入院日数は平均29.3日、平成時代に2週間も短縮!
厚生労働省の「患者調査」は3年に1回調査を行っており、平均在院日数(入院日数)の結果は保険会社の医療保険やがん保険のパンフレットでも使われています。2019年3月に2017年(平成29年)調査の結果が発表されましたので、1978年(昭和53年)以降の平均在院日数の推移をグラフにしてみました。資料:厚生労働省平成29年「患者調査」
2017年の傷病による入院日数は平均29.3日で、3年前に比べて2.6日短縮しました。日本の人口は入院日数の短い若年層が減っており、長い高齢層が増えているにもかかわらず、大幅に短縮しています。平成時代は間もなく終わりますが、平成が始まった頃の1990年(平成2年)は平均44.9日なので、平成時代に入院日数が2週間超(15.6日)も短縮したことになります。
グラフでは総数(全年齢)の他に65歳から69歳の平均在院日数も載せてあります。この年齢の1978年(昭和53年)の平均在院日数は90.1日もありましたが、2017年までに60日以上も短縮して、27.3日となっています。65歳から69歳の平均在院日数は総数よりも長い時代が続いていましたが、最近は総数を下回るようになってきています。これば平均寿命が延び、元気な60歳代後半の人がかなり増えているからではないでしょうか。医療財政は厳しい状況が続いており、今後もまだまだ短くなりそうです。
入院日数は30歳代が目立って延びている
次に平均在院(入院)日数を年齢別に0歳、1歳~4歳、5歳からは5歳刻み、90歳以上に区切って表にしてみました。若年層と高齢層では日数に大きな違いがあります。資料:厚生労働省平成29年「患者調査」
総数(全年齢)の入院日数は男女計では平均29.3日ですが、男女別にみると男性26.9日・女性31.7日で男女に5歳近い差があります。年齢階級別にみると年齢が上がるのに比例して日数も長くなる傾向にあります。入院日数が最も短いのは男女共に1歳~4歳(男性5.2日・女性5.3日)で、総数より24日以上も短く、3年前に比べて男性1.0日・女性1.7日短縮しています。逆に入院日数が最も長いのは男女共に90歳以上(男性54.8日・女性71.7日)で、総数と比べて男性はほぼ2倍、女性は倍以上の40日も長くなっています。しかし3年前に比べたら90歳以上も短縮しており、特に女性は12.6日も短縮しています。
働き世代では、例えば35歳~39歳の入院日数は男性18.3日・女性10.6日で、男女に1週間以上の差があり、総数と比べると女性は3分の1以下で、3年前に比べて3週間も短くなっています。
40歳~44歳の男性は3年前より長くなっていますが、ほとんどの年齢階級で男女共に入院日数の平均は短くなっています。男女差では20歳代から60歳代は男性の方が入院日数がほぼ長く、それ以外では女性の方が長くなっています。
がんや心疾患の入院日数は平均より10日も短い
最後に平均在院日数(入院日数)を傷病別に分け、主な傷病の入院日数と推移を確認してみました。資料:厚生労働省平成29年「患者調査」
全傷病の平均入院日数29.3日に対し、がん(悪性新生物)の入院日数は17.1日で総数(全傷病)より12.2日短く、3年前に比べて2.8日短縮しています。心疾患もがんと似た傾向にあり、入院日数は19.3日で20日を切りました。3年前に比べて1日短縮し平均より10日も短いです。
しかし、中には入院日数の長い傷病もあり、脳血管疾患は78.2日で3年前に比べて11.3日も短縮しましたが、それでも総数の2.7倍もの日数になります。統合失調症・統合失調型障害及び妄想性障害は特に長く531.8日にもなります。徐々に短くなってきていますが、それでも平均で1年半もの入院をしています。
入院日数は短縮化傾向が続く
入院日数が平均で29.3日になったと言っても、年齢階級別や傷病別にみれば非常に大きな違いがあります。病気やケガで入院等をした時への備えとして医療保険(医療共済)があり、一般的に入院したら入院給付金を受け取れる保障が付いています。保障してもらえる入院日数には上限があり、昨今は1回の入院で上限を60日に設定している商品が多いですが、このような統計を確認し、自分自身にとってはどのような設定にしておくのが最適なのか考えてみるとよいでしょう。