お金の悩みを解決!マネープランクリニック/マイホーム購入・住宅ローンで悩むファミリー世帯

34歳貯金100万。4年後にいくらのマンションなら買える?(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、4年後を目標にマンション購入を考えている34歳の女性会社員。無理のない住宅ローンの考え方や、今後の住宅資金づくりについて、ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 現状なら物件価格の上限は2700万円台

4年後にマンションを購入するとして、ローン発生後の家計などを考慮しながら、購入に無理のない物件価格を探ってみます。4年後はご主人37歳。住宅ローンは25年返済(完済、ご主人62歳のとき)、金利は、今後の上昇の可能性を加味して、全期間固定2.0%とします。この条件だと、借入額2500万円で毎月の返済額は10万6000円(ボーナス払いなし)となります。

ただし、持ち家となると、他にランニングコストが発生します。固定資産税と、マンションの場合は毎月発生する管理費、修繕積立金、クルマを保有しているなら駐車場代など。物件によってそれら金額には開きがありますが、ファミリー物件だと月割りで少なくとも3万円(駐車場代込み)にはなるはずです。したがって、毎月の住宅コストは、計13万円台半ばから14万円といったところ。現在の家賃+駐車場代と比較して、月3万円前後のアップとなります。
 
一方、準備できる住宅資金ですが、現在の貯蓄ペースは月3万3000円(NISA含む)。ボーナスからの貯蓄額が不明ですが、あいすくむさんの使いみちから類推して、半分は貯蓄に回せるとすると、年間の貯蓄額は計120万円。4年後に480万円となりますから、今ある貯蓄と合わせて580万円。手元に残す資金を生活費の半年分240万円とすると、住宅資金に充てられるのは340万円。購入にかかる諸費用は100万~150万円ですから、頭金として用意できるのは200万~250万円。したがって、購入できる物件価格の上限は2700万円台ということになります。
 

 アドバイス2 毎月赤字にならない程度が住宅コストの目安

では、月3万円の住宅コスト増で購入後、家計に無理は生じないでしょうか。アップ幅はほぼ毎月の貯蓄額と同じですから、他の収支が現状と変わらないなら、毎月はトントン、貯蓄はできない(学資保険を除く)が大きく赤字にもならないといった状況です。

本来、「毎月貯蓄ができない=住宅ローンが家計負担となっている」ということになりますが、あいすくむさんの世帯は、ボーナスの額が大きいため、結果的には何とかやりくりできるはずです。逆に言えば、住宅ローンの返済額はこのあたりが月額の目安ということになります。
 
住宅購入後、継続してボーナスから半分貯蓄できれば、あいすくむさんが定年となる65歳までの27年間で、2160万円。その2年前に住宅ローンは完済していますが、ご主人の収入が定年(60歳)後、再就職で半減したとすると、65歳の時点で手元にある資金は2300万円ほどということになります。
 
さらに、そこから教育費が捻出されます。学資保険で240万円(17歳満期)が用意できますから、仮に大学は私立、大学院まで進学するとして、専攻等によってかなり異なりますが、不足額は400万~500万円でしょうか。したがって、実際の老後資金は、少なく見積もっても1800万円+退職金(企業型の確定拠出年金)となるわけです。
 
老後資金は、公的年金の受給額や老後の夫婦の生活費が不確定だと、不足するかどうかは判断できませんが、この金額ならおそらく経済的に大きく困ることはないと考えられます。
 

アドバイス3 住宅購入を機に家計を見直してみる

ただし、計算上は大丈夫だとしても、ボーナス依存(貯蓄がボーナス頼み)のマネープランはリスクをともないます。ならば、住宅購入を機に家計を見直してはどうでしょう。先の試算以上に住宅資金、あるいは老後資金を増やすことができます。
 
世帯によって見直しやすい費目は異なりますが、あいすくむさんの家計支出を見ると、通信費、趣味娯楽費、家族の小遣い、そして雑費の合計が月13万円。仮にここから月5万円、節約できたとします。年間60万円、住宅購入の4年後には貯蓄が240万円上積みされますから、物件価格の上限を3000万円まで引き上げることができます。さらに、住宅購入後も貯蓄ペースは上がりますから、老後資金に回したり、あるいは繰上返済に充ててもいいでしょう。ともあれ、今後の家計管理次第では、今後のマネープランに余裕を持たせることが可能ということです。
 
しかし、もし第二子が生まれたら、マネープランは大きく変わります。教育費を含めた子育て費用の総額は、進路によっても変わりますが、おおよそ1500万~2000万円。もし1500万円としても、現状の貯蓄ペースなら、物件価格2700万円のマンションを購入した場合、老後資金は500万円+退職金となり、資金的には安心とは言いがたい状況です。それこそ、家計を見直し、貯蓄ペースを上げるか、物件価格を下げることを検討する必要があるでしょう。
 

相談者「あいすくむ」さんより寄せられた感想

住宅購入にあたっての説明が分かりやすく、住宅の情報を取捨選択するにあたり、参考になります。今までは思うように貯蓄できず、マイホームなんて夢のまた夢かとも感じていましたが、目標が見え達成できるようにしようと思います。ありがとうございました。


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武
 

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