宝塚ファン/宝塚歌劇団 トップスターの変遷

月組トップ娘役・愛希れいか―退団(2ページ目)

2018年11月18日(日)、月組トップ娘役・愛希れいかさんが、『エリザベート ―愛と死の輪舞―』の千秋楽(東京宝塚劇場)に宝塚歌劇団を退団します。舞台歴をまとめるとともに、新人時代からの活躍を振り返ります。

桜木 星子

執筆者:桜木 星子

宝塚ファンガイド

 

龍真咲さんの相手役に

 
『CRYSTAL TAKARAZUKA-イメージの結晶-』

(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ

2012年、月組トップスター・龍真咲さんの相手役として、トップ娘役に就任します。お披露目公演は『ロミオとジュリエット』。一年前まで男役だったとは信じられない美しい歌声に、大輪の花のような華やかさ。スケールの大きいトップ娘役の誕生でした。
 
『ベルサイユのばら』では、革命家・ベルナールの妻、ロザリー。トップ娘役としては少ない出番でしたが、オスカルを慕う気持ちを丁寧に表現。 
『ルパン―ARSÈNE LUPIN―』では、国際的陰謀に巻き込まれていく中、アルセーヌ・ルパンへの想いを募らせていく、聡明な令嬢カーラを好演しました。
 
2014年、宝塚歌劇団は100周年を迎えます。
創立を記念する作品『明日への指針』では、人妻のレイラをしっとりと演じました。
22年ぶりの再演となった話題作、『PUCK』では、妖精パックに恋されるハーミア。あどけない少女時代から品のある大人の女性を演じ分け、奥行きの深い演技力を見せました。 
 
『ベルサイユのばら』とは違う角度からマリー・アントワネットを表現したのが『1789―バスティーユの恋人たち―』。恋も遊興も楽しむ女性の顔、フランス王妃としての風格を、のびのびと演じました。どんなに大きな衣装も着こなせる華やぎ、洗練された美しさや存在感は格別。新たな愛希れいかの魅力を感じました。
 
「マノン・レスコー」の舞台をベトナムに置き換えた『舞音―MANON―』では、身分違いの恋に燃える魅惑的な女性、マノンを。黒髪、アオザイ姿、ラブシーンと、とにかく美しい。しなやかさの中にある強さを表現しました。
 
龍真咲さんのサヨナラ公演『NOBUNAGA―下天の夢―』では、信長の正室、帰蝶。武芸に長けた女性という設定が、元男役の愛希さんにしっくりとはまります。誠実で凜とした帰蝶を情緒豊かに演じ、龍真咲さんの卒業を見送りました。
 

球城りょうの相手役に

『カルーセル輪舞曲』

(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ

2016年、一期上の球城りょうさんの相手役となります。
新トップコンビの本公演お披露目『グランドホテル』では、引退を考えている往年のプリマ・バレリーナ、グルーシンスカヤを熱演しました。首、デコルテ、背中、指先から足の先まで、完璧なまでプリマをとらえ、白いチュチュやレオタードで見せる得意のバレエは、清らかで美しいこと! 愛希さんに対し、本場の演出・振付のトミー・チューン氏が「ブロードウェーに立てる。すばらしい」と絶賛したほどの出来栄えでした。
 
アレクサンドル・デュマ原作の「三銃士」を基に描いた『All for One~ダルタニアンと太陽王~』では、男として育てられたルイ14世役。男装のルイ14世も、女性の姿に戻ったルイーズもどちらも可愛い。コメディーセンスも最高で、感度のいい演技で、舞台を明るくしました。これもまた、愛希れいかさんにしかできない役でした。
 
再びバレリーナ役を演じたのが、現代劇の『カンパニー―努力、情熱、そして仲間たち―』。アルバイトをしながらバレリーナを目指す高崎美波を、爽やかに好演。あらためてバレエの技術の高さを痛感しました。
 
そして最後の役は、宝塚の代表作『エリザベート-愛と死の輪舞-』のエリザベート。自由を愛する純粋な少女が、国や立場や時代の波に揉まれ苦しみ、それでもブレずに生きようとした孤高のプリンセスの一生を、圧倒的な存在感と実力で見事に演じました。凜とした姿は美しく神々しく、輝かしい有終の美を飾りました。
 
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