バナナは栄養豊富で低カロリー!
バナナは1本で食べられる部分が約90g。エネルギーは84kcalと思ったほど高くなく、そのほとんどがブドウ糖や果糖などの「糖質」です。中でもブドウ糖はエネルギーに変わるスピードが早いため、素早くエネルギーチャージができます。そのため、バナナを食べて試合に臨むというアスリートも少なくないようです。
フルーツは全体的にカリウムが多いのですが、中でもバナナは1本あたり351mgほど含まれていて、「カリウムの宝庫」としても知られています。カリウムは、体の中の余分なナトリウム(塩分)の排泄を促し、血圧を下げる働きがあるため、高血圧の人はぜひ積極的に摂り入れたいフルーツの一つです。
そして、食物繊維を手軽にチャージできるのもバナナの優れたポイントです。バナナには、1本(90g)あたり1gの食物繊維が含まれています。食物繊維の1日あたりの摂取目標量は、成人男性で21g以上、成人女性で18g以上となっていますが、特に10~20代は男女ともに、食物繊維が不足気味ですので、手軽に食べられるバナナはよい摂取源になります。
他にも、バナナには美容に効果的なビタミンB群が豊富です。水溶性ビタミンのビタミンB群は水洗いや加熱調理によって失われやすいのですが、バナナは皮をむくだけで食べられるため、ビタミンB群をしっかり摂取できるメリットがあります。
バナナのおいしい食べごろは「シュガースポット」を目安に
日本にいる限りは、四季を問わず、いつでも安価で手に入るバナナですが、その原産国は南アジアが中心。沖縄などの一部の地域で、収穫することができるものの、そのほとんどがフィリピンや台湾からの輸入に頼っています。しかし、害虫などの問題から黄色く完熟したバナナを輸入することは禁じられており、未熟で青緑色のうちに収穫したバナナを船で日本に運び、特殊な技術で食べごろになるまで追熟したものが店頭に並んでいるおなじみのバナナです。
ところが正確にいうと、店頭に並んでいるきれいな黄色のバナナは食べごろの少し手前。自宅へ持ち帰って1~2日経つと、黒い斑点が出てくると思います。この黒い斑点は「シュガースポット」といって「完熟」の証。
シュガースポットが出始めたタイミングで食べるのがもっとも香りが高くおいしいのです。ただし、シュガースポットが多いほうがよいかというとそうではなく、熟し過ぎると苦味が出始めます。
シュガースポットの量は好みによって違いますが、写真の量くらい出ていると、実はかなり柔らかく、甘味が強くなっています。皮をもんでつぶすと高齢者にも食べやすいやわらかさになる熟し加減です。しっかりしたバナナが好みの人は、シュガースポットが出始めた瞬間に食べるとよいと思います。
おいしいバナナの選び方・見分け方……産地や太さより完熟度が大事
次においしいバナナの見分け方をご紹介します。バナナは1房で200本くらい実ります。そのため、房の真ん中と房の端では大きさがかなり違います。もちろん1本ずつの重さも違うことから、スーパーなどでは3~5本に分けて売っています。選ぶ際には、1本が太くて大きいもの(本数の少ないもの)を選ぶほうがおいしいことが多いようです。しかし、大きさや形よりも食べるタイミングのほうが重要で、シュガースポットの出始めのタイミングを逃さないことが肝心です。
スーパーなどで食材を買う際、見切り品としてシュガースポットが出ているバナナが販売されていることもあるため、チェックしてみましょう。すぐ食べるのであれば、おいしいものが見つけられる可能性も。もし、完熟バナナが食べきれないようであれば、冷凍保存すると1~2日はおいしく食べることができます。
バナナの保存方法は? 長持ちさせるには「袋から出す」が基本
バナナを保存する際に注意したい点がいくつかあります。バナナの追熟は、バナナ自身が放出する「エチレンガス」によって進みます。そのため、買ってきたバナナが袋に入っている場合は、袋から出して保存したほうが追熟を遅らせることができ、保存可能期間も長くなります。
バナナを常温で保存する場合は、カゴに入れたりして保存する場合も多いと思いますが、何かに触れている部分は傷みやすいので、吊るして保存するなどの方法が有効です。吊るす場所がない場合は、1本ずつバラバラにして、房同士が触れないようにして保存したほうが、追熟が遅くなります。
また、冷蔵保存する場合は、そのまま保存すると皮が真っ黒になり、すぐに傷んでしまいます。そのため冷蔵で保存する場合は、皮をむいてラップで包んで冷凍するのが◎。切って保存する場合は、切り口にレモン汁を塗っておくと変色を防げます。
ラテックスアレルギーがある場合、バナナのアレルギーにも注意を
「ラテックス」という素材をご存知ですか?かつては医療現場などで使い捨て手袋の素材として使われることが多かった素材です。実はこの「ラテックス」は強烈なアレルギーを起こすことがあり、アメリカなどでアナフィラキシーショックを起こした例が散見されたことから、現在の医療現場ではラテックス素材を排除しています。
そのため、ラテックスアレルギーだけであれば、昨今の医療現場ではほとんど使われていないので特に心配はいりませんが、ラテックスアレルギー患者の半数くらいの人が、バナナでもアレルギー症状を起こすことがあります。
そのため、すでにラテックスアレルギーがあることを知っている人や、かつて医療現場で使い捨て手袋を多用する仕事をしていたことがある人は、バナナを食べる際には念のため注意して下さい。また、バナナ以外にもアボカド、栗なども要注意食品とされています。
■参考
旬の食材百科(Foods Link)
食品成分データベース
簡単!栄養andカロリー計算
果物の知識(丸果石川中央青果株式会社)
バナナの輸入過程と安全性(バナナ大学)
食物アレルギー診療ガイドライン2016
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。