいと思います。
 

「収入ー貯蓄=支出」の先取り貯蓄で、貯められる人になれる!

問題なのは、本当の「貯蓄ゼロ」世帯です。
 
同調査の金融資産を保有していない世帯のうち、「口座は保有しているが、現在残高はない」世帯は、全体で29.3%。「口座を保有していない」世帯が7.1%。合計36.4%は貯蓄と呼べるものがない、ということになります。中には、タンス預金として金融機関に預けていないだけ、という人もいるかもしれませんが、それはレアなケースでしょう。
 
前述の、金融資産を保有していない世帯の割合から試算すると、実際の「貯蓄ゼロ」世帯は、全体で14.1%ということになります。これを年代別でみると、20歳代が13.6%、30歳代が16.6%、40歳代が18.3%、50歳代が18.0%と年代が上のほうが、貯蓄ゼロ世帯が多いという実態にたどりつきます。
 
本当の貯蓄ゼロはどのくらいいる?

本当の貯蓄ゼロはどのくらいいる?


 
ただ、各年代とも、「口座は保有しているが、現在、残高はない」とする世帯が多いことを考えると、まだ対応の仕方もあるでしょう。この世帯は、「収入=支出」の世帯であるということです。これを、「収入ー貯蓄=支出」とするだけで、貯蓄ゼロから脱出することができるのです。
 
もちろん、さまざまな事情があるでしょう。収入もぎりぎり、支出も節約して抑えている、なんとか生活できている、という世帯もあるでしょう。しかし、あればあるだけ使っているとしたら、それは、単に「ザル家計」にすぎません。収入のうち、毎月1000円でも5000円でも、貯蓄として先取りし、残ったお金でやりくりする、これが、貯蓄ゼロから脱出する、唯一の方法です。
 
20歳代は、まだ収入も少なく、貯蓄する力が不足しているかもしれませんが、若いうちから、貯蓄クセをつけることが最も大切で、金額の多寡は問題ではありません。1日でも早く、先取りで貯蓄できる、積立貯蓄を実行しましょう。
 
40歳代、50歳代になっても、貯蓄ゼロというのは、かなり厳しい状況と言わざるをえません。この先、退職金でかなりの金額が予定されているという以外、老後を支えるお金がない、ということになります。まだこの先の人生は長いのです。今からでも、「お金を貯める」ことを意識することが、何よりも大切です。積立貯蓄のほか、ボーナスでの使い過ぎはないのか、日々の無駄な出費はないのかといった、「支出」の見直しをすることで、貯蓄に回すお金をしっかりと確保すべきでしょう。
 
「口座を保有していない」=貯蓄ゼロ、と必ずしも言えませんが、若年層については、やはり貯蓄ゼロに等しいと言っていいでしょう。バイトであっても振込みが基本なので、口座を保有していない、という状況を理解するのは難しいのですが、自立した生活をする、働き方を変えるなど、貯蓄をする以前の問題を解決する必要があるのでしょう。
 
いずれにしても、貯蓄する力は、誰にでもあり、その力を使うための知識を得ることが大切です。今はスマホで、こうした記事も簡単に読めます。それでも、今の生活スタイルを変えず、貯蓄行動に移れないのであれば、そのツケは老後に回されるのです。
 
1日でも早く、貯蓄ゼロからの脱出を図ってください。

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