アドバイス1 不安を感じすぎ。親の援助もあり心配は不要
ひと言でいって、心配しすぎです。現在の状況を見る限り、どうしてそんなに不安を感じるのか逆に不思議です。「住宅ローンが重くのしかかっている」とおっしゃいますが、毎月の返済額はそれほど多くありません。またローン残高も、買い替え資金で一部返済しているため年齢からみて多すぎるというほどではありません。現在の恵まれた状況を支えてくださっているお父さまは、将来が不安さんに十分な給与を払い、お子さんのためには教育資金贈与もしてくれています。それなのに、そんなに不安を感じるなんてお父さまが聞いたらがっかりなさるのではないでしょうか。家計については、収入が多い分しっかり貯めていますから内容に大きな問題はありません。年金の心配をされているようですが、70歳まで働けばあと25年=300月分増えます。現在の収入が続けば、それほど心配する必要はないのではないでしょうか。
アドバイス2 経営者一族としての自覚を持ち、マネジメントを学んで
そもそも、お父さまに何かあったら業績が悪化する前に廃業する予定という、将来が不安さんの意識に問題があるように思います。いま、これだけの給料をもらえているのは経営者一族だからということを自覚していますか。目の前にお父さまといういい先生がいて、順調な事業という資源があるのに、簡単に手放すことを考えてはいけません。いざとなったら自分が引き継いでやっていく、お子さんもいらっしゃることですし次代へ継続するくらいの意識と覚悟を持って仕事に取り組んでほしいものです。将来に不安を感じるのは受け身だからで、能動的に考える意識がリスクを減らします。経営者一族にとって、将来の不安を軽減してくれるのは何よりも事業の継続です。安定させたいと思うのなら、住宅ローンの繰上返済をどうするかといった細かいことを心配するのではなく、経営のノウハウを学んでください。経営者は事業さえ順調ならば定年もないようなものですから、老後の心配も不要になります。
アドバイス3 いざという時は小さな家計にする覚悟を持つ
とはいえ、事業には波がありますから引き際を見極めることも必要です。経営者にとって自分が持っている資産はバッファのようなものですから、いざという時には家を売るくらいの気持ちは必要ですし、そのために資産形成をして備えなくてはいけません。家計も収入が下がったら、それに応じて支出をしぼることが必要です。支出が多い家計に見えますが、貯蓄性保険の保険料も含めると30万円以上貯めていますから、使い過ぎているということはありません。貯蓄性保険の入りすぎはお金の流動性がなくなるので一般的にはあまりおすすめしませんが、将来が不安さんの場合は安心材料のひとつと考えれば問題ないでしょう。
相談者「将来が不安」さんより寄せられた感想
藤川先生、この度はアドバイスをいただき、有難うございました。いつも将来のお金に対する漠然とした不安に苛まれておりました。何度も拝読させていただき、会社に対する私の思いの消極さが問題なんだとハッとさせられました。頑張ってこの会社を築いてきた父の思いを引き継ぎ、もっと盛り立てていきたいと思います。その為には積極的に経営の事を勉強し、自分自身の意識も変えていかなければいけないと気付きました。先生のアドバイスは私が想定していたような家計管理の事を飛び越え、もっと深いところでのご助言でした。本当に有難うございました。教えてくれたのは……
藤川太さん
All About「資産運用」ガイド。「家計の見直し相談センター」で10年以上にわたり1万5000世帯を超える家計の見直しを行ってきたFP。資産運用、家計管理、マイホーム購入、不動産投資などに詳しく「普通の人」でもお金を貯める・増やせるようになる方法をアドバイスしています。
取材・文/鈴木弥生
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