所得税と住民税には違いがある!
「所得税はかからなかったのに、住民税は請求された……」というのは珍しくありません。理由は、所得税と住民税で仕組みが違うからです。今回は住民税の所得割を見ていきます(均等割は割愛します)。★所得税と住民税の違いについて税金ガイド・坂口猛さんが動画・音声で解説します。
主な理由1:所得控除の違い!
所得税と住民税の所得控除額には違いがあります。例えば、配偶者控除の上限額の差額は5万円(所得税は38万円、住民税は33万円)ですし、扶養控除(特定)の場合、18万円(所得税63万円、住民税45万円)の差額となります。また、基礎控除については、令和7年分から所得税の上限額が95万円(所得金額132万円以下)に引き上げられたため、その差額は、52万円となっています。その他、生命保険料控除(最高7万円)や地震保険料控除(最高2万5000円)にも差額があります。
例えば、配偶者控除(最高額)と扶養控除(一般)、扶養控除(特定)、基礎控除の適用を受けている人の場合、所得税と住民税で最大80万円の差があることになります。
したがって、所得税額が0円となっていても、所得控除額の違いにより、住民税は課税される場合もあることになります。
主な理由2:税額控除の違い!
税額控除の違いで影響が大きいのは、住宅借入金等特別控除です。この税額控除は、原則として、所得税のみの適用となります。ただし、所得税で住宅借入金等特別控除の適用を受け、かつ、所得税では控除可能額が控除しきれなかった人については、住宅借入金等特別税額控除として、一定の金額を住民税からも控除できるしくみとなっています(最高でも所得税で控除しきれなかった金額までとなります)。
したがって、住宅借入金等特別控除の適用を受けた結果、所得税額が0円となっていても、所得税と住民税の税額控除額が異なるため、住民税は課税される場合もあることになります。
主な理由3:所得金額の違い!
会社員などの給与所得者で、給与所得以外の所得が20万円以下であるため、確定申告をしないことを選択した場合や、少額配当であるとして、申告しなかった場合などであっても、住民税に関しては申告しなければならないこととなっています。したがって、所得税額が0円となっていても、所得金額の違いにより、住民税は課税される場合もあることになります。
では、所得税は0円でも住民税(所得割)がかかるケースを、以下の事例でみてみましょう。ポイントは、基礎控除額が所得税と住民税で違うことです。
事例1:パート年収が113万円の場合(所得控除は基礎控除のみ)
所得税の計算113万円(パート年収)-65万円(給与所得控除)-95万円(基礎控除)=-47万円 ∴0円
その結果、所得税額は0円
住民税(所得割)の計算(税率10%と仮定、調整控除は考慮外)
113万円(パート年収)-65万円(給与所得控除)-43万円(基礎控除)=5万円
5万円×10%(税率)=5000円
その結果、住民税額(所得割)は 5000円
事例2:給与年収が400万円の場合(所得控除は社会保険料控除60万円、配偶者控除(最高額)と基礎控除、税額控除は住宅ローン控除限度額4万5000円)
所得税の計算(復興特別所得税は考慮外)400万円(給与年収)-124万円(給与所得控除)-60万円(社会保険料控除)-38万円(配偶者控除)-88万円(基礎控除)=90万円
90万円×5%(税率)=4万5000円
4万5000円-4万5000円(住宅ローン控除)=0円
その結果、所得税額は0円
住民税(所得割)の計算(税率10%と仮定、調整控除は考慮外)
400万円(給与年収)-124万円(給与所得控除)-60万円(社会保険料控除)-33万円(配偶者控除)-43万円(基礎控除)=140万円
140万円×10%(税率)=14万円
14万円-0円(住宅ローン控除)=14万円
その結果、住民税額(所得割)は14万円
いかがでしたでしょうか。仮に、住宅ローン控除があって所得税額が0円となっている場合でも、住民税は課税されるケースも多いため、医療費控除や寄附金控除など、適用できる所得控除や税額控除は最大限に活用することをおすすめします。







